藤井真則のブログ

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2019年11月22日

  

えとせとら

映画「ジュラシックパーク」の大ヒットと共に「恐竜は絶滅したのではなく鳥に進化した」という考え方が広く知られるようになりました。この映画によって最新の学説が広く認知された、そういう一面はあるのですが「恐竜は鳥類に近いイメージ」そのものは最新どころか19世紀半ばにはあったようです。 それ以前にもあったのでしょうが恐竜学という学問として体系化されていたわけではありません。西洋ではドラゴンというと邪悪なイメージがありますが細部は恐竜化石とよく似ている部分が多く、昔の人も映画のCG恐竜は見たことなくても化石はみていたようですから、こんなのが「居るんだ」と思っていたのかもしれません。 「数千万年前に死に絶えたやつの化石」とは思ってなかったのでは? で、ドラゴン空を飛ぶわけです。 そして羽も生えていますが、羽毛は生えておらず鱗をもっています、また火を噴きますのでその辺りは恐竜化石を眺めても想像できないので別のルーツなのでしょう。 ドラゴンはともかく、恐竜の骨の化石には大きな空洞がたくさんあり、空洞と空洞あるいは空洞と骨の外側を結ぶ穴もたくさんあります。これは骨の内外に多くの気嚢つまり空気袋をもつ鳥類の骨と共通の特徴です。なので普通に恐竜化石を研究すれば、これはまあ鳥に近い仲間なんだろうな、と考えるのが自然の流れです。 恐竜は見た目よりも、といっても本物は見れないのですが、ものすごく軽いんだ、と考えられています。「ジュラシックパーク」1作目に登場するヴェロキラプトルは人間より大きく鱗があって羽毛が生えていませんでしたが、実際には「犬くらいの大きさ」とよく言われていました。その後、ヴェロキラプトルは全身羽毛に覆われていたと考えられるようになり犬だとイメージが合わないので七面鳥くらいの大きさといわれるようになりました。しかも「軽い」のです、たぶん。 襲ってきても蹴飛ばせば勝てるはずです。 非常に俊敏に動いたとか、時速60キロで走れたとか超アスリートだったと主張する説もあり、そうだとすると蹴飛ばすのは難しいのかもしれませんが、相手が一羽なら箒(ほうき)一本あれば身を守れたでしょう。 それでは映画にならないのでずいぶんと大きいサイズで爬虫類をイメージする鱗で覆われた化け物として登場させたのですが恐竜学者はこの映画を正面から非難はしません。 ティラノサウルスは白亜紀も末期のごく短い期間だけ存在した恐竜なのでジュラ紀にはいなかったのだからジュラシックパークにいるのは少し違和感があるのですが、、、 と控えめなコメントはありますがそれ以上、くってかかることはしません。 何せこの映画のおかげで恐竜学の予算は急増し、素人化石ハンターも急増、重要化石の最初の発見者は意外と素人ハンターが毎日のように同じ場所を丹念に見て歩き、少し風化が進んで化石のごく一部が地表に顔を出した微妙な変化の瞬間を見逃さなかった、等という話が多いです。もう少し風化が進んだら化石は失われてしまうかもしれません。 素人軍団のサポートも研究者にとっては大変ありがたいものです。 そして羽毛恐竜の化石がみつかり始めると、あっという間に大量の羽毛化石や羽毛が生えていた痕などが発見ラッシュとなります。数千万年とか2億年以上地下に埋もれていたのですから、たかだかこの10年とか20年とかで急に羽毛が生えていた証拠がぞろぞろ見つかるというのは人間側の都合なり物の見方が変わったから特定の化石がたくさん見つかるようになっただけに他ありません。

 

19世紀半ばには存在していた恐竜学ですが、その後衰退し第二次大戦後ほどなく復活を始めます。当時の娯楽映画にも恐竜が登場し始めるのですが大きな問題がありました。CGは使えなかったのですから人間が入った着ぐるみなどを使って特撮で勝負するしかありません。恐竜に俊敏に動き回ってもらっては困ります。やはり冷血動物・爬虫類のイメージで、重い尻尾をどんと地面につけ、重くて体温が低い体をのしのしと動かすしかありません。 恐竜はどう動いたか、ではなく着ぐるみはどう動けるのか、で恐竜のイメージが固まっていきました。 いや恐竜は鳥に近い生き物などというイメージがボツ採用となるのは必然です。それでも恐竜学の研究者が増えてくると、いや鳥に近いんだけど、という意見が強くなってくるのは当然であり、あとはCGの進歩を待つばかりでした。 恒温動物である鳥に近いイメージで俊敏に動き回る恐竜の映像を作り出すことができる、ならばGOだ、と「ジュラシックパーク」の制作が始まりました。ところがCG制作コストが尋常でなく、能力も限られていたため一作目では恐竜が登場するシーンは全体の1割強です。それも模型を駆使したものが多くCGで動き回る恐竜のシーンは実際には5分と何十秒かしかありません。そこは監督の腕で音を駆使し、観客に恐竜が居る恐怖を味合わせながらわずかなCGシーンだけで、たくさんの恐竜シーンをみたような錯覚をさせる工夫がされていました。 一作目の大成功で二作目は予算大幅アップ、システムメーカーのシリコングラフィックス社や画像処理専用チップのメーカーNvidia社などが急成長しCGの世界は一気にブレークします。恐竜も団体で登場しずっと動き回っていますが、音の演出などの手を抜き、これでもかと大量の恐竜が登場すると臨場感は薄れます。 その後、CG動画制作企業に投資をし時々、訪問していましたが物流倉庫いっぱいのスペースを使ったスタジオにシリコングラフィックス社のCGワークステーションOnixis II をずらりと並べて、たとえばTVコマーシャル15秒を作るのに何億ものコストをかけていました。 今は存在しない恐竜の架空イメージを動かすのに大活躍したCGでしたがCMではCGでつくっていると気づかれないようにする制作でした。例えば自動車のCMの場合、昼間、太陽があるのに道路に車の影が映っていない、とかピカピカの車体に周囲の風景が映っていない、とか実写映像には映っているものをCGで合成した絵で消していく作業です。 現実にはあり得ない映像をつくるのですがその方が視聴者には車が綺麗に見えて印象がいいのでそうするんだということでした。

 

