藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2011年05月09日

  

えとせとら

2011.5.9.
 
 
マーチャントバンキング部門にいたころの同僚が、
米国での発電事業を担当していました。
 
典型的なプロジェクトファイナンスという手法を使うものですが
発電事業会社の設立資本金は、たったの 1USドルでした。
 
これで、大規模LNG火力発電所をつくったのです。
 
 
電力事業の規制緩和の嵐が吹き荒れた時代、
米国では、発電事業への新規参入が相次ぎました。
 
米国企業の登記簿上の住所、日本でいう定款上の「本店」
(本社ではありません)は、圧倒的にデラウェア州が
多くなっています。 何かと便利だから、です。
日本語で書かれたArticle of Incorporation (定款)でも
認めていました。 ここに1USドルの Paid in capital
資本金で、とにかく発電をやるんです、と定款に書いてある
会社をつくります。
 
そして、事業に関するあらゆる契約書をまとめ、主要なものの
全ての契約書が、他の契約書発効と同時に有効になる、という
条件がつけられています。 電力を買ってもらうユーザーとは
電力供給契約、燃料を買うLNG販売企業とは燃料購入契約、
設備メーカーや、エンジニアリング、建設企業などと各々の
契約を交わし、発電所全体を、リース会社に買ってもらって
リースを受けます。 他にも山のように契約書があるのですが、
これらをひとまとめに締結し、およそ1000億円のファイナンスを
とりつけ、大規模発電所が建設されました。
 
こうした仕組みをプロジェクトファイナンスというのですが
発電所のように、建設資金は事前に予想がつき、燃料も相場があり
販売する電力もある程度、需要なり、相場価格なりが予想できる
ものの場合、事前に契約を固めていくことでリスクを抑え、
金融機関がまとまった資金を提供しやすい状況をつくることができます。
 
設定された発電能力を遥かに越えて電力を売ることは不可能ですので
予想を大きく上回る収益を上げることは無理があります。
逆に、下振れするリスクは抑えることができるので、
比較的、低い金利でファイナンスを引っ張ることができます。
 
 
国内でポツポツ建設された風力発電も、地元マネーの投資を
募ったり、発電事業全体をファンド化し、小分けしたファンドの一部を
投資家に買ってもらう、という仕組みが使われていることがあります。
投資家は、発電事業がもたらす収益を配当として受け取るのです。
上限が決まっていますから、それほど投資収益が高くなることはなく、
短期間で投資元本を回収するのは難しいものになります。
どれほど確実に元を取れるか、発電量を確保し、電力会社に買ってもらえるかが
ポイントとなります。こうした、お金を呼び込める仕組みをつくって
いかないと、短期間に新しい事業が広がるのは難しいです。
 
 
 
 
 

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