藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2013年01月29日

  

えとせとら

2013.1.29.
 
 
「今の時期に」
「生後20ケ月以下 → 生後30ケ月以下」に
規制範囲を緩和したのは
多分に政治的背景によるものであって
科学とは無縁のことでしょう。
 
ところで、「大騒ぎ」されたBSE問題ですが
本当に危険なものでしょうか。
 
実は、BSEというのは日本にも昔から
たくさん、発生しており、30年前には
専門誌や業界誌はもちろんのこと、
大衆向け週刊誌誌上まで
大賑わせしたこともあったのですが、
覚えている人は
あんまりいらっしゃらないでしょう。
 
当時は、原因もわからず、様々な名称で呼ばれていました。
 
ウイルス感染症と考えられたため、ワクチンによる予防という
話になり、当然、私の仕事は海外からワクチンをみつけてくる
ということになったのですが、そんなものありません、というと
じゃ、開発しろ、ということになりました。
ところが、原因ウイルスもみつかっていないのにどうやって、
というと、じゃ、ウイルスをみつけろ、ということになりました。
 
ところが、お肉を食べたぐらいでは感染しないことは
よく知られており、大騒ぎするほどのことはない、という方向に
傾いていきました。
 
やがて、ウイルスでもウイロイドでもなく、マイコプラズマや
リケッチアでもなく、トランスポゾンでもなく(たくさん、あるのです)
プリオンというたんぱく質が原因という話になっていきます。
 
プリオンは、ごく普通に存在するもので、特に中枢神経組織などには
多く存在していますが、どうも、立体構造が変異したプリオンが
正常なプリオンの立体構造も異常化し、あたかも感染するかの如く
数を増やし、発症に至る、とされていますが、絶対そうだ、と
結論付けられたわけではありません。
 
たんぱく質の立体構造など、様々な理由で変異しますし
通常、ある一定の比率で、一部が変異しています。
変異型プリオンも、決して、珍しいものではないはずです。
実際、自然発生する異常型の報告もあります。
もし、変異型プリオン、それだけが原因なら、
牛はすべてBSEになってしまい、
人間は全員、クロイツフェルト・ヤコブ病に
なってしまうはずです。
 
日本では、ヒト脳下垂体から抽出された成長ホルモン製剤を
投与した患者さん3名の方々が、クロイツフェルト・ヤコブ病を
発症されました。直接、お顔をみたわけではないのですが
何とも悲しい事件でした。 これは注射ですので、口から食べて
消化する、というプロセスを飛ばし、いきなり血液中へ投与するので
当然、リスクが高いわけです。
その後、同製剤は、遺伝子工学により合成されたものに変更されます。
ちょうど、バイオ医薬品開発業務に従事し始めて、そう時間が経っていない
ころでしたから、やはり、バイオテクノロジーによって、助かる人が
でてくるんだ、と、仕事への情熱は強くなりました。
 
クロイツフェルト・ヤコブ病とBSEが同じ病気かというと、ヒトと牛の
違いがあるので、同じであるということはないのですが、基本的に
異種における同様の疾病と考えられています。
20世紀に入った頃は、近親者が亡くなると、その脳を生食するという
風習は世界各地で行われており、ニューギニア島では、
実際に、クロイツフェルト・ヤコブ病の症例が報告されていました。
 
ヨーロッパでは、ヒトの代わりに、牛の脳を生食する風習が広まり
今日でも、続いています。特に、幼子が乳離れをするころ、
新鮮な脳を生で食べさせるのです。
もともとは、大人の知恵を幼子にさずける通過儀礼のようなもの
だったのですが、牛の脳で代用してしまうと、頭が牛になってしまう、、、
とは考えなかったのでしょうか? 
ともかく、こういった風習のため、BSEは、深刻な騒動となり
実際、感染者と考えられる患者が多数、確認されています。
 
その余波をうけて、牛の脳など食べない日本でも大問題に
なりました。 何が、どう問題なのか、冷静に根拠を問うことなく
ただ、問題である!!! と、大騒ぎとなってしまいました。
今は、情報もすぐに流れ、「自分で考える人」がどんどん増えて
いますので、今なら、あんな騒動にはならなかったでしょうが、
当時は、熱病のように、牛肉は危ない!となり、吉野家さんは
うちは一年間売上ゼロでも、社員には給料払えるたくわえがある!
というような話になっていきました。
 
BSEを発症した牛の牛肉、もちろん脳などではなく
カルビとか、ロースを食べて、BSEを発症する可能性が
ゼロであると断言まではできませんが、まずないでしょう。
昔から、普通にBSEの牛はいるんですから。
一方、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病は医原性のもの以外、
日本ではほとんど認められていません。(別の病原体が原因で
似た症状のものはありますが) あくまで、日本人の「牛の食べ方」
ならば、という前提ですので、脳みそを生で食べるのは
やめといたほうがいいでしょう。
 
そもそも、草食の牛に、内臓やら、脳みそやら、骨粉やらを
食べさせるというのは異常です。 余計なことをしなければ
そうそう発症するものではなく、非常に低い確率のものを
恐れるなら、牛によくみつかるトリヒナという寄生虫の方が
よっぽど危険でしょうし、そもそも、牛肉を食べ過ぎる食生活を
続ければ、たとえどんな健康な牛であったとしても、
かなりの確率で病気になっていくでしょう。
 
滅多にあたることのないBSEを気にするより
毎日、確実にリスクとなる「食べ過ぎ」は避ける方が
はるかに重要なことです。
 
いやだという人は、食べなければいいだけの話なので、
規制するのはおかしいのです。
 
ちなみに、リンパ球バンクは、血清を買わないので
直接、関係ありませんが、医薬品製造用に細胞を培養する
場合、牛血清を使うことが、かつては一般的でした。 生きた牛から
絶えず牛血清を供給し、牛舎の隣に細胞培養センターがある
バイオレスポンス社というベンチャー企業もありました。
ところが、BSE騒動によって、これが問題となり、今日では
安全とされるオーストラリア産の牛血清に変更するなど
対策が取られています。 リンパ球バンクはどうしてるのか?
うち、無血清培地しか使わないので、そもそも関係ないのです。
 
 
 
 
 

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