2011.1.4.
明けましておめでとうございます。
今年は従来以上に免疫細胞療法が
注目を集める年になるでしょう。
免疫細胞療法は、何十年も前から存在する
わけですが、既存の医療制度に合わず
マイナーな存在として、隠され続けてきました。
ところが、社会保障制度全体が根本的な
変革をせざるを得なくなってきました。
昨年の社会保険料の支払い総額が95兆円
だったそうですが、このところ、国民健康保険の
年間総支出は34兆円をこえておりました。
後期高齢者制度をめぐる混乱も、
簡単に言えば、国民健康保険を
現状のまま維持できないために
生じているものです。
国民全体にとって大きな問題ですが、
先進国はどこでも同様の問題に直面しています。
80年代、当時世界最大の医薬品メーカーであった
メルク・シャープ&ドーム社は、「薬を売らないこと」で
儲ける方針へ転換しました。 メディケアという
医療保険分野のメドコ社を買収したのを皮切りに
まず「保険料収入」で儲けます。
そして、インスリンをうたなくても貴方の糖尿病は
こうして治療できますよ、という医療コンサル事業を
本格展開しました。
もっとも、インスリンは、イーライリリー社や
ノボノルディスク社の独占で、メルクは参入していない
わけですが、、、
「薬の使用量を抑える」ことで
保険の支払い額を減らす、という作戦です。
軍事産業の2.5倍に膨れ上がった医療産業は
永久に量的拡大を続けるという幻想から覚め、ビジネスモデルの
転換を図るべきである、というのが同社の経営方針でした。
実は、80年代には既に、今日の2010年問題、
つまり主要新薬の特許が切れ、医薬品産業の
収益性が低下することは分かっていました。
昨年は、インスリン治療は、合併症が酷くなり
長期的にみれば、マイナスであり、使用すべきではない
という論文がニューイングランド・ジャーナル・オブ・
メディシンに発表され、薬の売れ行きにも大きな
打撃を与えました。
日本では、高齢者は若年層の数倍の医療費がかかります。
更にここ数年は、団塊の世代が高齢化し、一気に医療費が
膨らむと想定されています。
がん患者の発生数も急増し
手術すべきがん患者に対して、
外科医が不足するため手術ができない事態に
陥るという試算もあります。
政府は、DPC制を普及させ、国民健康保険からの支払を
疾病ごとに定額制にすることで、総支出を抑えに
かかっています。こうなると大病院は、極力、患者さんには
早く退院してもらおうとします。
治療するほど、病院の費用負担が増え、収入は
一定な訳ですから。
化学療法は拠点病院ではなく、サテライトでやってもらう、
更に、早めにホスピスへうつってもらい、コストのかかる
合併症のケアを「医療」の分野から
「福祉」の分野へ、シフトを早める、という方針です。
従来の標準治療はコストがかかり過ぎます
(進行がん患者一人あたり数千万円)。
合併症のケアに要するコストを負担するだけの
財源は枯れていきます。
社会基盤の土台を根本的に変えざるを得ない時期に
突入し、従来の常識は次々に崩れていきます。
治療すればするほど、合併症が増えていく現行の
標準医療は、もう続けられません。必ず、新しい医療
体系が築かれていくでしょう。