藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP

2011年05月25日

  

えとせとら, 免疫

2011.5.26.
 
 
日本を代表する科学分野のイノベーションとして
WT1ペプチドワクチンと、iPS細胞が特別に予算を
つけられています。
 
国をあげて、震災復興に取り組むべきときです。
実用性がない技術に、なぜ、国費を投入するのでしょうか。
 
 
iPS細胞については、前回取り上げた二点、
 
① 発ガン遺伝子そのものか、同系統の細胞増殖に
  関連する遺伝子を導入しているため
  増殖制御バランスが崩れ、がん化する細胞がでてくる
 
② 同じく、重要遺伝子の活動量バランスが崩れているため
  免疫システムが異常細胞と認識し、拒絶反応を誘導する
 
 
正常細胞と同じ物質であっても、細胞表面に発現する量や
各物質間のバランスが崩れる、というのは、正に「がん細胞」と
同じです。 そんなものを人間の体の中にいれたら、
よくて排除される、悪いと、病気としての「がん」になってしまいます。
 
 
基礎研究として続けるのはいいのでしょうが、
間違っても、国を代表する重要技術ではありません。
 
 
では、再生医療には、ES細胞(胎児幹細胞)を使うしかないのでしょうか。
 
オバマ政権は、ES細胞研究を解禁し、米国としては、ES細胞で行く、と
方針を明確にしていますが、ES細胞は、一人の人間に育つこともある
細胞ですから、これを「いじる」なんて、殺人行為とも考えられます。
米国がやるんだらか、日本もやる、そんなことは許されません。
 
 
では、再生医療はだめなんでしょうか。
 
 
実用的なものとして、角膜を大きく育てて(4倍)、不足勝ちな
角膜(亡くなった方から採取したもの)の供給量を増やして
角膜移植手術に用いる、こういうプロジェクトは、現実的です。
残念ながら、推進していたアルブラスト社が資金難に陥り、
中国資本が買収に乗り出していましたが、こういう「真っ当」な
ものに陽が当たらないのは、何とも割り切れないものがあります。
 
技術は異なりますが、セルシード社は活動中です。
 
問題は、開発コスト、特に技術的には完成しても
承認を取得するまでの試験費用や管理費用が膨大で、
市場規模に合わない点です。(だからアルブラスト社は
資金が詰まったのですが)
 
 
角膜移植は、数十年の実績があり、実際に、目が見えなくなってきた
人が、パッと、はっきりと目が見えるようになるのですから、
とても、「分かりやすい」治療法です。ところが、角膜のソースが
不足しているので、これを組織培養技術で増やす、
非常に分かりやすい話なのです。
たった一個の細胞からスタートして、
体外で大量増殖させて、
組織を作り上げるのは、まだまだ無理が多いのです。
その点、人の組織の面積を増やすだけなら、
遥かに、技術的ハードルが低く、実用性が高くなるのです。
 
 
(続く)
 
 

>>全投稿記事一覧を見る