2011.10.31.
時折、頑強にNK細胞は血管の外へ出ないという
主張を目にすることがあります。
おそらく、発信源はごく少数なのでしょうが
ひつこく、方々で言い触らしておられるのでしょう。
確かに、体内にどんな細胞が、何個いるのか
数えるのは大変、難しいことです。
ですが、血管の外に出ないはずはないことは
簡単に証明できます。
例えば、ANK免疫細胞療法では
数リットル単位の血液を体外に取り出し
白血球成分のみ分離して、残りを体内に
戻しています。 10リットル近く
血液を体外循環させることもあります。
あくまで、「延べ」ですが、全身に存在する
血液を丸ごと、体外に取り出し、白血球成分を
分離した計算になります。
もし、NK細胞が血管の外に出ない細胞なのであれば
これだけ大量の血液から白血球成分を取り分ければ
白血球の一種であるNK細胞は消えてなくなるはずです。
(NK細胞は一般にリンパ球の一種と言いますが、
リンパ球そのものが、白血球の一種です)
実際には、そんなことは起こらず、連続して
白血球を取り続けると、多少は、血液中の
細胞数が減ってはきますが、何パーセントという
程度です。 つまり、血液中からどんどん白血球を
除いても、直ちに、血液外から白血球が補充されているのです。
丸々、5リットルとか、8リットルとか、血液を体外循環
させても、血液中のNK細胞の数は、殆ど変りません。
米国NIHが実施したLAK療法であれば、
数十リットルもの血液を体外循環させたのですから、
NK細胞は完全に消えてもよさそうなものですが、
それほど、血中の細胞数は減らなかったのです。
血液中に存在するNK細胞の総数は、
がん患者であれば、数億個、それも
1億、2億に近い数億個です。
ところが、NIHでは、数十億個の
NK細胞を取り分けることができたのです。
それでも、血液中のNK細胞数は、多少は
減ったようですが、激減というほどでは
ありません。 また、時間が経てば、
どんどん戻っていきます。
NK細胞は、血液の外に出ないどころか
血液の中を巡っているNK細胞は、
全身に散るNK細胞全体のごく一部に
過ぎない、ということです。
腫瘍免疫の主役はNK細胞であり
その攻撃力は、他の免疫細胞の比ではないことは
「原発は危険だ」ということと同じ位、
専門家なら誰でも知っていることです。
ところが、「原発は安全だ!」と言ってきたように
一般の人に向かっては、NK細胞が最強ではないような
言い方をする人々もいらっしゃいます。
本当のことが明らかになる時代がきているとは
考えていないんでしょうね。