とある恐竜学の本の冒頭、CG動画やイラストはいくらでもあるが恐竜学そのものの本は情けないほど少ないという嘆きから始まっていました。確かに「恐竜とは何か」について深く掘り下げた本はあんまり見かけません。 ほとんどがイラスト集のようなビジュアル勝負ものです。 ちなみに当然ながらCGでつくられる恐竜たちは「おもいっきり想像」が入った産物です。 色はわかりません。 顕微鏡で化石を観察すると色を発色する組織や細胞のような構造がみつかりますので、色はあったんだろうと考えられています。なぜかほとんどが黒か灰色あるいは茶色を発色するものばかり見つかります。たまに「赤」もみつかりますし虹彩つまり光のかげんによって虹色に光る構造がみつかることもあります。ところが鳥を無理やり促成化石にする実験をするとその工程で発色組織が変性し、どんな色のものでも黒か茶色特有の構造になってしまうようです。 なので色があったようなのですが実際に何色だったかはわかりません。 また骨のどこにどう筋肉がついていたかは、ある程度まで現代の生物と同じと考え(違ってるのかもしれませんが)想定はつくのですが恐竜にしかない骨の構造や筋肉の付き方もあるようで化石だけでは筋肉の付き方を全身、高い確度で推測できない部分もあります。 そして筋肉の太さはよくわかりません。かなり適当です。 CGをつくるのはイラストレーターであって恐竜学の研究者ではありません。たとえば化石の研究だけでは鼻の孔の位置はわかりません。口の先端の上についていたのか意外にもっと後ろにあったのでは?など議論は収束する気配さえないのですが、とりあえずイラストレーターは学術的にさっぱり分からない部分であっても何とか全身の絵を完成させないと仕事になりませんから、研究者が文句を言わない部分は思いっきり適当に「創造」してしまいます。 専門家からみればイラストレーターが描く恐竜のしっぽはずいぶんと細過ぎるような「気がする」みたいですが、正確な太さはわかりませんのでイラストレーターの感覚で描かれています。おそらくほとんどの肉食恐竜はもっと尻尾が太く、例外としてティラノサウルスやヴェロキラプトルなどはずっと細い尻尾だったのかもしれません。 尻尾の筋肉、特に一番太い筋肉は現代の動物にはないもので実際どれくらいあったかは推測する手がかりが乏しく大外れかもしれません。 全身の中でも一番太い筋肉がしっぽにあって後ろ足を引っ張り上げるのに使われたと考えられるものもあり、これがもし巨大でパワフルならその恐竜は相当早く走れたことになります。一方、尻尾の筋肉の与力を考慮しないでシュミレーションした場合、大型肉食恐竜は「鈍足だった」という結果がでてきます。 ジュラ紀の代表的な大型肉食恐竜アロサウルスは尻尾の極太筋肉を使って相当素早く走れたのでは、と考えられています。もちろんたくさん化石が見つかるので「代表的」と考えられているのであってもっと代表的なのがいたとしても化石がでていないのであれば知りようがありません。1億年以上も化石が残り、今たまたま発掘され分析されるには恐るべき偶然が重なる必要があり、私たちはかけらのような証拠から太古の世界を覗き見ているにすぎません。 アロサウルスと一見、近い仲間のように見えるティラノサウルスはアロサウルスとは全く違うグループに属し、尻尾と後ろ足をつなぐ筋肉は退化しています。鳥の尻尾はバランスをとるのに使うか飾りになっていますがアロサウルスは鳥とはつながらないグループ、ティラノサウルスは鳥に近いグループで尻尾もアロサウルスよりは鳥に近づいています。ティラノサウルスにとってアロサウルスは自分とは全然ちがうものすごく遠い生き物、ハトはアロサウルスよりずっと近い親戚なのです。ティラノサウルスは腰にアロサウルスにはない巨大な筋肉をもっていたようで、じゃ、どれ位太い筋肉だったか、それは正確にはわからないのです。 で、時速何キロで走ったのか、ものすごく速かった可能性からものすごく遅かった可能性まで指摘されており、つまり結局はわからないのです。 それでも最近はまあそんなものかもという範囲内の速度で走っていたのでは、という仮説がでてくるようになりましたがかつては計算上、恐竜は動けないという結果がでてしまっていました。それはないだろう、明らかに計算の前提が間違っていると考えるのが普通だと思いますが、かつて恐竜は水の中にいたと考えらえていた時代もあります。ティラノサウルスが有名になったのは割と新しい方です。化石の数も限られていました。かつて恐竜といえばプロントサウルスと命名された首のながあ~~~い恐竜が圧倒的に人気がありました。とても動けないという計算になったために水の中で暮らし、それであの長い首を水面に出して息を吸っていたと考えられていました。今日では全身気嚢だらけで骨も軽くて丈夫なケイ酸質のガラス繊維を中心につくられており首のながあ~~~い恐竜を水に入れたらプカプカ浮きすぎてすぐにひっくり返るという計算になっています。 

 

アロサウルスのようにたくさんの化石がみつかるものもいますが、腰の骨たった一個、世界でこれだけというのもいます。 それでも全身のCG画像がつくられています。 あの一個の石から何を根拠に?と思いますが、近い仲間や現代を生きる動物との比較によって失われた部分を推測していくわけです。 全身骨格がそろって発見されるのは大変な幸運ですが、TVや博物館に登場するのはその大変に幸運なものでほとんどの化石はポツンと硬い部分だけみつかるか、バラバラでみつかるか、あるいは全身の骨があるらしいものの何頭かのがごっちゃ、とか、グチャグチャ・バラバラの状態でブロック状に固まったものなどパッと見は残飯にしか見えないようなものです。それを歯ブラシでこすったり歯医者さんが使うドリルやら超音波を当てて少しずつクリーニングしていくのですから私自身はやりたい仕事と思ったことは一度もありません。化石堀りにはいきましたが、あとの分析はちょっとかなわん、、、 無心に集中して単純作業を延々と続ける人にはぱっと見ただけでバラバラの骨が生きていた時にどうつながっていたのか見えるように分かるんでしょうねえ、、、 稀に骨と骨がつながった関節している化石もみつかりますので、これは骨と骨がどうつながり、動いていたかの動かぬ証拠となります。 確実に分かったことを積み上げ、あとは可能な限り今いる動物を調べ、そこにある法則を浮かびあがらせながら、ここはこうなっていた「はず」とやっていくわけです。 

 

