2009.2.16.
タミフルの耐性問題で、リレンザの使用量が増加するかもしれないと、
厚生労働省は、リレンザの服用による異常行動の増加に神経を
尖らせています。
昨日も書きましたが、リレンザも、今、使っては駄目です。
恐らく、耐性インフルエンザウィルスが出現し、急増するでしょう。
タミフルも、リレンザも、インフルエンザウィルスが細胞に感染するのを
防ぐ薬ではありません。 大学時代、既に、へマグルチニン(HA)の
阻害剤、つまり、インフルエンザウィルスが、細胞に感染する際に
機能するHAを妨害する物質が研究されていましたが、
この本命ともいうべきHA阻害剤は医薬品メーカーが
取り上げず、お蔵に入ったままでした。
一方、ウィルスが感染、増殖後、細胞から飛び出すときに、
N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)に電気的にトラップされます。
そこで、シアル酸を切る酵素、ノイラミニダーゼを阻害する薬が開発され、
タミフルやリレンザとして商品化されました。
ウィルスが増殖した後、邪魔するのですから、
効き目が今一なのは当然です。
ウィルスが増殖した後、邪魔するのですから、
効き目が今一なのは当然です。
インフルエンザウィルスは、気道上皮細胞、鼻の粘膜の細胞ですね、
そこにとりつくと、48時間以内に、理論上、最大、1兆倍に増殖し、
体外に飛び出して、他人に感染します。 この間、感染者に自覚が
ないのが最大の問題です。
気付いたときには、もう人にうつした後なのです。
気付いたときには、もう人にうつした後なのです。
タミフルは錠剤ですが、リレンザは、より直接的に気道上皮にスプレーで
噴霧されます。これは、国際ウィルス学会の基調講演を行うほど出世された
北大獣医学部の喜田教授(現在、人獣共通感染症センター所長)が、
薬にするなら、感染部位へスプレーしないと駄目、と、指導したのですが、
ロッシュは、コストが安く、医療機関受けしやすい錠剤にしてしまいます。
グラクソは、それは道理である、と、スプレー式としましたが、コストも高く、
場所も食うので、医療機関は嫌がります。
結局、タミフルの方が普及しました。
結局、タミフルの方が普及しました。
喜田先生に、なんで、HAではなく、ノイラミニダーゼを止める薬なんか
開発するんですか、と、聞いたことがありますが、いや、それはそうなんだが、
言うこと聞く連中ではない、と、おっしゃってました。
さて、タミフルもリレンザも、感染後48時間以上経過してから
投与すると、症状のピークは軽くなるものの、治癒までの期間が
長引いてしまう傾向があるようです。 サッと症状を出して、
サッサと治る、代わりに、ダラーと、症状を出して、時間をかけて
治る、こうなるようです。 これはあくまで、従来型の
インフルエンザの場合の話です。
新型インフルエンザならどうなるか、実際に出現しないと
分かりません。
インフルエンザの場合の話です。
新型インフルエンザならどうなるか、実際に出現しないと
分かりません。
タミフルもリレンザも、投与するのは、感染後48時間以内、
というのですが、自覚症状がない期間に投与する、というのは、
一般には無理があります。 パンデミックフルー発生時など、
高い確率で、感染すると看做せる状況になったら、症状が
出る前にのんでおく、これしかありません。
インフルエンザウィルスは感染細胞1個から、100-150個、
飛び出してきます。 これを全部、一つ残らず完全に止めるのは
無理でしょう。 ただ、高い頻度で耐性が出現する、ということは、
タミフルは、立派に、ウィルスの増殖を邪魔しているということです。
全く、何の邪魔もしてなければ、耐性は出現しないはずです。
逆に完全にブロックしているなら、やはり耐性は出ない
はずです。
はずです。
ウィルスも、がんと同様、臨界点があります。
免疫がウィルスを抑えこめるか、爆発してしまうか。
鬩ぎあってる最中に、多少なりとも、ウィルスの増殖に
ブレーキをかけられるなら、それで助かる人が出るかもしれません。
耐性が出現する、ということは、そういう可能性を示唆している
ということです。
がんを殺さないまでも、
増殖を抑えるイレッサのような働きを
タミフルやリレンザがやっている間に、
免疫系がウィルスを排除してくれるか。
免疫が十分強い人は、新型インフルエンザであっても、
耐えられるでしょう。 逆に、免疫が弱い人は、どんな
薬をのんでも焼け石に水でしょう。 免疫とウィルスが、
「いい勝負」をして拮抗している状態なら、少しでも
援軍がいると助かります。
折角の武器の一つなので、
普通のインフルエンザで使うのではなく、
パンデミックフルー用にとっておくべきです。