藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2008年12月06日

  

くすり

2008.12.05.

腫瘍マーカー、CA19-9開発責任者であられた富士レビオ笠原氏には、
新入社員の時から、お世話になりました。

CA19-9は、腫瘍マーカーが大量に商品化される先駆けとなった製品です。

それまでは、がん細胞が盛んに増殖する際、胎児の時に発現していた
物質と同じ物を発現する、という現象を利用した、がん胎児性抗原の
検出キットが腫瘍マーカーとして実用化され、せいぜい、CEA、AFP、
フェリチン、それにBMG2と、体内で炎症が発生していることを示す
Nアセチル・ノイラミン酸、腫瘍マーカーというと、それ位しか使えません
でした。

富士レビオは、子会社だった臨床検査受託企業最大手、エスアールエルの
方が大きくなり、後に、持ち株会社方式で合併したため、兄弟会社に
なりました。 医療業界で、検査を委託する際、SRLブランドを知らない
人はいないでしょう。 両社とも、免疫系の特殊検査に関しては、
日本の業界をリードしてきた実力企業です。 
エイズの検査キットも世界で最初に製品化されたので、
早速、フランスの大手医薬品メーカーや、東欧圏の医薬品
メーカーにライセンスの商談を進めさせていただきました。

戦後まもなく、朝鮮戦争が勃発、戦場に血液を送るため、GHQの
指示で、血液銀行が設立されます。 組織としては、4つの法人に分けられ、
その内の一社が富士レビオ(当時、富士臓器製薬)、他に、何かと物議を
醸した旧ミドリ十字がありますが、両社は、同じルーツとはとても
思えないほど、社風はまったく異なっていました。 

モノクローナル抗体の制作技術や生産技術が改良され、腫瘍組織に
特異的なモノクローナル抗体を開発しよう、という機運が盛り上がりました。
世界中の企業が参入を試みた中で、世界の先頭を切って商品化された
のがCA19-9 です。 抗がん剤で、日本独自に開発されたものは
殆どありません。 ブレオマイシン、マイトマイシン、ベスタチン、
それ位でしょうか。 他は、海外からの導入品です。 
その点、富士レビオの診断薬は、国産開発品なのです。

まず、大腸がんの組織を抗原として、マウスに注射します。
がん細胞、正常細胞を問わず、ヒトの細胞をマウスに注射すれば、
種が異なりますので、抗体を作り易いのです。 実際には、
細胞まるごとではなく、膜成分などを分画して注射します。

すると、抗体をつくるB細胞が増えてきます。
一つのB細胞は、一種類の抗体しかつくりません。
ここで、「がん細胞」に対する抗体というものが
できるのではなく、もっと、細部の物質の、それも、
その物質の特定部位(=エピトープ)を認識する
抗体がつくられます。 B細胞は、体外では増殖
しませんので、ミエローマという体外でいくらでも
増殖するリンパ腫の細胞と、細胞融合、つまり
二つの細胞をくっつけてしまいます。
うまく一対一でくっつく保証はありません。
限りなく増殖するミエローマの性質と、大量の
抗体を産生するB細胞の性質の両方をもつ
細胞を選択します。 

そして、標的となる腫瘍細胞に、よく結合する
抗体を産生する細胞を選びます。
更に、腫瘍細胞によく結合する上、
正常細胞には結合しないものを選びます。
ここで、研究者は、腫瘍に特異的に結合する
抗体をみつけた! と、思い込むのです。

全然、本題に入ってませんが、続きはまた、明日。

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