恐竜は大人気ですが厳密にいうと本物の恐竜ではなく研究者の執念の研究成果のかけらを元にイラストレーターの素晴らしい想像力を目いっぱい上乗せして作られたCG恐竜のイメージが大人気ということです。 映画に登場する恐竜の唸り声に至っては想像さえしていません。トラなどの現代の動物で迫力ありそうなのを混ぜているだけです。恐竜学とは何の関係もありません。インドの「柵のない動物園」で目の前の大きなトラから思いっきり吠えられたことがありますが。あれはすごい。全身ビリビリ震えます。怖いからというよりトラの声で骨が振動するのです。近くの檻にいた小さな動物は本気で震えあがっていました、あれかわいそうですね、しょっちゅう震えあがっているんですから。いちおクリークがあり水をはってあるのですがその気になればトラは水ぐらい突っ込むような気がしますが、トラでこのド迫力なんで恐竜はすごいんだろうと思いましたが映画のサウンドシステムが吠える恐竜の唸り声は本物のトラの迫力の足元にも及びません。トラの肋骨の振動が自分の肋骨と共鳴している感じ。音が聞こえるというより体が揺れるという感じです。まだまだ映画も工夫の余地がありそうです。 東アフリカ大地溝帯の数百万年前の人類が住んでいたであろう湖畔で早朝、風も上昇風も何もない静かな空を超低空で猛烈な速度で飛び去る鳥の呼吸音には驚きました。多くの鳥はうまく風に乗って力を消耗せずに飛んでいますが、あの時は完全に翼のパワーだけでぶっ飛んでいる状態でした。大型の掃除機を何台もフルパワーで回しているようなものすごい音で息を吐いたり吸ったりする音が大空に響き渡っていました。燕の方が早く飛びますがメートル級で大きな魚を丸のみできる広いくちばしをもった鳥でしたから飛翔エネルギーを生み出す呼吸もパワフルでした。大型恐竜サイズの呼吸音はすさまじかったのではないでしょうか。恐竜の肺や気嚢のモデルをつくってガス交換効率を調べる研究などは行われています。またカモノハシ竜の呼吸音の波長や音量を推定し、数キロ先からでも肉食竜が呼吸音をキャッチできたとする説もありますが正確な推定は無理です。そもそも鳴いたり吠えたりしたかどうかは現代の動物の行動から推測するしかありません。少なくとも多くの巨大気嚢をもっていたようですから圧倒的なパワーアンプはあったのでしょう。 テレビCMにティラノサウルスの交尾シーンがありましたが、まあ圧巻の迫力ではありましたが、、、 生殖器は化石に残りません。恥骨は残りますが、種類によってはほ乳類などとまるで違っています。 実は恐竜化石がオスだったかどうかはわかりません。メスの場合は、骨髄の中に浮かんでいるような独立した骨がみつかった場合、現代の鳥のメスが卵をつくる前に卵殻材料を備蓄しておく骨髄骨をつくるので、恐竜のメスも同じことをやっていたのでは、と考えられています。ただしすべてのメスが常に骨髄骨をつくるとは限らないので骨髄骨がみつかった場合はこいつはメスなんだろ、みつからなかった場合はわからないということになります。 アンキロサウルスのように背中とげとげの恐竜はどうなっていたのか、、、 ステゴサウルスも背中のひれひれが邪魔にならないのか、、、 ブラキオサウルスやアルゼンチノサウルス、ギガントサウルスなどすごいド迫力でしょうが転んだら大変でしょうね。そんなこと心配してもしょうがないのですが映画ではこういうシーンでてこないですね。子供向けにも売りたいからその手のシーンは控えるのでしょうね。R指定にはならないと思いますが。 卵を円周上に並べた化石や抱卵をやっていたような化石など、まめに子育てをしていたらしい化石もたくさんみつかっています。 数平方キロ以上にわたって延々と巣が広がり巨大な首の長い恐竜がいたるところに大量の卵を産み続けていた大規模な営巣地の化石もみつかっています。どうもこのタイプの恐竜は卵を産みっぱなしで、数十センチしかない小さな子供は数十メートルの巨大な大人とは行動も別々で大きくなってから大人の群れに合流したと考えられています。大量産みっぱなし戦略から少数産卵で手間をかけ育てるタイプまで様々なだったようです。数十センチしかないブラキオサウルスの子供は大人とおおむね同じ形をしており、チョロチョロ歩いていると一発で食べられたでしょうが、食べられることを想定してか一度に大量の卵を産みます。ほ乳類の成長速度から推測してこれが数十メートルの巨体になるまで100年以上かかると思われていましたが半分の時間もかからないことがわかっています。骨に刻まれる年輪から恐竜はものすごいスピードで成長したようでティラノサウルスは10年弱で数メートルの大人になり体形もかわりそこから成長速度ががっくり落ちますが十数年を超えるとほとんど成長しなくなり程なく最期を迎えています。今のところ20年以上生きた化石はみつかっていません。巨大恐竜であってもどうやら象や亀より短命だったようです。 かつて勤務していた会社が沖縄でワニ農園をやっていたのですが。恐竜の仲間であり先祖であるワニです。現代を生きるワニは恐竜と共通の先祖をもつということであってクロコダイルが恐竜に進化したのではありませんが。 国内で飼えばワシントン条約違反にならないので卵の孵化からハンドバッグの材料になるまで一貫生産をやっていたのですが、ワニはすぐ子ワニを食べてしまうと担当がぼやいていました。 なるほど親ワニが子ワニをパクパクと口に入れてしまうのですが、穴を掘った巣でかえった子ワニを口に含んで水辺に運んだりしているようで、それも自分の子供でない子ワニの世話を他の大人ワニがやったりオスも子育てに加わるようです。 冷血なイメージをもたれてきたワニが実は社会性の高い動物でありマメに仲間を助けたり子供を育て守る行動をとることがわかっています。ちなみに子供のワニはよく「鳴きます」。親を呼んでいるようです。 恐竜研究に予算が集まるほど、恐竜化石と生きていた時の状態を穴埋めするため現代の動物との比較を求められるのですが、実は動物学の研究はあまり進んでいないことが明らかになり恐竜ブームが現役動物の研究に拍車をかけることになって、現代を生きる動物についてもこれまでのイメージが次々にひっくりかえる研究成果が目白押しです。動物学者もジュラシックパーク様様です。

 

研究成果が次々に発表されているとはいえそれでも映画に登場する恐竜のイメージから実はわかっていないことを消し込んでいくと、ほとんどスカスカになります。

 

ジュラシックパークは恐竜学の学説を調査して可能な限り最新の説のいくつかを取り込む努力をしているようですが皮肉にも映画に登場させたテーマは一気に証拠化石の発掘や研究が加速するため次の作品ができるころにはゴロっと学説がひっくりかえったりしています。ヴェロキラプトルも映画のバージョンを重ねるごとにまるで違う生き物のように進化しています。

 

 

学問上は恐竜は爬虫類に分類されます。恐竜は爬虫類とは全然ちがう性質をもち鳥類に近いという認識はずっとあったわけですが結局、恐竜は爬虫類ではなく鳥類である、とはならずに「恐竜も鳥類も爬虫類である」ということになりました。 

 

鳥は爬虫類なのです。

 

かつて脊椎動物は魚類、両生類、爬虫類、鳥類、ほ乳類の5つに分類されていましたが今日では「鳥類は恐竜の一部」であり、そして恐竜は爬虫類に含まれるとされています。そのため鳥類と非鳥類型恐竜という言い方をする人もいます。恐竜といってしまうと鳥類を含んでしまうからです。

 

