2010.10.24.
(前回からの続きです)
日本には古代から堆肥の技術が伝わっています。
古代メソポタミア文明は、水位が高いチグリス川の水を
ひき、ウルやバビロンなどの都の下水を集め、水位が低い
ユーフラテス川へ流していました。
シュメールやバビロニアの都市は、水洗トイレを備えていたのです。
日本も、堆肥が開発される前は、川に「流して」いたのですが、
流すための穴が開いた桟橋のようなものを「川屋」といい、
それが厠となったそうです。
亡くなられたレンタルのニッケンの創業社長、
通称トイレ博士が、生前、そうおっしゃっておられました。
レンタルのニッケンは建設機械のレンタル業ですが、
現場用仮設トイレは独自開発製品です。
三菱商事の資本と販路をバックに成長したため
新入社員の私がフラッと電話しても、いきなり
社長が出てこられ、「人類のトイレの歴史」を
熱く語られたのでした。
さて、堆肥が発明されると、
糞尿の有効利用が始まります。
有機物を菌が完全に分解しつくし、
植物が必要とするミネラルだけが
残った良質の無機物だけの肥料となります。
良質の有機肥料とは、有機物を撒くものではなく、
植物が忌み嫌う有機物を、菌に完全分解・除去させた
完全無機肥料のことをいいます。
正式には、完熟コンポストと称します。
縄文時代のある時期、日本では旧式の水洗トイレから、
超ハイテク、最新バイオテクノロジーを
駆使した汲み取り式トイレへと、技術が進歩したのです。
巨額政府資金を投入したNASAのコンポスト技術開発は
失敗に終わりました。独自開発の限界を認めたNASAは、
日本の東北地方を訪れ、数千年前、
日本で普及した完熟コンポスト法
である堆肥技術を学びました。
完全な堆肥は、シリコンや炭素を含んでいますが、
養分の主成分は、ミネラルです。
ミネラルの多くは元素そのものですので
生物が合成することができません。
外から取り込む必要があり、培地の中に
含まれていないと、生物・細胞は生きて
いけません。
畑に撒く肥料であっても、
NK細胞を培養する培地であっても、
すべての培地は、ミネラルを含むもので
ある必要があります。
(続く)