藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2010年07月30日

  

くすり, 免疫

2010.7.30.
 
 
前回、抗体医薬品アービタックスと
化学療法剤の併用による治験設計が
科学的根拠を欠くものという話をさせていただきました。
 
概ね、医薬品のエビデンスのデータの取り方は
科学的根拠を欠いております。
 
 
そもそも、エビデンス(証拠)には、根拠がいる
という当たり前の大原則を無視しています。
 
 
  ↓ データが取れました。
  ↓ 統計処理しました。
  ↓ 統計学的に有意な差が認められました。
  ↓ 有効性が証明されました。     
 
サイエンスの世界では、こんなデータが取れました
というと、SO WHAT ?  と言われます。
それで? とか、関西風に言えば、それがどないしたんやいうねん?
 
という意味です。
 
何を根拠に、どういう考え方で、どんな方法、設定や条件によって
データを取り、そのデータをどう処理したか。  
 
全てに根拠がいるのです。  
 
そのデータに何の意味があるのか、
そこを徹底的に問われます。
というか、こういうデータを取れば、
こういうことを証明することになる、と
徹底的に検証してから、実際にデータを取るのです。
(とりあえず、やってみる、という実験もありますが
 それは最初から、何かを証明することを目的とする
 ものではありません)
 
 
医薬品の有効性の評価の場合、
どう評価するのか、最初から決まってしまっているのです。
全く新しいものが出てきた時は、そもそも、これをどうやって
評価するのか、が議論されますが、多少、過去に似たものが
評価されている場合、過去のやり方を踏襲しようとします。
 
人の体に未知の物質を入れるのだから、あくまで慎重に。
それはごもっともです。
 
ただ、それにしても、過去のやり方が延々と踏襲され続けます。
 
 
そのうち、根拠となっていた前提が忘れさられていくのです。
 
 
免疫刺激効果を狙う丸山ワクチンを
免疫システムに打撃を与える化学療法剤と併用する
治験が行われましたが、最初から、設計がまちがっているのは
誰が考えても明らかです。
 
ところが、これが強行されてしまいました。
化学療法剤と丸山ワクチンを併用した患者さんのうち、
所定の期間、生き延びたのは、たった3%に過ぎなかったのです。
実は、化学療法剤だけを投与された患者さんの方は、
所定期間内に全員なくなっているのですが。
 
当時は、この結果は、顕著な効果はないことを
示すエビデンスとされてしまいます。
 
 
今日ではどうでしょうか。
 
免疫系を破壊する化学療法剤と、
免疫の力を刺激するADCC活性をもった抗体医薬品を
併用して治験が組まれます。
 
やってることは、何ら大昔と変わりません。
 
根拠というものは無視されます。
昔からこうやってるから、こういうもんなんだ、という
ゴリ押しが罷り通るのが治験という世界のルールなのです。
 
ところが、今日では、僅かの延命効果でもって十分なエビデンスとされます。
この点は昔と違います。 一方が全員亡くなられた、他方が3%生存。
今日の基準に変換すれば、「十分な延命効果アリ」に相当する結果です。
 
 
解熱剤は熱を下げたかどうか、を評価基準とされます。
一見、当たり前です。 ところが、解熱剤は一般に免疫抑制剤です。
そして、風邪をひいたり、インフルエンザに感染した人が解熱剤をのんでしまいます。
熱が下がったから効いた、と判断されて
しまいます。
ところが、感染症にかかっているのに、免疫抑制剤をのんでいるわけです。
害がないはずありません。 でも、データというのは、測定しようとしなければ
出てこないのです。 解熱剤によってどれ位、免疫が抑制され、感染症が
悪化したかは、測定しませんから、データにはなりにくいのです。
つまり感染症そのものの実態はデータ化せずに、熱という測定しやすい要素
患者さんが自覚しやすいものだけをデータ化して、エビデンスとしてしまったわけです。
何か異常がおこっているから、感染症になるのです。
そして、免疫システムを活性化しようとしてサイトカインの量が増えるから
熱が出ているわけです。それを薬で熱だけさげたら、機能すべき免疫系が
抑えられ、何かが悪化するはずです。 
 
通常、熱は出るべくして出るものであり、解熱剤によって熱が下がったように
見えても、ピークが下がるだけで、熱が完全に引くまでの時間はかえって長くなる傾向があります。
この薬をのんで安静にしてれば、一週間ほどでよくなるでしょう、、、。
薬をのまずに、カーッと熱を出して一日寝込めば、普通の風邪なら大抵、よくなるはずです。
 
そして、風邪には解熱剤という常識が定着して、やがて何十年かすると、誰かが気付きます。
インフルエンザに感染して、インフルエンザ脳症にまで進行し、命を落とされた方は、
強い解熱剤をのんでいた、、、、  後の祭りです。 考えてみれば、当たり前なのです。
感染症にかかってるのに、免疫抑制剤をのむんですから。
最初から、よく考えて、根拠ある治験を設計しないと、大勢の犠牲者を出すことになるのです。

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