爬虫類は大きく二つのグループに分けられ、へび・トカゲのグループとワニに代表される主竜類のグループです。カメはどういう位置か議論が収束しません。 恐竜も鳥類も主竜類に属します。 つまり大きな牛をまるごと一頭平らげるコモドドラゴンという巨大なトカゲよりもスズメの方がティラノサウルスに近い親戚ということです。 クロコダイルとスズメは近い親戚だがコモドドラゴンはものすごく遠い関係とも言えます。 直観的には納得しがたいものがありますが進化の歴史上はそういう関係にあると考えられています。 かつての分類学は界・門・綱・目・科・属・種と分類のクラスターを決め、つまり最初に機械的に仕切られたマス目を用意しておき、そこに様々な動物の種をこれとこれは近いとか、遠いとか比較しながらマス目のどこかに整理するように入れていったのでした。時間軸がないわけです。 その後、年代測定技術が長足の進歩を遂げ、分析手法がそろってくると「いつ」「どのラインからどのラインが分岐した」かに研究者の関心が集まりました。 進化の系統を明らかにしようということです。するとヘビ・トカゲのグループはワニの仲間とは互いに交わらず別々の進化の道を進み、ワニの仲間から恐竜が、恐竜の仲間から鳥が進化していったと考えられるようになってきました。最近のTV番組でも大きな樹木を描き、太い幹とか細い枝とかのどこにどの種が位置しているという絵を多用したりCGで光の束が進んでいきながら枝別れして別の種が現れる描写などをみかけますが、分類学の変化を取り入れたものです。 分析手法が増えたというのはひとつには恐竜化石のCT画像をとるのはお医者さんに治療目的ではない化石の分析をするためCT貸してくださいと頭を下げなければいけなかったのがジュラシックパークのおかげで今では当たり前に古生物学者が自分でCTをもっており自由に使い放題です。 今まであった技術を大きな予算で使いやすくなったという一面があります。 今ひとつは技術革新そのものです。IRセンター(放射性同位元素を扱う研究施設)に出入りして実験をしていたころ、カーボン年代測定はどうしようもなくいい加減という話をよく耳にしました。大気中の炭素14と炭素12や炭素13との比率は常に一定であり、生物が炭酸ガスを固定してそれを食べた肉食動物も含め化石になってから炭素14が減っていくので炭素12、13、14の比率を測定すれば死んでからの時間がわかる、という話なのですが実際には大気中の炭素14の存在比率は変動してきました。そのため年代測定は豪快な誤差を含んでいたのです。ところがよく近くを通っていた三方五湖のひとつ水月湖に世界中の研究者が絶賛した貴重な堆積土とこれを分析した研究があります。湖底の堆積物が夏と冬で異なるので年縞と呼ばれる一年ごとに年数を数えることができる「記録」となります。生き物や風、洪水などがかき回したら終わりなので静かに表面だけ水が入れ替わり底はずっと安定し酸欠で生き物がいない等などいくつも条件がそろわないと綺麗な年縞は維持されず水月湖の資料は断トツです。5万年の記録が一年ごとにあり、更にもっと古い記録も分析されているようですが、北極や南極で採取されるアイスコア(氷をボーリングすると年ごとの縞がみられ、そこに当時の大気が閉じ込められています)にはない落ち葉が時々みつかります。こうして大気サンプルと生物の炭素で何年前かがわかっている標本がそろい炭素14の比率がどう変動していたかが推定できました。その後はカーボン年代測定は精度が跳ね上がったのです。もっともカーボン法は5万年をこえるとそもそも炭素14が減りすぎてほとんど精度がなくなっていきます。恐竜時代は2憶3500万年前の三畳紀からジュラ紀、そして6600万年前の白亜紀で終わっています。この時代の年代測定に決定的な精度をもたらしたのはカリウム・アルゴン法でした。大気中のアルゴンはごくわずかで不活化ガスというくらいですから化学反応性がほとんどなく骨にはとりこまれません。ところが放射性カリウムの同位元素が時間とともにアルゴンに変化し、化石中のアルゴンが逃げなくて、かつどんな考古学の調査でも非常に重要なことですが化石に後世の物質が混じっていないと考えられる場合は化石中のカリウム放射性同位元素とアルゴンの比率はその化石の主が死んだ年代を示していることになります。当時のアルゴンの密度など考えなくてもいいのでこれはかなりの精度があると考えられます。この手法も昔からあったのですが化石中のアルゴンを正確に全量回収するのがむつかしかったのです。そして回収率が高い抽出法が登場し精度が跳ね上がり分析手法の切り札の一つとなりました。それぞれの化石の年代を正確に調べられるようになりいつ、どの恐竜が存在していたのか、分類箱に通していく時間の軸が俄然、精度を増していったのです。また骨がつくられたときの温度によってカルシウムにストロンチウムが混じる率が変化することがわかっています。炭素13と酸素18という炭素、酸素それぞれ代表的な炭素12、酸素16よりも重い原子同士が結合している比率はこれらが結合したときの温度に依存するという研究もあります。恐竜の卵の殻の化石中の炭素13・酸素18の重い分子同士が結合している比率を調べた研究成果の一つに白亜紀に生息していた大型の首の長い竜脚類の代表格ティタノサウルス(草食獣です)では母体の体温は38度C、肉食竜としてよく繁栄していたオビラプトルの仲間の場合32度C未満~ と報告されています。体積と表面積の比率を考えれば図体が大きい恐竜は体温が高かったはずと昔から考えられていましたし、小さな頭のスカスカの歯ですくった葉っぱを丸のみする首の長い竜脚類は消化管の中で醗酵熱を生じて特に体温が高かったという説もあります。一方、狩りをする二本足で走り回る肉食の獣脚類は機敏に動き回るために草食恐竜より体温が高くしかも体温が一定の恒温動物だったのではという説もあります。さきほどの報告は逆の結果を示していますがまだまだデータがそろわないと何ともいえません。魚は一般に変温動物ですがマグロは恒温動物ですから。時速80キロも出せますが大人になったらほぼ一生高速で太平洋などをぐるぐる泳ぎまわるんですから体温を高く維持する仕組みをもっています。 いろんなのがいるのが生物なんで恐竜もデータが増えてこないと何ともいえません。 今、手元に文献が見当たらないのですがネット検索には論文がでてこない時代の研究でティラノサウルスの骨の化石1万か所を丹念に調べた報告がありました。紙でもってたはずですが。シカゴの有名な“スーちゃん”と呼ばれる大人のティラノサウルスの化石です。メスかどうかはわからないのですが研究していた女性がスーと呼ばれていたので恐竜の愛称にもなりました。わざわざシカゴまでいってスーちゃんの本物の頭の化石をナデナデして抱きついた時はもう感動でした。で、どうなの? というと何と頭の先から尻尾の先まで体温はピタリ同じだったのです。人間でも体の場所によって1度くらい温度差がでますがスーちゃんは全身といっても骨しか資料がないので体表の温度は低かったはずですが骨の温度はぴたり0.1度C単位まで同じ温度だったのです。スーちゃんは冷え症とは無縁だったようです。体温は結構高い温度だったですが記憶が、、、、たしかカルシウムストロンチウム法でやったんだと思いますが。この論文最近さっぱり引用されてませんね。一般に女性研究者が画期的な研究成果を発表すると世界中の研究者を敵に回しますが。なおワニなど現生爬虫類は変温動物なので日なたぼっこをして体温を上げないと活発に動けません。 オビラプトルの仲間は化石も多く映画でも人気ですがティタノサウルスは白亜紀の王者であったにもかかわらずあまり名前が知れていません。とにかく白亜紀の恐竜化石というとまず圧倒的に多数がティタノサウルスのものです。ほ乳類の中で言えば牛に相当する位置と考えられています。ほ乳類の消化器は一番原始的な馬の仲間の場合、食べたものをかなりそのまま出してしまう、つまり馬糞でだしてしまう非常に効率の悪い消化しかできないグループ、ネズミや豚や人間の様にそこそこ消化するグループ、牛やシカのように非常に効率よく消化し腸内細菌が食べ物を分解し今度は原生動物がそれを食べて効率よくたんぱく質を生成する仲間に大別されます。ほ乳類の進化はまず消化管をベースに分類されるため、進化上、ウシは人間より上位に位置されています。今日のサバンナの動物といえば圧倒的多数がヌ~とあとはアフリカ水牛です。次がトムソンガゼルというシカに見えますがシカも牛も同じ仲間です。で、インパラとかほとんどが牛の仲間でイボイノシシは若干、肉食獣は草食獣より三桁くらい少ない数です。飼料効率の悪い馬はサバンナには向いていません、もっと痩せた土地で敵が少ないエリアを広く走り回ることで生き残っています。もっともサファリへいくとシマウマは割と目につきます。ところが実数調査では案外わずかしかいません。キリンも目につく割には数が少なく絶滅が危惧されています。サファリツアーに参加すると人気のあるシマウマやキリンをみやすいところへ案内するのでしょうか。またディグディグという子犬程度の大きさの生き物は至るところにいます。これは牛の仲間です。ちょっとした草叢には必ずいます。どうみても圧倒的多数派にしか見えないのですが調査データでも全く載っていなかったりします。見た目がかっこよくないからでしょうが、実際にサファリへいくと圧倒的に数をみるのがディグディグとアフリカミドリザルであり、あとは隠れているのでみつけにくいのですが、ウサギも結構います。ただこれらの動物たちはいずれも野生の王国的なTV番組には登場しません。 基本的にあの手の番組が映す映像は絵になる限られた季節の限られた場面です。実際には草食動物は結構強気でそれこそたくましい若いシマウマはライオンをにらみつけておびえる様子はありません。自分の方が足が速いので怖がる理由はありません。また大型草食動物が大移動するとライオンはついていけないのですが、しょうがなく野ウサギを追っかけまわしてくいつなぎ、ガリガリに痩せこけていきます。現代のサファリでさえ「作られたイメージ」がお茶の間TVをにぎわしているのですから誰もみたことがないジュラ紀や白亜紀のCG映像はまあかなり相当な創作なのでしょう。  さて、ティタノサウルスは食べた植物から効率よく動物性たんぱく質を腸内でつくれるように進化し爆発的に繁殖したと考えられています。かつてジュラ紀はシダ類の巨木の森が広がり首のながあ~~~い竜脚類が高いところの葉っぱを食べて繁栄していたが、白亜紀に入り巨木の森が被子植物との闘いに敗れて草原が広がると口が下について草を食べることができるトリケラトプスのような鳥盤類にとってかわられたと考えらていましたが、白亜紀にも首のなが~~~いのは存在しており特に後期はティタノサウルスが圧倒的に繁栄していたと考えられています。トリケラトプスのような角もなくアンキロサウルスのような鎧もなく何も武器を持たないティタノサウルスですが抜群の消化効率と成長速度、繁殖力で白亜紀を制覇し、また巨体の割には早く走れたようです。ということでたくさん化石がみつかるものですからまず草食の代表格を調べようとしたらティタノサウルスが候補になるのは当然の成り行きです。

