2014.7.3.
他社さまのNK細胞培養技術について
いくつか、ご質問をいただいております。
ZNK療法という名前がついているようです。
他社さまのことは、他社さまに聞いていただきたいのですが
公開されている一般情報だけを基に、簡単に
ご質問に答えさせていただきます。
基本的には、他社も、NK細胞の培養技術を確立したということか?
というご主旨です。
治療として実用性のあるNK細胞の培養は難しく
ANK以外は、どこもできていないと考えております。
NK細胞を培養すること自体が、どこもできないのでは
ありません。 研究レベルなら、いくつもやり方があります。
たとえば、改変センダイウイルスを用いる方法は、
80年代にフランスのグループから特許出願されていますし
今回の、T細胞を除去して、NK細胞を培養する、
というのも、昔からよく知られている方法です。
ところが、これで、患者さんの治療に使うNK細胞を
十分な量そろえるとなると、とんでもないコストがかかります。
キラー細胞と、標的がん細胞を 1:1 の割合で
30分で100%傷害する、と発表されていますが、
これは、NK活性が非常に
高いのかというと、そうとはいえません。
通常、標的がん細胞をクロムでラベルし、傷害されたがん細胞の
細胞膜から、遊離したクロムを定量するという「簡便法」が
用いられますが、どうやっても、たとえ、がん細胞が100%傷害
されていても、クロムを100%回収することはできないので
データ上の傷害率が100%になることはありません。
100%までいっていない数字の方がリアルなのです。
100%ということは、更にもっと簡便な方法、つまり、細胞に傷がつけば
着色される、という手法を用いている可能性があります。
これなら、実際には、がん細胞が生きていても、着色することが
あるので、短時間で100%という数字がでても、おかしくありません。
データとして、100%と出る、ということは、この非常に簡便な
着色法を用いている、と考えるのが自然です。
そうであれば、1:1の細胞比で、30分で100%というのは
何ら、特別、活性が高い、というようなスコアではありません。
でも、特許が成立しているではないか、というご質問もあります。
かつて、日本では、特許は成立前に内容の審査がありましたが
今は、原則、形式基準のクリアが条件です。内容については、
その特許があると困る事業者なり個人なりが、自分で異議を
申し立ててくれ、ということになっています。
影響力の強い特許の場合は、猛然と反論を招きます。
それで生き残った特許が強い特許です。
一方、あまりインパクトがないと、誰も、何もいいません。
すると、申請したまま、成立します。
これまで、自社の事業に影響を与えるような特許は見たこともなく
放置してきましたが、今後も、積極的に潰しにいく
必要性は感じておりません。