2011.3.8.
また一人、ヒブワクチン接種後に小さな子供さんが
亡くなられました。
もともと、小児用肺炎ワクチンとヒブワクチンの実施については、
これらの感染症でお子さんをなくされたご遺族の方々の
強い要求もありました。
わが子をなくして、同じことが起こらないようにという
ご両親やご家族の気持ちは、子供を亡くした経験のない自分が、
「お気持ちはよくわかります」などと、軽率に
わかった気になっていえるものではありません。
とはいえ、それはそうでしょう、と、いう気にはなります。
問題は、どういう対策を立てるか、という具体論です。
感染症は、何種類あるのか。
とても数えられません。
感染症を起こす主なウイルスのリストというのに
440種類のウイルスが載っていましたが、
パピローマウイルスを一種類と数えています。
主な型だけで100種類が知られていますが、
実際には、同じ型でも遺伝子が異なるものが
いくらでもみつかります。
ウイルスだけで、山ほど種類があり、細菌、
さらには、真菌、原虫などの寄生虫、リケッチア、
マイコプラズマ、ウイロイドに、プリオン粒子、
大括りの分類だけでも、たくさんあるのです。
それぞれに、また種類があり、型があり、
同じ型でも遺伝子変異のバリエーションが無数に
あるのです。
これらをワクチンで防ぐことができるのでしょうか。
生涯に、何万種類のワクチンをうてばいいのでしょうか。
実際に利用可能なワクチンは、主なもので十数種類しか
ありません。 マイナーなもの、実験的に使われているもの
米軍兵士が使っているもの、生物兵器に対する対抗手段として
備蓄されているもの、こういう変わったものを加えれば、
いくらでもあるのでしょうが、一般人が30種類も40種類も
ワクチンをうつことはないでしょう。
それだけうったところで、「焼石に水」なのですよ。
一つ感染症にかかって、熱でもだせば、他の病原体が
消滅することがある現象が知られています。
一方、免疫力が低下すれば、山とある病原体のどれかが
増えてきます。
あんまり低下すると、複数のタイプの病原体が増えて
しまいます。
結局、感染症にかかる状態になったら、何かの病原体が
ふえるのです。
また、ワクチンをうったところで、免疫力が低い人だったら
結局、感染症にかかってしまうのです。ワクチンが病原体と
闘ってくれるのではありません。ワクチンうったんだから、
同じのがきたら、自分で戦えよ、というのがワクチンの設計概念です。
つまり、「自分」、免疫が弱いと、どんなにワクチンをうっても
闘う力は弱いのです。 ワクチンで免疫がつく、といっても、
体力や基礎的な免疫力が弱い人は、どうにもならないのです。
感染症をどう考えるか。
グランドデザインを考えるべきですが、
戦後のGHQが策定したグランドデザイン以来、
一度もまとまな議論が行われていません。
個々のワクチンを個別に評価し、抗体価上昇など
短期的な反応を審査して承認されてきましたが、
いつまでやり続けるのでしょうか。
500種類のワクチンをうっても、
まだまだ足りないのですよ。