 

CG動画の影響力の強さに隕石衝突のシュミレーションがあります。Youtubeでもすごい再生回数になっているものがいくつもアップされていますが恐竜を絶滅に追い込んだとされる隕石衝突の模様をあたかも見てきたように再現しており、確かに迫力はあります。ところが実際にはどれくらいのインパクトだったかよくわからないのです。隕石衝突の際にとびちったと考えられる珪酸化合物つまり軽石みたいなものがヨーロッパでもたくさんみつかりますしユカタン半島付近に衝突した隕石の一部は大気にのって地球の反対側までも届いたのでしょうが、衝突による直接の衝撃波、熱波、津波、そして一番破壊力が大きくシュミレーションもむつかしい火砕流など北中南米の周辺地域には直接ダメージを与えたと考えられていますが、それ以上はわからないのです。南米チリ沖地震の波が太平洋を越え翌日三陸沖に大打撃を与えましたが1960年のケースで波が伝わる速度は時速700キロです。ジェット旅客機の巡航速度より少し遅い程度です。日頃見なれたイメージのある海の波は波長が短いものであり伝播速度も遅いですが長波は凄まじい速度で伝わり陸地が近づいてくると前をいく波ほど速度が遅くなるので後ろからくる波が重なり波高が高くなって津波として襲い掛かってきます。巨大隕石が衝突したら津波ひとつとっても半端ない破壊力だったと考えられますが、恐竜以外の多くの生き物が隕石の衝突を生き延びたのですからYoutube動画でよくみる地球一周以上の猛火に包まれるような衝撃はなかったと考えられています。もしそうならほとんどの陸上動植物が死に絶えてしまうでしょう。鳥もほ乳類もワニ、へび、トカゲ、カメも淡水魚にカエル、昆虫など多くが生き延びたのです。恐竜絶滅に隕石衝突が大きく関与したこと自体を否定する意見は少数ですがあれ一発で一瞬にして滅んだのではないのでしょう。もちろん気候変動の結果、数百年以内に、あるいは数年以内に絶滅したのかもしれませんが隕石衝突後の気候変動については百花繚乱状態です。 ただひとつ言えるのは生き延びたのはおおむね体が小さいやつばかりだった、ということです。 海でもおんなじです。海竜は絶滅し空では翼竜が絶滅しそれぞれ魚と鳥は生き延びました。恐竜滅亡後も高さが3メートルもあるおそらく見た目は肉食恐竜みたいな恐鳥が食物連鎖の頂点に立った時代がありましたがその大きさのまま隕石衝突を生き延びたのではなく、生き延びたあと競争相手のいない大きさまで巨大化したようです。 なお恐竜はペンギンなど鳥類を除くと海には進出できませんでした。ジュラシックパークで俄然有名になったモササウルスなどの海竜は昔は爬虫類であって恐竜ではないと言われていましたが今日では恐竜は主竜類というワニの仲間、海竜はトカゲの仲間と呼ばれています。何とかサウルスとトカゲの名がつく恐竜が多く、そもそもディノサウルス=恐竜とは恐怖のトカゲという意味ですが恐竜とトカゲはすごく遠縁であり、海竜はさらに恐竜からは遠いグループで元々は浜辺を走り回っていた小さなトカゲが海にはいって巨大化したと考えられています。 スピノサウルスというティラノサウルスよりも体は大きく顎は全然小さくおそらく魚を食べていた(魚といっても何メートルもあります)と考えられる恐竜が時折、海を泳いだようですがモササウルスの仲間に食べられたと考えられる化石があります。映画ではこうした事実を反映してラストに近いシーンでスピノサウルスを遺伝子改変した恐竜がプールから突然あらわれたモササウルスに一発で水中にひきずりこまれる場面があります。 一方、空を飛ぶ恐竜のように見える翼竜は主竜類ではありますが恐竜とは別の系統です。 恐竜時代よりも前に恐竜にはつながらない別の小さなワニの仲間が進化したようです。 プテラノドンやケツァルコアトルスよりもスズメの方がティラノサウルスにはるかに近いということですが、意外にも陸上を走る恐竜より空を飛ぶ翼竜の仲間の方が先に出現していたことになります。 

 

