2012.1.25.
人類のルーツを求める
考古学調査は、数百万年前
ポツンと島を残して水没と
陸地化を繰り返した
アファール地峡だったエリアで
集中的に実施されました。
1974年 その地で、
ジョハンソン博士は
世紀の大発見を為しますが、
彼の当日の日記はとても詩的です。
発掘する前から、「最初の女性(ヒト)」に
出会っていた、そして、風に誘われるように
既に調査済で、何も発見されなかったポイントへ
迷わず、真っ直ぐ向かっていき、
そして「彼女」に会ったのです。
類人猿や猿人の化石というと
丈夫な下顎に、歯が何本かみつかり、それ以外の
骨はなかなか残らないのですが、
彼女の場合、全身骨格の4割もが揃った、
しかも他の骨と混ざっていない、とても
貴重な発見でした。
通常、化石が発見されても、
実際に、「バラす」前の化石の塊が詰まった石をみれば
これをどうするわけ? と途方にくれます。
粟おこしのような塊に、雑多に様々な動物の骨が
ごちゃっと混ざったりしているわけです。
どうやって、ここから、骨を取り出し、分類するのか
岩の塊を歯ブラシで洗い、削りながら、と
気が遠くなるような作業が行われるのですが
「彼女」は、一人、静かに眠っていたのです。
永らく、猿人としては彼女ただ一人、
原人としてはケニア、トスカナ湖畔でみつかった
トスカナボーイ、全身骨格が揃うのは、
この二人だけという時期が続きました。
(今では、数人に仲間が増えています)
エチオピアの人は、アムハラ語で
「あなたは美しい!」
ディンクナシュ! と名付けます。
実際、目の前でみたのは、模型だけですが
ホンモノの映像をみたとき、「尊厳」に包まれた
存在の偉大さに圧倒されました。
科学標本というより、美しい玉座に
たたずむような姿に
エチオピアの人々がどれほど大切にしているか
彼女に対する敬意が伝わってきます。
日本ではビルケナッシュと紹介されましたが
そのままカタカナで発音してもエチオピアの人には
通じません。かといってディンクナシュと書いても、
実際の発音とは違います。音自体が違うので
日本語で正確に書くことはできません。
調査隊は、たまたま誰かがつけっぱなしにしていた
「ルーシーインザスカイウィズダイヤモンド」
ビートルズの曲名からルーシーと言う名をとりました。
ルーシーの想像図は日本でも売っていますが、
そこらへんのおばちゃんをケムクラジャラにして
ぶたブタ太った不細工な恰好として描いています。
おそらく、体毛はなく、とても精悍な姿だった
「はず」ですが、直感的にも、学術的にも
エチオピアの人々の「あなたは美しい!」が
ピッタリです。
ところが、年代測定については、物議がおこります。