2011.2.18.
(前回からの続きです)
ということは、腫瘍が小さすぎた場合、
重粒子線療法を受けるためには、
腫瘍の大きさが先進医療制度の定めた
大きさに育つまで、待っていなければいけない
そういう ばかげたことが起こるのですか?
との、ご質問をいただきました。
答えはYES です。
先進医療制度は、患者さんを治療し、
治っていただくためのものではありません。
データを取るのが目的です。
データ取得に適す、限られた患者さんだけを
対象にするものです。 ですから、適用条件に
合わない患者さんを治療してはいけない、
という、一見、訳の分からない制約も、
もともと、患者さんの治療が目的ではなく
データがほしい人々からすれば、
「問題ない」ということなのです。
重粒子線療法は、かえって、やっかいな状況に
はまり込んでいます。 民間保険の活用という
メリットがある以上、いまさら、先進医療適用を
解除するわけにもいかず、さりとて、このままでは、
腫瘍が小さいうちに、一気に重粒子線療法で
消してしまえ、ということができないのです。
先進医療適用をやめれば、従来の全く自由な
患者本位の治療設計に戻ることができます。
かといって、民間保険で治療を受けられる人が、
お金の問題で受けられなくなるのは、避けなければ
ならず、とりあえず、このままいくしかない、
のです。
それと、保険会社はどう考えているのかしりませんが、
先進医療制度は、時限立法です。
10年で適用解除になります。
今、保険に入って、10年無事だったら、
現時点で、先進医療制度適用になっている
治療法は、すべて、適用外になっています。
どうするんでしょうね、そうなったら。
健康保険適用となる医療
自由診療
基本はこの二つなのです。
先進医療制度というのは、
自由診療の中の、ごくごく例外的なケースを
対象として、混合診療規制適用を除外する
ものにすぎません。
自由診療と健康保険診療の中間的なステップでも
なければ、日本の医療制度の重要なジャンルでも
何でもないのです。 大学のある便宜をはかるものに
過ぎません。