2008.11.23. まだまだ自然免疫の書き込みで突っ走るつもりだったのですが、折角、カテゴリーを複数用意してるのに、なんで他のところは一つも書いていないのか、と、文句がきましたので、一応、少しずつでも、他のカテゴリーに書いていきます。
抗がん剤を一つずつ解説するつもりはありません。たまにやるかもしれませんが、少なくとも、製造承認がおりたものについては、医薬品メーカーの効能書を読んでいただく、とか。あるいは、お医者さんのHPの中には、もっと分かり易く説明してあるのもあります。 ここでは、医薬品産業のなりたち、歴史、業界動向、何よりも、こういった医薬品業界を動かしてきた基盤となっている、哲学=物の考え方、を、少しでも、お伝えできればと考えております。
免疫細胞療法はエビデンスがない!と、よく叱られますが、では、エビデンス、ってほんとは何なの? ということは、医薬品業界の哲学抜きには語れません。 一見、回り道のようですが、抗がん剤を生み出してきた背景が、少しでも浮かびあがれば、と考えております。
さて、医薬品の英語名は、pharmaceuticalですが、medecine という言葉の方が、一般にはよく知られているでしょう。 間違っても、drug とは言わない方がいいと思います。 ドラッグストアとかいいますけど、英語で、drug は、通常、麻薬か覚せい剤のことです。 ドラッグストアって、凄い意味ですね。
では、英語圏で、薬局のことを何というのか、というと、pharmacy が一般的です。 欧州へ行くと、pharmacy と同じ位の数のhomeopacy というお店もあります。 スペインなんかは、homeopacy の方が多いですね。 実は、西洋医学といっても、二つの大きな流れがあるのですが、それはまたいずれ。
で。 このmedicine という言葉、近代医薬品産業のルーツを如実に表しております。
Medici と cin に分かれるのですが、cin は、毒とか、殺すという意味です。 今のイラン辺りに本拠を構えたアサシン教団、十字軍の要人を執拗に暗殺しようとして、恐れられたのですが、この教団から、暗殺という言葉が生まれました。 このシンですね、元々、殺すという意味があります。殺し方の基本技に毒殺がありましたので、言葉としても重なるのでしょう。 医薬品の名前にもよく使われています。 ストレプトマイシン、カナマイシン、ジョサマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、、、 数えればきりがありませんね。 菌を殺す毒、がんを殺す毒、ということで、語尾にシンがついています。 微生物がつくった毒、マイコバイオロジーが作った毒ということで、マイシン、という語尾を使うことが多いのですが、抗生物質の典型的な名前ですね。 ペニシリンとか、アンピシリンとか、シリンという言い方も多いですが。
では、Medici って、なんでしょう。 名前の通りです。 あの有名な、メディチ家の名前そのものです。 医薬品の俗称、medicine とは、メディチの毒、メディチが殺すという意味を語源としているのです。 これ俗称です、正式には、pharmaceutical です。 医薬品メーカーの英語名とか、海外の製薬メーカーの名前は、みんなphamaceutical です。
ちなみに、医療は、medical ですね。 語尾のal は、神を表します。 ちょっと正確には覚えていませんが、エジプトの神だったような、、、 アルコールという言葉、al co hol これ全部、神という意味で、神が三つもつながってる特殊な構成となっています。 さて、話がそれてしまいました、元に戻りましょう。(後日修正:al はフェニキアの神 el がal と表記されたものだそうです。)
シェークスピアは、勿論、普通には芸術家として有名ですが、シェークスピアの作品には、ヨーロッパを動かす底流、ヨーロッパの社会の仕組みが形成されていったプロセスが、象徴的に表わされていると考えられています。 よくフェニキア人が登場しているのですが、ヨーロッパ、エウロパとは、そもそもフェニキアの女神の名前ですね。 リア王という作品の中で、政敵を消すため、耳の中に毒液を垂らすシーンがあります。あれこそ、Medicine なのです。 ああやって、大きくなっていったのですね、メディチ家は。 メディチ家が取り入れたフェニキアのシステムで、最重要なものは、為替システムと、変動相場制であり、為替発行業務や取次ぎ業務、また、都市毎の為替の交換レートが変動するシステムを巧みに利用し、ファイナンステクノロジーで富を築いていったのですが、もう一つのメディチ家発展の原動力となったのが、Medicine です。
私が、医薬品の仕事を始めたのは1984年でした。 この頃、日本には2500社も医薬品メーカーが存在し、ヨーロッパには、1500社が活動していました。この内、半分、750社が、イタリアに集中していました。 米国の医薬品メーカーも、実際に訪問すると、出てくるのはイタリア人が異常に多かったです。 イタリアは、西欧医薬品産業、直接の発祥の地なのです。 メディチ家が、「輸入」した元はヨーロッパではなく、そちらがルーツなのですが、ともかく、ヨーロッパに産業として根付かせたのは、メディチ家であり、今日でもなお、天然抽出物系の医薬品に関しては、イタリアにオリジナル品が集中しています。 更に、スイスから、リヒテンシュタイン、チロル地方、メルヘン街道とつながる錬金術が盛んだった地域から、サルファ剤をはじめ、合成抗菌剤が輩出され、パスツールを擁するフランスは、免疫系や血液製剤が得意、ペニシリンを当てた英国は、醗酵生産される抗生物質が得意、といった、地域毎の特徴があります。 ただ、元々の基礎は、「毒」で相手を殺すか、「毒」を薄めて使うか、そういった文化の中から、生まれ出たものなのです。
私も医薬品関係の海外出張ということでは、圧倒的にイタリアが多かったのですが、出てくる人々は、正にメディチ家です。 学校で習った教科書には、イグナティウス・デ・ロヨラによって、コシモ・ディ・メディチが倒され、メディチ家は滅ぼされた、と書いてました。 免罪符で大儲けしたのが、宗教革命を招き、その反動でイグナティウス・デ・ロヨラとフランシスコ・ザビエル等が、軍隊式の厳格な結社であるイエズス会を結成、ヨーロッパは、宗教戦争・魔女狩りと、どう見ても、「暗黒時代」に突入していくのですが、日本の戦国時代に、少年使節が会ったのが、メディチ家、日本にゼウスの教えを説きにきたのが、正にザビエロですね、時代としては、そういう頃です。 最近の歴史の本には、もう少し違うストーリーが描かれていますが、ともかく、メディチ家は滅んだことになってますね。 でも、どっこい生きてましたけ
ど。
今日はこの辺にして、明日は、続きに、医薬品業界の重鎮たちが、どういう人達か、訪問録でも書かせてください。 なお、ANK療法は、この手の人達から発想を得たのではなく、全く、逆です。 誤解なきようお願いします。 既存の業界の考え方では、がんを治すのは難しい、、、、 技術的には、コテコテの西洋医学、ウェスタンテクノロジーですが、考え方は、伝統的医薬品産業とは違和するものです。