恐竜は突然ではなく数千万年かけてジワジワと衰退していったものという考え方も昔からあります。ティラノサウルスは隕石衝突の際に生きていたはずですが隕石衝突時のティラノサウルス生息地域内からは他の種類の大型肉食恐竜の化石は一つもみつかりません。ティラノサウルスが競争に勝ったのかもしれませんが草食恐竜も種の数が激減しています。ちなみにティラノサウルスは決して最大の肉食恐竜ではなく、また一見よくにた骨格の他の肉食恐竜もたくさんいますが比べてみれば違いは明瞭です。圧倒的な顎をもち、「噛む力」は他を寄せ付けないものがあったと考えられています。多くの肉食恐竜は切れあじ鋭い薄い歯をもっていましたがティラノサウルスの歯は太く骨も砕いたと考えられる証拠がいくつも発見されています。またほ乳類の頭蓋骨は互いの骨のプレートがぴたりとくっついていますがティラノサウルスの頭蓋骨はどうやら重ね合わせ部分は互いに滑り込みあったと考えられ(異論もあります)衝撃を吸収することができたという説もあります。過去に滅んだ動物といっても1億年を超える進化の時間の間に現代のほ乳類よりも遥かに優れた機構をもつに至ったと考えられています。 さて多様性の喪失という言い方をしますがある生物のグループが繁栄しているかどうかを考える際に化石はごく一部をみているだけなので生息数の絶対値などはわかりません。人口調査は無理な話です。 多くの離れた地域でたくさん化石がでてくればおそらくたくさんいたんだろうとは考えられますが。 基本的にはどれだけの種がいたかをもってよく繁栄していた、とか種の数が減っていくと衰退していったと考え、種の数が増えていくと多様性の増大が見られるといいます。恐竜の多様性は絶滅の3千万年前から失われ続けていたという報告があります。その後、ティラノサウルスがいた北米ではそうだったかもしれないがアジアやヨーロッパでは多様性は維持されていたという報告がでています。また白亜紀の恐竜は病気だらけという報告もあります。ジュラシックパークでも病気の恐竜が登場しライラックの実を食べて毒にやられたと説明されていますが、草食恐竜は植物の毒によって自己免疫疾患を発症し、肉食動物は植物毒が濃縮されている草食動物を食べてやはり病気だらけだったという説です。お花畑仮説ともいいますが、シダ類などの裸子植物が巨木の森を形成し、その葉っぱを首のながあ~~~い恐竜が少々食べたところで大勢に影響はなかったもののこれが白亜紀に入り被子植物が登場すると状況は一変したと。花粉を確実に運んでくれる昆虫とWinWinの関係を築き、昆虫には蜜や花粉を食べさせ派手な花を咲かせるようになり被子植物は確実な遠距離交配による多様化戦略を進め、一方のライバルである裸子植物は花粉を偶然に任せて風にのせて飛ばすだけでほとんど自家受粉してしまうため多様性が得られません。つまり被子植物は爆発的に多様性を増大させていろんな種類の花を咲かせるようになりいろんな環境に適応し裸子植物を圧倒していった。被子植物は概ねパートナーの昆虫を決めています。そいつには卵をうんで幼虫がかえっても多少の葉っぱを食べさせます。ところがパートナー以外の昆虫には毒を盛ります。青虫が葉っぱの上を這うときの振動数は種によって固有で違う振動数をキャッチすると被子植物は直ちに毒を浴びせます。昆虫の側でも「トル」と呼ばれるレセプターをもっており植物のメッセージ物質をキャッチする仕組みをもっています。ほ乳類の樹状細胞にもこれとよくにたレセプター「トルライクレセプター」略してTLRをもっており、樹状細胞の場合は細菌やウイルスの共通構造を認識します。被子植物は役に立つ昆虫にはずっと餌を与え続け、ただ食べにくるやつにはひたらすら毒を盛り、広い範囲の仲間と効率よく花粉を交換しあい多様性を増大させるに伴ってパートナーの昆虫も爆発的に種の多様性を増大させたと考えらえれています。動物の種の大半は昆虫です。 昔は昆虫は80万種以上いる、とか動物140万種のうち110万種が昆虫とか、時代と共に推定値は変動しています。ほ乳類は最盛期でも1万種にまるで届きません。実は種の多様性ということではほ乳類は人類の文明が地球環境に影響を及ぼす前からピークを過ぎて絶滅に向かっているように見え、そこへ近年の環境破壊や気候変動でさらにその傾向に拍車がかかっています。

 

恐竜化石がみつかるのはおそるべき偶然の重なりではありますが、あるところにはゾロゾロといくらでもでてきます。ジュラ紀の恐竜の化石を太平洋の海底で探してもまずみつかりません。深すぎてそんな調査はやってられませんが。 プレートテクトニクス説のヒントにもなりましたが太平洋の西部の海底には白亜紀の岩石が分布し東太平洋の海底の岩石はもっと新しい時代のものです。ジュラ紀の「海底」はもう西の端まで移動した後、別の大陸プレートの底に潜り込んでいます。恐竜学の母国英国のブリテン島南海岸には一部が世界遺産に登録された白亜の岸壁が何百キロも続いています。波などに削られて遠くからみると絶壁のように見えますが、ある程度登ることもできます。白亜は海洋プランクトンが堆積してできますが学校で使っていたチョークのことです。英国南岸の白亜の壁は名前の通り白亜紀の地層です。隣にやはり同じ世界遺産登録となっている赤茶色の壁が続きますがこちらはジュラ紀の地層です。この延々と続く海岸をものすごい人数の素人化石ハンターが歩き回り、ある程度までなら手で発掘できます、チョークですから。恐竜化石の発見は日常茶飯事なのです。河口に波が押し寄せ内部を削り潮汐力で更に円形に削っていき河口から綺麗な円形の入り江になっているところもあります。河口から岸部を半周すると白亜紀の新しい時代から古い時代まで数分で散策することができます。当初は英独仏などが化石研究の中心でしたがやがて広漠とした大地が広がる米国モンタナ州、中国ゴビ砂漠などが恐竜化石発掘のメッカとなり今日ではアルゼンチンや日本なども発掘ラッシュで何といっても数では中国の数か所が圧倒的です。 かけている人数が違うという面もあります。 恐竜が発生したころには大陸はパンゲア一つでした。 化石もヨーロッパを中心に発掘されていたためどこにでもおんなじのがいるというイメージが広がっていましたが白亜紀にはいくつもの大陸に分かれており南極には南極大陸独自の恐竜が進化していました。地域ごとに調査する重要性が強調され今日では発掘地域は多様化しています。それでも延々とジュラ紀や白亜紀の地層が続く場所はスポットになります。アルゼンチンで世界遺産登録された赤と白の奇岩地帯は赤茶色のジュラ紀の地層と純白の白亜紀の地層が交互に重なりならがら何度も褶曲し複雑な縞模様が延々と続きます。やみくもに掘るより確度の高いところを狙いますのでどうしてもある発見がきっかけになると続々と類似する発見が爆発的に続く傾向があり、その時、発見ラッシュだった化石を元にイメージが作られてしまうので、すぐにまた別の発見ラッシュが物語を書き換えることになります。

 

 

 

「恐竜とは何か」

 

小型のワニの一部が高速移動能力と低酸素分圧、そして広大な砂漠が延々と続く環境に適応した生き物です。初期の恐竜と恐竜の少し手前と考えられる生き物の化石が増えてくると、どこから恐竜か微妙になってきているのですが最初の恐竜として脚光を浴びたのがエオラプトルです。 全長3メートルほどの肉食恐竜と考えられていましたが別の恐竜の骨が混じっていたことが後日判明したり紆余曲折を経て、今日では1メートルくらい? とも言われています。長い尻尾と首を含めてですから人間より全然小さいです。大きいのがいるから人々の注目を集めるのでしょうが多くの恐竜は人間サイズ以下です。恐竜時代に人間がいればそれなりに俺は強いぞとえばれるはずですが、やっぱり巨大なのもゴロゴロいます。

 

