藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2011年07月19日

  

えとせとら

2011.7.19.
 
 
 
政府は、ストレステストの実施要領を特定できず
原発再開の目途が立たない、今冬も計画停電、、、、
などと言っています。
 
何があっても、あくまで電力は供給する!
 
政府たるもの、明確な方針を打ち出すべきです。
まず、方針を決め、方法は徹底的に検討すればいいのです。
 
 
国民に節電をよびかけるのは良し、と考えましょう。
電力総消費量の15%に過ぎない家庭向け電力が
多少、節電されたところで大勢に影響はないでしょう。
それでも、国難に際し、国民が心一つになっていくことは
重要です。 
 
節電だけで、国民の総意が結束されるとは思いませんが、
ともかく、国難と震災被災者のことを常に考える、
これは人間として大切なことです。
 
 
それはさておき、電力政策は明確であるべきです。
産業基盤インフラのヴィジョンがいい加減となると
まず、「資本」が逃げます。 お金は引っ越し費用が
かかりませんので、いやだ!と思ったら、すぐに逃げます。
魅力的な市場にしか集まってくれません。
資本の雨が降り注ぐか、旱魃になるか、
その差は、天と地ほどの差となります。
日本は常に、国際資本が動いてきましたから
ピンとこないかもしれませんが、逃げたら
とんでもないことになります。
あまり大量に入ってくるとバブルになったり、
外国人による土地の買い占め、企業買収と
過度に過ぎれば、それはそれで問題ですが。
 
 
製造拠点の移転は、そうすぐには実行できませんし
大企業は、多少のことには困りません。
電気がこないならこないで、自家発電をすれば
その方が、電気代払うより、ランニングコストは安いのですから。
とはいえ、製造業は、先行して必要な設備投資は
可能な限り抑えたがるもの。多少、ランニングコストが
高くても、買うだけで済むなら電力会社の電気を買うことを
まず、考えます。 資金余剰があるほど、電気を自分で
起こしたり、塩酸を買ってきたけど、
これからは自分でつくるか、と、
自前化を進めます。
 
ともかく、行政の方針が明確であれば、それに合わせて対応するのです。
 
ところが、中小企業は、そうはいきません、そう簡単に
発電設備の投資ができるとは限りませんし、
リンパ球バンクも、自家発電機位はもってますが、
ずっと安定して使える自家発電所をつくる資金はありません。
 
 
このブログでは、震災直後に、発電能力は余っていること、
何といっても、企業のコジェネレーターというものが大量に
遊んでいることを書かせていただきました。
政府も、ここへきてようやく本気で、民間企業の自家発電力の
調査に乗り出した、と報道されていましたが、そんなものは
とうに知っているはずです。 
 
90年代後半、IPPブーム(独立発電事業)が訪れ、
工場設備をもつ企業は次々に、発電設備を導入しました。
 
IPPを日本に普及させる担当者は、たまたま私の
同期入社組だったので、米国のIPP用発電メーカーへの
投資精査など、しばらく、一緒に仕事をしたことがあります。
 
最初は、IPPは、電力会社が開催するテンダー(入札)に応募し
買ってもらうしかなかったのが、徐々に規制緩和が進み、
関係会社へ送電することはOK、さらに今では、特定大規模法人との
個別契約による送電事業が自由化されています。
 
発電能力は、現状でも有り余っているはずですが、
売電企業には、電力収益は非課税にする、など
何らかのモチベーション政策があってもいいでしょう。
 
 
いくつか対応策のオプションを確保しながら、
原発を再開するなら、する、と。
しないなら、しないと、はっきりすべきです。
ストレステストを実施できるかどうか、
そんなあてにならないもののせいで、
意思決定を遅らせるのは怠慢です。
 
産業界には、原発推進は一切、変更しないことを
言っておきながら、選挙対策を考えると国民受けする
自然エネルギーを。
サミットの冒頭演説で、一国の首相が、
太陽光発電構想をぶちあげ、こんどは、
あれは、首相としてではなく、個人としての方針、と
訳のわからない答弁をやっています。
 
 
ところで、ストレステストとは何でしょう。
 
ストレスというのは、原発を悩ませるのではなく、
負荷(=ストレス)をかけ、壊れないかどうか
試す、という類のものです。 安全装置が作動するか
どうかを調べる場合でも、実際にある程度、
危険な状況、つまり負荷をかけるものは
ストレステストの範疇に入ります。
 
テストをやって、合格しても、事故が起こるときは
起こります。 しかるべき試験を実施し、
「安全性が証明された」と、またデタラメを言う
つもりでしょうか。
 
治験により安全性と有効性を証明された標準治療に
よって、年間34万人のがん患者が亡くなり、
世界ダントツのがん死亡率、、、、
試験によって、何を証明したところで、患者さんは
苦しみながら亡くなるのです。
 
 
ストレステストをやることによって、
テストにはギリギリ合格したものの
原子炉が傷み、本物の地震が来たとき
壊れやすくなったら、どうするのでしょう、、、
一方、傷もつかないような緩いテストで
何がわかるのでしょう。
 
 
米海軍は、大量建造するシリーズの一番艦を
ストレステストで、沈めてしまいます。
1兆円以上する空母や原潜は例外ですが
駆逐艦ぐらいだと、ほんとに沈めてしまいます。
半端なストレスでは、本当のことは分からないので
撃沈するまで攻撃することで、どこまで
耐久力があるか、調べるのです。
二番艦以降は、一切、ストレスをかけません。
そんなことをしたら傷みますから。
ただひたすら、一番艦と同じ設計で
コピー艦を作り続けるのです。
 
電気製品の米国規格であるUL規格も同様の考え方です。
 
米国に輸出する際、「壊れるまで」負荷をかけて、
一台、ぶっとばしてしまうストレステストを
やるのが原則なのです。
ここまで電流を流したけど大丈夫だった、
じゃ、どこまで耐えるのか?
爆発するまで電流を増やしていくのです。
大きな装置だと大変です、爆発したり、
電磁波が放射されるのを遮蔽できる設備の中で
ぶっとばさないと被害が周辺に及ぶからです。
もちろん、この手のストレステストは、
原子力発電装置本体には、適用されません。
合理的な理由があれば、原則を適用除外されることは
可能です。
 
 
既につくってしまった日本の原発に対して、
いったい、どんな意味のあるストレステストを
やるというのでしょうか。
 
量産前の時点で、圧力容器に想定される平常運転時の
圧力を超える圧力をかけ、どこまでかけても大丈夫か、
どこまでかけると壊れてしまうのか、こういう試験を
やっておく意味はあります。
 
ところが、もう、稼働させてしまっているので、
今さら、危険なレベルの圧力をかける、とか、
温度を安全水準以上にあげる、制御棒を引いて
多少、危険なレベルにしてみる、ガーンと衝撃を
与える、突然、電源抜いてみる、突然、電源入れてみる、、、
 
その手のことをやらないとテストをしたことにはならない
でしょうが、そんなことをやると、事故が起こる確率を
あげてしまうような、、、、
 
 
原発は危険です。
それでも作ってしまったわけです。
動かしても危険、動かさなくても危険です。
危険を承知で、動かす必要があれば動かす、
その代り、徹底して、安全対策を考えながら
気合を入れて動かす。
ストレステストに合格したから大丈夫、
「安全が証明された」
そんな迷い言はゆるされません。
 
 
 
 
 
 
 

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