2010.10.6.
国内で普及した免疫細胞療法のほとんどが
培養期間を2週間としています。
なぜでしょうか。
正常細胞の培養は一般に難しいものです。
T細胞は、もともと、急激に増殖するものですので
簡単に増殖させることができます。
樹状細胞は、そもそも血液の中にはほとんどいません。
樹状細胞療法で用いているものは、本物の樹状細胞ではなく
人工的に体外培養で分化させたもので、体内に自然に存在する
樹状細胞と同じという保証はありません。
また、樹状細胞は、それほど増殖しません。
樹状細胞の培養は特別、難しいものではありませんが、
数を増やすのは容易ではありません。
さて、大量の正常細胞を一定期間、生きながらえさせ
活動させ、かつ増殖させるのに、一番、てっとり早いのは
血清を培地に加えることです。
あるいは、少量の血液を採取したあと、
赤血球などを除去して、少量の培地と混ぜる
よくある免疫細胞療法の場合、患者体内から
ひっぱってきた血清の効果も期待できます。
簡単にいいますと、「血液の力」を利用するのが
もっとも技術が要らない培養のやり方です。
ANK免疫細胞療法においては、完全無血清培地で
培養しているのですが、血清の力に頼らずに、正常細胞、
しかもNK細胞を活性化・増殖させるのは、相当の熟練が
必要です。
血清のパワーに頼る培養がゴーカートの運転なら
完全無血清培地によるNK細胞の培養は、ジェット戦闘機の
操縦、それくらいの差があるのです。