恐竜の先祖がうろうろしていたころは「哺乳類型爬虫類」と呼ばれた(今はこの言い方はしませんが、よく実態を反映していると思いますけどね)様々なフォルムの爬虫類大全盛の時代でした。牛、サイ、像、シカ、キツネ、いのしし、、、、 今日のほ乳類の一通りの種類にどこか似ているものが一通りそろっており、更に加えて独自のフォルム(まあ形ですね)の膨大なバリエーションを誇る多種多様な爬虫類が全盛で今日のほ乳類よりも繁栄していたと考えられています。その中で主竜類の大型のものは食物連鎖の頂点にいました。10メートルに少し届かないくらいのワニ等が闊歩していたのですが今日のワニのように腹を地面につけるのはむしろ例外で、通常、水辺から離れた草原などを脚で胴体を完全に持ち上げてのし歩いていました。現代のワニは水辺にしかいませんが当時、ワニは種類が多く、草食のワニ(想像できますかね?)雑食のワニ、いろんなのがおり、あらゆる陸地に広がっていました。そこへ史上最大の大量絶滅の悲劇が襲います。火口の直径が1000キロを超える巨大火山が噴火します。スーパーブルームという通常の火山とはメカニズムが違うのですが、それは棚にあげてともかく超巨大火山噴火があり地球環境は一変します。99%の生物が絶滅したから、いや98%、95%、いやいや9割くらい、いやあそれほどでもなくて8割くらい、とだんだん学説としては生き延びた動物が増えてきているのですが、ともかく最大規模の大量絶滅により爬虫類の圧倒的な全盛期は幕を閉じます。恐竜が誕生した三畳紀という時代は支配者が消えた不毛の大地にただ砂漠が広がり昼間は酷暑、夜は酷寒、たまにポツンとオアシスがあるだけという光景だったと考えられています。大気の酸素分圧は今日18%ですが、この時代9%ほどと考えられています。大気圧がいくらかはなかなかわかりません。あくまで分圧、つまり大気の中に占める酸素の割合しか推定できません。 かつて大型恐竜は動けなかったはず、という話と同様、翼竜は飛べなかったはずというシュミレーション結果しかでなかったのですが、ひょっとして恐竜時代は大気圧が今より高い、濃い空気だったのではという説も流れました。今日ではしゃがみこんだままジャンプ力を利かしていきなりバッと上空へ向け飛び上がったんだろうという詳細な説が語られています。エオラプトルが砂漠のオアシス間を走り回った時代に何気圧だったかはわかりませんが酸素分圧が低いため激しい運動をするには私たちほ乳類のような呼吸器では無理があります。 かつて恐竜の基本的な特徴として脚が骨盤の下へ向かってでているということがありました。今日ではエオラプトルより古い恐竜前駆的な生き物にも同じ特徴がみつかっています。 現代のワニは脚が胴体の横向きに出てから地面の方向へ曲がっています。そのため、腕立て伏せ状態で歩かないといけないわけで、実際腕立てふせで歩いているワニの姿もみかけますが基本的にお腹は地面につけています。これでは長距離走は無理なので(ワニは短距離ならむちゃくちゃ速いです、のんびり昼寝しているように見えても近づかない方がいいとおもいますよ。私、アフリカで目の前1メートルほどの距離で巨大ワニの金と黒のまだらの目と睨みあったことがありますがあれはギラアンとスゴイド迫力でした。幸いにも食われずにすみましたが)新時代に適応するにはまず足が胴体の下に向いて出ることで骨の強度で体重を支え腕立て伏せしなくてもいいことが前提条件です。更に人類は垂直二足歩行を常態とする唯一の動物ですが最初に登場した恐竜は水平二足歩行であり、太い後ろ足で体重を支え、腰の骨からつり橋のワイヤーの様に丈夫な腱が伸びて全身各部位を引っ張って支えています。つまり全体重を腰骨のタワーに集めてそこから真下に伸びる後ろ足の骨に全体重をかけているわけです。こうして極力筋力を使わずに体を支えて筋力は移動するために使います。数百キロ先までオアシスがないかもしれない砂漠を走り回るのに軽くて燃費がいい体である必要があります。恐竜の骨にもカルシウムはありますが珪酸、つまりシリコンをベースにしたガラス繊維が多用されていました。軽くて丈夫です。将来、鳥として羽ばたく軽くて丈夫なグラスファイバーは重要な武器になりました。鳥の骨を食べない方がいいというのはガラス質は喉や胃壁に刺さっても永久に溶けることはないからです。これは副次的に非常に有利なポイントがあります。陸上にあがった動物は何が困るかというとナトリウムとリンの確保です。 海にいた脊椎動物のご先祖様は体内に芯としてリン酸カルシウムのくねくね棒のようなものをもつにいたり、それである程度、泳ぐ方向を安定させることができましたが、川という淡水へ進出する際にはリン酸カルシウムタンクとして機能することになります。ところが体を支える骨として進化してしまったため上陸後は常にたくさんのリンを確保する必要がうまれ、海とちがって手に入りにくいリンを探し回ることになります。皮肉にも骨をつくるのに大量のリンを必要とする体で上陸したため後が大変でした。カルシウムはそれほど困りません。骨が弱くなるのはカルシウム不足ではなくそんなものは何を食べても十分含まれているので、現代人は異常に極端にリンを取り過ぎるからバランスをとるため骨のカルシウムが溶け出し骨がもろくなるのです。  恐竜は他の動物ほどリンを必要としません。これはずいぶんと有利です。 リン鉱石は今日でも鳥の糞グァノが堆積したナウル島かヨルダン・シリアなど一部の鉱脈に限られますが恐竜や鳥類が他の生き物を食べて要らないリンを排泄するので営巣地や渡りの中継地になる島にはリン資源が蓄積するわけです。 地球にはいくらでもある軽い「砂」を材料にするような珪酸質の骨をもち二本足で体重を支えながら筋肉の力は体重を支えるのではなく「動く」ために使える。 そして恐竜はおそらくいきなり羽毛をもっていたのでしょうが、昼間は強烈な日差しを防ぎ、夜は氷点下何十度という酷寒に耐えるため羽毛に覆われたからだを鳥が卵を抱くような姿勢で凌いだと考えられています。卵はないのにそういう姿勢の化石がみつかっています。抱卵ポーズはこの時すでに原型があったわけです。かなり推測の域に属してはいますが初期の恐竜は羽毛に覆われた前脚を翼のように左右に広げ揚力を発生させて体重よりも軽くなった体を「翼」でバランスをとりながら疾駆していたのでは、と考えられています。 恐竜は最初からいきなり離陸目前の地上滑走をしていたということです。ただし空を飛ぶほど筋力はなく、後ろ足は重すぎ、羽毛は鳥の羽毛ほど繊細で軽く丈夫なものではなく保温用と考えられています。 他の爬虫類にもみられはしますが恐竜はおそらくアンモニアや尿素ではなく、尿酸を排泄したと考えられています。たんぱく質も遺伝子も窒素を含む物質でできており、この窒素をアンモニアにしてしまうと毒です。魚類の場合はそのまま周囲に流してしまいます。海ならこれで困ることはありません。沼の場合は対策が必要ですが、爬虫類の場合はアンモニア排泄もあれば尿素にして無毒化してから排泄することもあります。尿素は化学的には安定ですが排泄するには大量の水が必要であり水辺に生きるワニならこれでもそう困りません。ところが砂漠を走り回るところからはじめた恐竜は少しでも水分を失わず、また体重を重くしないために少しでも体内に蓄える水を少なくする必要もあるため余計に水分ロスを防ぐ必要があり徹底的に尿から水を絞り、尿素を尿酸にしてあの白い糞のようにみえる「鳥のおしっこ」を排泄します。 そして気嚢です。これはCG抜きで説明するの大変ですが。私たちの肺は袋にストローを一本さしたような構造です。吸って、肺でガス交換して、吐いて、とやるため概ね呼吸プロセスの中で3分の1位しか実質的なガス交換をしていません。 今日の鳥は複雑な気嚢ネットワークをもっていますが、簡単に言えば肺の中を連続して新鮮な空気が流れ続けるように気道以外にも空気の通り道やポンプとして気嚢を使います。肺より奥にある気嚢が膨らみ続ける間は空気を吸い込むので前にある肺にどっと空気が流れ続けます。その気嚢がいっぱいになると今度は肺を通過して炭酸ガスを多く含む空気を吐くのですが肺には戻さず別の気嚢との連絡をつかいます。そして肺の前部につながる別の気嚢が肺に空気を送りこみます。後ろの気嚢が膨らんでいた間に気道から肺に入る空気とは別の気嚢ルートの空気を取り込んで膨らんでいたのです。で、今度は前気嚢が肺に空気を送り込む間、後ろのメイン気嚢は縮んでいくわけですが、この間、前の気嚢→肺と流れる空気を輩出する別の気嚢システムが動きます。気嚢は大きなものが肺の前後にありますが他にいくつもあり骨の中にあるもの外にあるもの様々が互いにつながり弁があり、複雑なネットワークを形成しています。恐竜の気嚢の詳細はわかりません。骨に気嚢があったと考えられる特徴はあるのですが柔らかい気嚢そのものは化石になりません。結局、連続ガス交換方式により恐竜はわたしたちほ乳類よりおおむね3倍程度の効率で呼吸ができたと考えられています。それで低い酸素分圧でも高速移動できたと考えられ、これがのちの時代、酸素分圧が今日並みに戻るころに非常に高い運動能力を必要とする飛行を行うのに十分な酸素供給を実現する武器になったと考えられています。

