がん患者さんからよく食事について聞かれます。
まず食事は医療とは違うものです。医師も食事の専門ではなく、医薬品のような治験とか疫学調査をやってもデータは安定しません。それは複雑すぎるのでシンプルなデータにできないからです。
これを食べればがんが治るとか、がんが消えていく食事、かつて本屋さんに大量に並んでいた食事療法は消えつつあります。 効果がないどころか逆効果だからです。
これを食べ、これは食べないで、と単純な説明はできません。
ただ極端に動物性蛋白が不足すると、免疫細胞の活動が低下することはわかっています。感染症免疫も、がんと闘うNK細胞もです。 つまり、お肉は食べた方がいいということです。とはいえ私はかつて毎日2キロの牛肉を食べ続け野菜は食べなかったのですが、尋常でない体力が出る一方、弊害もありました。 そこは当たり前にほどほどに食べて、あまり極端に偏ったものより、いろんなものを食べるのが基本です。
偏食は問題かというと、極端なケースではマサイ族の一部は牛以外は口にしません。それでもすこぶる健康で大人はほとんど病気にかかりません。日本人よりよほど健康です。但し、牛乳に時折、牛の生血を混ぜて飲んでいます。牛の首のところの血管をある方向でさっと切ると、1分くらいですかね? 血が流れるのですが自然に止まります。 なんで?と思いましたが、そういうものなんだそうです。 冬の間アザラシ以外食べない人たちも生肉に内臓も食べています。動物まるごと、とか血液を加熱しないで食べていれば生きるのに必要なものは何でも入っているということです。
がん患者さんが牛を飼って毎日、血を飲むのは無理だと思います。肉、魚、鳥、野菜、生きている時の形がなるべく崩れていない食材を買って自分たちで調理する、これが基本です。加工するほど栄養が損なわれ、かつよくない物が山のように添加されるからです。