藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2011年06月12日

  

えとせとら

2011.6.10.
 
 
元経済産業相高官の方のお話をお聞きする機会がありました。
 
震災復興がテーマでありながら、日本が誇るべき海外へ輸出する
復興の原動力となる技術の一つに、「安全な日本の原発」を
揚げておられました。
 
この方の見方は、個人のものというより、日本の政財界の重鎮に
ある種のコンセンサスとして定着しているものでしょう。
 
「津波に関しては、明らかに手抜きだった、
これは、ミスだった、だけど地震そのものには
耐えたのである。
自動的に停止装置が働いたのである。
また、新潟では原発の真下10キロの直下型地震の際にも
自動停止装置が働き、無事だった、
日本の原発を発注していたベトナムは、今回の事故があっても
やはり、日本の原発購入を再表明している」
とも、おっしゃっていました。
 
もちろん、しばらくは、原発推進はできないですけども、
とも、おっしゃってました。
 
 
震災復興テーマで、安全な原発を世界へ!
これは、なかなか一般人の前では、言えない発言ですが、
集まっていたのが、まあ、財界系のメンバーだったので
こういう内容のことをおっしゃったのでしょう。
 
 
論点としては、
① 日本の原発は素晴らしく安全なのであり、
  地震対策も完璧であることが実証されている
② 津波については、人為的なミスがあった
③ 国民感情や、心情的な理由により、しばらくは原発推進は無理 
 
つまり、原発反対論は、感情論の類であって、
理論的に考えれば、やはり原発しかないのである、
国民のみなさん、早く目をさまして、現実を認めてくださいね、
ま、何年かすれば、どうせ感情は冷めるだろう、
と見ているようです。
 
今の時代は、そんなに「甘く」ないですけどね。
国民はなんにも知らないと思ってるのかもしれませんが、
どんな事業や政策でも、実行しているのは「人間」です。
昔は、仕事だから、と割り切ってとんでもないことを
やってきた人々も(かつての私もそうですが)、もう
法的に正しくても、生命の原理原則に反することは
できなくなってきています。 
 
 
さて、事故が起こったのは誰がどうみても事実なので、
こちらは人為的な手抜きがあった、つまり
「悪い奴」がいるのであると決めつける、
いわゆる「エスケープゴート」(=生贄の羊)を
捧げる、というのが、人類の歴史上、権力者が
繰り返して用いた常套手段であります。
実際、既に「犯人」候補の絞り込みが進んでいるようですが
「こいつがサボったから、本来、安全な原発が津波で
 やられたしまったのである、とんでもない」
という話に持ち込むのが、既定のシナリオのようです。
 
 
 
しばらくは、太陽光発電や風力発電で騒いでおいて、
結局、大したものではないことが明らかになったころ、
やっぱり原発しかない、と持ち込む、、、
 
大方、こういった筋書となっているのでしょう。
 
 
今回のような原発の事故は、運がよければ
たまたま起こらなかったかもしれません。
ですが、事故が起こっても
起こらなくても、原発は深刻な問題を
もたらします。
 
現代の科学技術では、
「放射能を減らす」ことはできません

絶対、あり得ないことではありませんが、
実用的なレベルで、放射能を減らすことは
できません。
 
放射線を放出することで自然に
減っていく以外、放射能を減らすことは
できないわけです。
 
しかも、原発は、膨大な放射能を新たに
うみ出します。
発電で使ったから減るのかというと、
おとなしくしていた放射性物質を刺激し、
また、放射線の放出ペースが高い
物質に変換する、あるいは放射性物質で
なかったものを放射性物質に変えてしまうことで、
総量としての放射能が、増えてしまうのです。
 
 
使用済み燃料のみならず
原発そのものが数十年で
廃炉になり、放射能汚染の塊として
その土地に居座り続けます。
また、運転中も、大量の資材が
放射能に触れ、汚染され、
別の場所へも捨てられていきます。
 
放射性物質の処理技術といっても、
濃縮して危険度は増すものの、
量を減らすか、薄めて危険度を下げるものの
量が増えるか、どちらかしかできないのです。
 
 
 
結局、大量の「処理済み」汚染物質を
シベリアなどに捨てているのです。
処理技術といっても、捨てる時の
濃度や形状、物質の性状を変更するだけのことで
放射能そのものは、手を出すことができないのです。
 
ベントナイトという粘土の一種で固めれば
300年、漏れない、という触れ込みで
処理済み廃棄物を巨大プールに捨てる
そういうプロジェクトが、進められていくのを
ベントナイト担当者から聞かされましたが、
じゃ、300年経ったらどうなるのか、
と聞いたら、知らない、考えていない
という答えでした。
 
ちなみに、セシウム137は、300年で
概ね、1000分の1の放射線量となります。
随分と減りますが、ゼロにはなりません。
元の量が多ければ十分、危険です。
更に、今日は説明しませんが、
セシウムはカリウムの親戚ですから、
生物濃縮という問題もあります。
なお、プルトニウム239の半減期は、2.4万年ですから
300年では、殆ど減らない、ということです。
 
六ヶ所村の処理施設のメンテナンス調査報告を
読んだことがありますが、ま、詳しい話はできませんが、
ともかく、大量の硝酸などで抽出や濃縮を
やるので、廃液の処理だけでも大変ですし、
あれだけの反応漕や、配管の維持も大変です。
処理された廃棄物は捨てるのですが、これとは別に
設備を修理するたびに、放射性物質で汚染された
新たな「ゴミ」が増えるのです。
 
次々とうみだされる放射性物質と、
これらに汚染された資材が大量に
増え続ける一方で、
放射能を抜本的に処理できる
技術は存在しないのです。
 
 
最近は、放射性同位元素による
年代測定の精度が跳ね上がり、
考古学調査によって、相当、
詳細なことがわかるようになりましたが、
現代の私たちは、異常に大量の放射性物質を
環境中に放出しているため、
もう、将来の人々が現代の地層を発掘しても
放射性同位元素による年代測定は不可能と
言われています。
 
 
原発を建設した土地周辺
処理施設周辺
現在、廃棄中の最終処分場
これらは、子孫代々にわたって
誰も住めない土地となり
未来へ大きな負の遺産を
残し続けるとともに、
完全な封じ込め技術など
存在しないため、
やがては漏出により
地球全体へ汚染が
広がっていきます。
また、生物濃縮などにより
特定の放射性物質が
密集する環境がつくられる
こともあります。
 
 
今、動いている原発を止めると
これはこれで、大騒動になりますが、
基本的に、原発はやめなければ
いけないのです。
 
 
 
 
 
 

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