 

ワニをはじめ爬虫類全盛の時代が桁違いの巨大火山噴火によって突然おわり、荒漠とした砂漠大陸を走り回った恐竜はそれまでの生き物とはまるで違う生理機能をもっていました。 その進化のジャンプ力はすさまじく、恐竜は宇宙からきたのではないかという話がでるくらい既存の生き物とは大きく異なります。恐竜を爬虫類と呼ぶにはあまりにも違い過ぎるのですが、確かにワニと恐竜の中間的な生物の化石がいくつもみつかるようになりました。

 

恐竜は自分より遥かに大きな肉食ワニ(草食ワニもたくさんいましたので)に食われないよう素早く走り回っていた小さなワニから大砂漠を翼のような前脚を広げて疾駆する新時代の寵児となりましたがオアシスで水を飲もうとするとやはりそこには自分より大きな肉食の生き物がいくつもいました。この状況は恐竜が全盛期を迎えてもかわりません。淡水の中には数メートルクラスの両生類、つまり巨大カエルもおり水辺に近づく恐竜を丸のみしていたと考えられています。また恐竜と共に絶滅した多くの種類のワニがおりディノスクスのように10メートルを超えるものがいました。おそらくティラノサウルスより大きな個体もいたであろう巨大ワニが水辺で待ち伏せていたようで大型肉食恐竜に歯型を残した化石もみつかっています。少数意見ですが恐竜時代であっても陸の支配者は恐竜ではなくワニであるとする学説もあります。空には先に進化した翼竜が飛び回り、海には先に海に進出したトカゲが巨大化して海竜となって、どちらも恐竜は進出できず、陸でも水辺には強力な敵がいたようです。恐竜は巨大だから人々の興味を引くのでしょうが、陸上草食動物としては確かに恐竜の中の竜脚類の仲間に史上最大クラスのものがいます。一方で肉食動物に関しては恐竜は基本的に体が小さいのが多く、巨大化したものいるにはいますが同じサイズか恐竜を上回る肉食の生き物がいたわけです。海には現代にも巨大なクジラがいますが、恐竜時代とそれ以前の時代から陸には巨大ワニや巨大カエルがおり、また恐竜時代以前にはメートル級の巨大トンボが圧倒的な筋力で強力なプレデターとして君臨した時代があります。海には数メートルの巨大ウミサソリ(化石から生きていた時の全長を正確に推測するのは非常に難しく推定値にはかなりの幅があります)、肉食ではなかったと考えられていますが2ないし3メートルのヤスデがまだ動物が少なかったころの陸地を這いまわっていました。装甲した頭部に強力な顎をもつ10メートル級の魚や10メートルを超える翼竜、20メートルを超える海竜など恐竜以外にもいくつも巨大化した生き物がいます。恐竜絶滅から500万年か1000万年ほど経ったころに最大推定値20メートルとも考えられる史上最大のヘビであるティタノボアが出現し、すぐに滅亡します。海にも巨大サメであろうメガロドンが出現し世界各地で大量の歯の化石がみつかっています。歯の化石だけで全長はわからないのですがそっくりの形のホオジロサメの歯が子供の歯に見えるくらい巨大ですので図体もさて10メートルではすまず20メートルくらいはあったのではという説があります。恐竜とは非常に軽くて丈夫な骨をもち高速移動に向いた体の構造にほ乳類の3倍といわれる効率のいい呼吸機能をもち、乾燥対策に徹しており、少なくとも小さな個体は全身羽毛に覆われ保温能力に優れた生き物である(大きな個体は羽毛がなくても体が大きいこと自体が体温を安定させ、また実際に鱗の化石にみえるものもみつかっており大型恐竜が大人になったら全身羽毛ではなかったという説が有力です)、ということが本質で巨大化については恐竜のみならず生物の進化の歴史で何度も起こっていることであり、恐竜は2憶3500万年前に出現し鳥類を除けば6600万年前に滅ぶまで長きに亘り繁栄し、しばしば巨大化する種が現れたということになります。

 

最初から鳥っぽい特徴をもって登場した恐竜でしたが進化の枝分れをしたほとんどの仲間は絶滅しコエルロサウルス類という小さな恐竜が種のバリエーションを多いに増やし、一部が鳥になりました。コエルロサウルス類は尻尾がすっかり細くなりどんどん補助的な役割を担うだけになっていきました。それまでの筋肉だらけの太い尻尾のパワーを高速機動に使っていた肉食恐竜とは一線を画しています。そしてこの小さな肉食恐竜のグループの中から白亜紀の終焉、恐竜時代の終わりを告げるころに突然大型化したティラノサウルス類が進化します。鳥はワニに代表される主竜類に含まれ、その中の恐竜類に含まれ、そして恐竜の中でも二本足で走るほとんどが肉食の獣脚類に含まれ、その中でもコエルロサウルス類に含まれます。やはりスズメとティラノサウルスは非常に近い親戚なのです。

 

エオラプトルは生き物がすっかり少なくなった大砂漠の中で何とか生き残った昆虫や小型の哺乳類を素早い動きで捕食していたようですが肉食恐竜が大繁栄するにはまず気候が温暖かつ湿潤になって植物が繁茂し、それを食べる草食恐竜が登場する必要があります。そしていつの時代もどの地域でもおおむね巨大草食恐竜と巨大肉食恐竜は不可分なペアとして登場も強大化プロセスも消える時も同時です。 肉食がほとんどの獣脚類から鳥への系譜はある程度みえているのですが、ではあの首のながあ~~~い四本足の草食恐竜である竜脚類やステゴザウルスやトリケラトプスのような鳥盤類はどういうルートで進化してきたのでしょうか。 よくわからないのです。 

 

 

 

 

 

 

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