2010.12.24.
NK細胞の報道に関する書き込みが
日々、アクセス数が増え続けました。
少し、補足させていただきます。
今回は日経バイオ誌について。
日本でバイオブームが起こった80年代に、
一世を風靡した「業界誌」です。
医薬品業界には、SCRIPSという業界誌があり
英語は嫌だという御仁は、国際医薬品情報とか
日刊薬業などを読むのですが、バイオ業界自体が
新しいものでしたので、他に専門業界誌というのが
見当たりませんでした。
バイオ分野に参入したのは、医薬品メーカーよりも
キリン、サントリー、味の素、旧三菱化成など、
異業種の方が活発だったのですが、ともかく、この分野に
かかわる人は、日経バイオ誌を読むのが常識化していました。
バイオ市場は将来1兆円規模にもなるんだ、と日経新聞に
書かれても、医薬品メーカーは、??? という反応で
実際の市場といえば、各地で開催されるバイオセミナーの
興業ビジネスと、日経バイオ誌の売上ぐらいだろう、と
揶揄されることもありました。
今日では、バイオテクノロジーを使わない医薬品開発は
考えられず、どこまでをバイオ医薬品というのか
分からなくなってきましたが、バイオ○○という分野に
分類される医薬品の市場規模は30兆円レベルになってきました。
もはや、バイオテクノロジーは当たり前すぎるので、
どんな専門誌でもバイオ記事が満載となり、むしろ
日経バイオ誌は苦戦しています。
それでも老舗ブランドの輝きはまだまだ残っています。
他誌は、極端に業界向けか、極端に一般向けかのどちらか
ですので、「程よい」ものが他に見当たりません。
ただ、このところ、日経バイオ誌は、獲得免疫礼賛の
傾向が強すぎました。 どこでもそうだといえばそうですが。
日経バイオ誌のアーカイブを見れば、獲得免疫を用いる
がん治療なるものが、ミサイル療法であれ、がんワクチンであれ
失敗の山を築き続けた歴史をそのまま記録しています。
長年、同誌を引っ張ってきた宮田さんは、
抗体医薬品の啓蒙にはご熱心で、
日経バイオ主催により、過去に開催された
抗体医薬品セミナーは内容といい、
規模といい、専門学会を除けば、
もっとも充実したものだと
言えるでしょう。
その際、ADCC活性が如何に鍵を握るかは
繰り返し強調されているのですが、ADCC活性といえば
NK細胞ががん細胞を攻撃する効率を高めるものです。
「NK」の文字がでてこないだけで、如何にNK細胞を
中心に現代のがん治療の新薬開発が進んでいるかは
明白であることは認めています。
ところが、本誌記事となると、T細胞、樹状細胞、
これらを刺激するがん抗原の話ばかりだったのです。
それがNK細胞について、長々、書かれたというのは
大きな変化です。
で、記事の詳細を書くスペースがなくなってしまいましたので
次回に。