2011.1.31.
人類が世界に展開する前に
巷で流布されている人類誕生シナリオに
ついて触れておきます。
一般メディアでは、「ターザン仮説」が
あたかも正しいものという前提になっています。
世の中、そういうものです。
免疫細胞療法も、どう考えても
がんを殺す細胞を用いる、つまり、
NK細胞を用いるしかないのは自明ですが
あまり、がんを殺さない
他の細胞で代用する話が、あたかも
正しいかの如く、流布しています。
ターザン仮説というのは、人類は
サバンナで誕生した、という類の話です。
東アフリカ大地溝帯の西側は隆起したのに
東側は隆起せず、西から吹く湿った空気が
崖の手前で雨をふらし、大地溝帯より東は
乾燥化した。 森林におおわれていた大地は
木々が枯れはじめ、やがてサバンナや砂漠と
化していった、、、、
肉食獣が走り回るサバンナで生きることに
なってしまったおサルさんのオスは、
二本足で立ち上がり、肉食獣相手に
骨を振り回して戦い、そして獲物を抱え
メスに運んだ、、、、、
こういうのをターザン仮説というのですが
全く、科学的妥当性がありません。
端的に言うと、サルは人間より早く走れるのです。
嘘だと思えば、一度、サルを追いかけてみれば
わかります。 あれは本当に速い、、、、
アフリカミドリザルと戦った時は、
小さいし、こいつらなら勝てると思いましたが
もう少し大きい奴だと、圧倒的に速いですよ
サルの方が。
四本足は二本足より遥かに有利なのです。
草原を疾駆する馬が、決して、後ろ足だけで
走ることは考えないように、サバンナを四本足で
走り回る哺乳類は、二本足にすると、どうやっても
どんくさくなります。
ダチョウは二本足で時速80キロ位ではしりますが、
あれは、肉食恐竜の親類で足や骨盤の構造からして、
哺乳類とは違います。
元々、水平二足歩行で飛ぶように走る構造に
なっています。
それに大きいです。
目の前にヌーッと立たれた時は、ちょっと構えましたね。
こちらの頭の遥か上から、見下ろされました。
肉はとても美味しい味ですし、卵は絶品です。
ですが、優雅に走り回る姿を思い出すと
ウッとなってしまいました。
さて、どう考えても、骨盤の構造やら足の付き方やら、
哺乳類である限り、サバンナで暮らすなら
四本足の方が有利で、たまに二本足で立った方がいい
程度なら、サルでもできる、のです。
ヒヒの集団が、骨を振り回して、ヒョウをボコボコにする
映像は何度かみましたが(夜は歯が立たないようです)、
チンパンジーが、殺したばかりのインパラの子供を
振り回して興奮している姿も、サバンナに近い水場では
珍しい光景ではありません。
ターザン仮説には、なぜ、直立二足歩行を常態にした方が
有利だったのか、という説明が何もないのです。
それなら、その時だけ、後足で立てばそれですむこと、、、
もしくは、脳が大きくなっても支えられるといった類の話ばかりです。
確かに、脳が大きくなっても直立二足歩行なら支えられ、
背骨が水平だとしんどい、というのは事実なのですが
(肉食恐竜の頭は巨大化しましたが、尻尾をやたら長くすることで)
実際に、脳が大きくなるまで、直立二足歩行後、何百万年も
経っているのです。その間、人類は脳の大きさが
全く変わらないおサルさんが、二本足で立っただけの
存在なのです。少なくとも、骨格上は、ということですが。
にもかかわらず、相変わらず、一般誌やネットなどでは
人類はサバンナで生まれたことになっています。
そもそも、東アフリカから発見される猿人は、
生息時にサバンナではなかった場所から
続々、発見されているのです。
では、人類水生起源説では、いつ人類が誕生したと
しているのかというと、この説自体は、そこまで言っていません。
人類は、霊長類の中では、異常なほどの特異な特徴を
いくつももつが、それは、水生ほ乳類としては、
ごく普遍的なありふれたものばかりである、と。
また、涙を流す涙腺が発達していることから
淡水ではなく、塩水に生息した時期が長いこと
そこまでは分かるのですが、「いつ」かというのは
別の研究から、6~8百万年前、アフリカ大陸が海没と
陸地化を繰り返した時期、、、 としてます。
ところが、この時期のこれ! という化石は
みつかっていません。
人類は海辺で誕生し、塩水湖のほとりに広がり、
そして氷河期を迎えるや、世界に雄飛した、、、
人類史には、あんまりサバンナは出てこないのです。
もし、本当に、サバンナにポツンと置かれたサルがいたら
どうするか。ライオンと決闘する準備をするでしょうか。
東アフリカ大地溝帯より西に広がる森へ逃げ込むことを
考えるでしょう。 行けばわかりますが、東アフリカ
大地溝帯は、グランドキャニオンのような絶壁ではありません。
歩けるなら、登れます。