2009.5.27.
医薬品ネット通販企業二社が、
6月から実施される大幅なネット販売規制を
憲法違反である、とし、厚生労働省を提訴しました。
もう何日かで、ビタミン剤など、ごく一部を除いて、
医薬品のインターネット販売が新たな規制を受けることになります。
原則、「禁止」なのですが、従来から販売されていた品目に限って、
2年間の猶予期間が設けられました。
薬事法には、医薬品のインターネット販売を禁止する条項はありません。
法律に規定がないのに、行政府である厚生労働省が、「勝手」に
規制をかけるのは、基本的人権の尊重を謳う憲法に違反する、
という趣旨です。
今回の争点は、ネット販売が適正か否か、というよりも、なんで、法改正を
行わずに、行政判断だけで勝手に国民の自由を奪うのか、というポイントです。
混合診療問題にしても、法律として、「混合診療を禁止する」と書いてある
のではありません。 健康保険適用に際して、差額ベッドなど、3つの保険適用外
の費目との併用を認める、とあるので、限定列挙された項目以外は、禁止と
解釈される、と言うのです。 本来、混合診療が問題ならば、きっちりと立法府である
国会で議論し、結果として問題と結論が出たのであれば、正式に混合診療を規制する
法案を成立させるべきです。 それを、「課長通達」という紙切れ一枚を発行することで、
混合診療は禁止である、と「行政指導」をしてきたのです。 本来、まず法律を成立させ、
その法律が定める範囲内で、より詳細な細部を、「省令」として、
各省庁の大臣の責任において定めるか、あるいは更に詳細な部分については、
各省庁の管理職クラスの「通達」で決めるべきなのですが、なんでもかんでも、
省令・通達で決めてしまう、ということが「横行」しております。
ちなみに、混合診療問題により、不当な扱いを受け、財産、生命とも重大な危機に
瀕したとして、患者さんが東京地裁に提訴し、一審の勝訴を得た後、混合診療を
禁止するとした課長通達は撤回されています。
日本は、「三権分立」が成立していない、と、以前に書かせていただきました。
立法府である国会において、議員立法により成立した法案というのは、
NPO法案など数えるほどしかありません。
そのNPO法案も、成立後、官僚によって、骨抜きにされ、
当初の趣旨から完全に逸脱するものに
内容を挿げ替えられてしまいました。
結局、行政府たる官僚が起案した法案を
国会で承認しているだけです。
また、司法の長たる最高裁長官は、内閣が指名します。
司法のトップを行政が決めるのです。
結局、途中まで、どんなに一般国民が裁判で頑張り、
一審、二審は勝てても、難関は最高裁です。
ここは行政の直接影響下にある人物がトップなのですから。
また、刑事事件を起訴する検察も司法ではなく、行政です。
こんな国は先進国ではありません。
検察が起訴すれば、99%有罪になります。
普通の先進国は、検察は司法であり、
刑事事件の有罪率は50%程度です。
日本では、最初から検察が「勝つ」と決まっているのです。
民主党の小沢元代表や、鈴木宗男氏のように、
官僚に強く物を言う政治家は、検察に狙われ、
マスコミが「悪い」イメージを作り上げて、政治的打撃を
被るようになっています。
さて、法律で禁止されていない医薬品ネット販売を、
行政が、勝手に厳しく規制する、これは正に、
前回、書き込みました Jeopardize です。
権力による、国民へ迫害です。
ヨーロッパで行われてきた、血で血を洗う惨劇には程遠いですが、
少なくとも、「自由」を奪う行為です。
薬剤師が一人でも登録されている店頭での対面販売ならOKで、
ネット販売は、危険、という、規制の理由も、さっぱり訳が分かりません。
薬局の薬剤師に、「新型インフルエンザ」と「旧型インフルエンザ」は
どう違うのか、聞いてみては如何でしょうか。 答えられるでしょうか。
子供がインフルエンザで、熱があるんですが、タミフルとアスピリン、
どっちがいいでしょうか?
と、聞けば、何と答えるでしょうか。
どっちも、絶対、飲ませてはいけません!
タミフルはリスクがある上に、発熱後に呑んでも、
効果がないから、ですが、アスピリンは極めて危険です。
たまたま詳しい人はいるでしょう。
ですが、薬剤師は、臨床医ではありません。
症状を聞いて、適切な処方をできる保証などありません。
それはさておき、今回の争点に戻りましょう。
そもそも、法律で定めた範囲を超えて、国民の自由を奪う権利は
行政府にはないのです。 あくまで、法律の範囲内で、より詳細な
規制を定める権限があるだけです。
省令や課長通達などで、勝手に法律外の規制をかけてきたら、
つまり、Jeopardize をやってきたら、殴り返さなければなりません。
国民が言うべきことを言わないと、「お上」のお行儀はよくならない、
日本もそんな国になってしまったのです。