最近はあまり話題にならなくなりましたが以前は13日の金曜日というのはよろしくない日ということで巷でよく話題になっていました。 あれ誰が観るんだ? と思いましたが、これでもかと「13日の金曜日」という主人公?のジェーソンとかいう化け物がチェーンソーを振り回すらしい映画のシリーズものが8作目まであるんですかね? ともかく何作も制作されましたが映画が作られたから広まったのではなく、元々、13日の金曜日はよろしくない日とされていたのに因んで映画が制作されたものです。 実際には1作も観てませんので、観るとおもしろい? のかもしれませんが観る気にはなりません。
13日の金曜日はヨーロッパでは幸運の日でした。
そこでわざわざ「幸運の日」を選んでヨーロッパによからぬものを蔓延させているとして「銀行」が一斉に摘発されました。幹部が大量処刑されます。 弾圧した側は王家ですが以後、銀行側が戦いに勝ち、勝った側に不幸が訪れた日は、よろしくない日と幸運の日とは真逆の日として定着し今日に至っています。 実際、今日では銀行はどこにでもありますが王家の末裔は残ってはいますが現役で王座にある王家の方は数えるほどしか残っていません。銀行は戦いに勝ち残り、そしてひたすら13日の金曜日という映画にもスポンサーとして投資し続けたのです。
13日の金曜日がまだ幸運の日だったころ。
第一次十字軍が結成されイエルサレムを占領します。よく奪還したと言いますが元々、一度も所有権をもっていたこともなく住んでいたこともないのですから、どう考えても侵略したのですが。 これに徹底抗戦し、十字軍の要人を片っ端から暗殺するアサシン教団が一躍有名になりました。 イスラム原理主義のように言われることもありますが元々、イスラム教とは関係なくペルシアのマズダ教、日本の自動車メーカーの名の由来になった世界宗教で日本ではゾロアスター教とも呼ばれます、この勢力の中からキプチャクハン国、いわゆるモンゴル帝国の一部に抵抗する組織として結成されたとも言われています。秘密結社ですのでアサシン教団側の記録などないのですが美女と麻薬の楽園で楽しんだ戦士に敵を暗殺したらこの楽園に戻れるという動機を与えたと語られています。もちろんアサシン教団の犠牲になった被害者側が様々な話をつくったものが伝わっているわけですので真相はよくわかりません。 ともかくインパクトは大きく英語でも暗殺を意味する言葉として定着しています。
アサシン教団に対抗して十字軍の要人警護にあたる騎士団が結成されソロモンの神殿を宿舎にしていたためテンプル騎士団と呼ばれるようになりました。この騎士団はソロモンの秘宝を発見したという話が広まっています。実際にヨーロッパに帰還後、莫大な資産を誇りましたので中身はともかく何かを得たのは間違いないと、よくあるなんとか埋蔵金のように話だけで実際には財力の実態を伴わないものと違って何らかの秘宝は実在するという説得力がありました。
シンプルに神殿の地下を掘ったらたくさんの財宝が埋まっていてそれを頂戴したという説。ソロモン王というのは旧約聖書に登場する栄耀栄華を誇った王様で莫大な対価を支払ってフェニキア人に巨大神殿を建ててもらいました。当時のフェニキアの巨大な銅の精錬工場も発掘されており強勢を誇った経済圏が存在したことは考古学的にも裏付けられています。アビシニア、今日のエチオピアのシバの女王とのロマンスが語られ、女王も女王との間にできた子もアビシニアに帰ってしまうのですがその際、今日「失われたアーク」と呼ばれる契約の書を納めたアークが一緒にアビシニアについていってしまったとエノク書に書かれてあります。つまり「選ばれた民」はアビシニアに替わってしまったということです。実際にシバの神殿を見てきましたが巨大なだけでなく全く防衛を考えていない、つまりどこにも攻められる心配のない国だったということでしょう。 失われたアークが保管してあるとされる神殿痕もみてきましたが、そこは映画「インディアナジョーンズ 失われたアーク」のロケが行われたところで、あの映画でもエチオピア正教が登場しています。
という背景もありテンプル騎士団がみつけた秘宝とは失われたアークであったとする説。
イエスには恋人も子供もいて子孫が今も生きているというバチカンにとっては都合の悪い真実をみつけ、これをネタにバチカンをゆすって口止め料をせしめたという説。この説に基く説「ダヴィンチコード」が発刊され映画化されています。 ちなみに1998年にベンチャーキャピタルを創業したのですがロゴはサントリーの「響」の文字をご自分で書かれるなど、意匠の第一人者と言われた江島先生に趣旨をお話してつくって頂きました。ダヴィンチコード(鏡像反転文字)で描かれたものでしたがダン・ブラウンの小説や映画が有名になる前ですので当時はこの不思議なロゴはどこかの文字なのですかとよく聞かれたのでダヴィンチコードですと答えましたが日米欧、どこで誰に会っても多くの人は「何それ???」という反応でした。
テンプル騎士団はアサシン教団との死闘を重ねるうちに、やがて互いを認め合うようになり、談合のすえ「魔法」を伝授されたという説。 実はこの説が真実であり、その魔法というのは堂々と使われ、今日の私たちの生活にも深く関係しています。 「存在しない金を貸して金利を取る魔法」です。
テンプル騎士団はまず貸し金業から始めました。資金さえあればこれが一番始めやすいわけです。一応、魔法のプレゼンをしたうえ、これは儲かりますよとフフリードリッヒ大王にもちかけ王室資産の運用を委任されたとされています。 当時、世相はきびしいものがあり強盗が横行していました。十字軍を護衛するほど武力に長けたテンプル騎士団ですから、そのオフィスに預けておくと安全ですよ、と資産を預かるようになります。 やがて貸付も預金も取引の決済も実際にお金を運んで強盗にあう危険を冒すよりもテンプル騎士団のオフィスの中の帳簿上のやりとりだけですませた方が安全ですよ、と決済業務を行うようになり、ヨーロッパ各地に展開する支店網間でも帳簿に記載するための書面手形を運ぶだけで長距離送金ができるサービスも始まります。 テンプル騎士団は強盗に襲われることなどほとんどありません。なぜなら、彼らの本職だからです。 アサシン教団の暗殺を仕事にしていたのですから。 強盗家業で資産を集め、それを貸付け、強盗に襲われないように騎士団に財産を預けておけば、という提案は冷静に考えれば一番危険な強盗に預けておくので一番安全とも考えられます。貸付をやっていれば焦げ付くこともありますが取り立ては本業の荒業を発揮して容赦なく資産を没収し奴隷として売り飛ばします。 やがて商取引に関連する資金の流れは騎士団の帳簿の中のバーチャルな動きだけで完結する様になり、どこの誰が何で儲けたり損をしたりしても常に金利と手数料が騎士団に蓄積されていくことになります。 ここまでくると実在しないお金を貸し付けて金利を取ることもできます。
テンプル騎士団がアサシン教団から手にした魔法。 それは存在しないお金を貸して金利を取る確実に儲かる魔法、つまり「銀行業」のノウハウでした。 今日の銀行は強盗する側ではなくてされる側ですが基本の仕組みはテンプル騎士団ビジネスそのものです。
あまりにも稼ぎ過ぎた騎士団は大粛清に遭いますが滅んだのではなく名前を変えながら生業に励み続けました。そして今日でも彼らが受難にあった13日の金曜日はよろしくない日とされています。