2015.11.22.
ところで、イスラム国をつくったのは
民間軍事会社というが、
そもそも、「民間」軍事「会社」とは何ぞや?
というお問い合わせをいただいております。
この手の組織は昔からあります。
たとえば、教科書には、
「大英帝国」が世界各地に
植民地を広げたと書いてあります。
大英帝国を、英国系の民間資本も含めて
考えると、その通りですが、国家の
正規軍が世界中を侵略しまくって
植民地にしたのではありません。
やったのは「民間企業」東インド会社です。
どれ程、兇悪な組織であったかは
カリブの海賊を一掃した雰囲気を伝えている
「パイレーツ・オブ・カリビアン」や
(東インド会社が実名で登場します)
「ワンピース」に登場する「海軍」が
イメージをよく伝えています。
なお、英国系のカリブの海賊とは
歴史の教科書にも登場する
「アルマダの戦い」の主役達です。
スペイン無敵艦隊を破ったという
話になっていますが、当時、
「英国海軍」は存在せず
ドレーク提督ら、海賊衆に対して
イスパニアの港や艦艇に対して
海賊行為を働いてよい、という
「私掠(しげい)許可書」を
英王室が発行したに過ぎません。
大して戦果はあげなかったものの
とりあえず、戦争は初体験だったスペイン艦隊は
(「無敵」というのはうそではありません。
それまで一度も負けたことはなかったのです。
艦隊を編成して初めての戦いだったので)
目的地に到着できずに
勝手に遭難してしまったので
まあ、褒美くらいもらえるだろうと
当時のエリザベス女王に謁見したところ
金貨一枚もらえないどころが
英王室砲台の弾薬とビールを使用したということで
「請求書」をつきつけられました。
私掠許可書は、普通は、高い金を払って
買わなければいけないのを、
無料で発行したやったのだ。
自由に海賊行為を働いても罪を問わないお墨付きを
与えたのだから、後は、勝手に掠奪なり
敵艦隊の将たる貴族を誘拐して身代金を取るなり
自由に「営業」していいんだ。
使った経費は払ってもらう、という理屈です。
アホ臭くなった海賊衆は英国を離れ
カリブで自由に海賊業を営むことにしました。
で、カリブの海賊の遥か上を行く東インド会社。
ここが無茶苦茶をやって、
被征服民の反乱を抑えるために
英国政府が給料を払う
正規兵が送りこまれ
「利権」は会社
「負担」は国家
つまり国民が税負担や兵役義務を果たし
企業は、儲けを独り占めする。
儲けた資産は、英国政府の課税を
受けない形で運用されますから
植民地が拡大することで、
加速度的に、英国政府負担は
増大し、英国経済はどんどん
苦しくなっていきました。
アヘン戦争辺りが分岐点で
これはもう、同じやり方は続かないぞ、と、
議会が植民地政策に反対
するようになります。
英国経済は
植民地政策によって
疲弊したのです。
東インド会社が
収益を独り占めしたからです。
この絶妙の時期に
日本は明治維新を迎え
米国も南北戦争やってましたから
列強に直接、占領される悲劇は
避けることができました。
やはり日本は神国。
たまたま、英米とも「忙しい」時に
開国の時期を迎えたのです。
ベトナム戦争では、主に
黒人兵士が戦場へ送りこまれていました。
ところが、増員するため、それまでの
ボランティア募集(志願兵)から
ドラフト制(徴兵)へシフトし
白人が猛反発します。
大人しい日本人でも、
気楽なキャンパス生活を
楽しんでいたら、とつぜん
召集令状がきて
ベトナムのジャングルで
べトコンと闘う。。。
という羽目に遭う。
そうなったら
ただではすまないでしょう。
米国はベトナム戦争継続が
困難な状況に至りました。
この頃にも民間軍事会社は
活躍しています。
小佐野氏で有名になった
国際興業は、ベトナムで
砲爆撃下の軍の施設を走り回り
保険会社の依頼により
装備の損傷の査定をやっていました。
ただ、あくまでわき役です。
戦場では、こういう会社が
いくつも事業活動を
行っています。
湾岸戦争では、各国から正規兵が
100万以上も集まりました。
米軍も総ざらえです。
第二歩兵師団は、まだ韓国に一部の部隊がいたため
参戦してませんが、第一戦車師団、第一歩兵師団
第三戦車師団、第三歩兵師団、、、第一空挺師団(空中機動歩兵)
等、ごく一部を除いて、本格師団編成の地上軍が
尽く投入されました。
CNNは、TVゲームのような映像を流し続けましたが
戦場の生々しい悲惨な状況がネット配信されるため
厭戦ムードが広がり、米国はIT不況に陥ります。
戦争をやれば儲かるという法則が破れ
戦争によって、
悲嘆にくれる消費者の購買意欲が落ち
世界は不況に突入します。
日本ではバブルが崩壊し、
米国の相手役として必要だったソ連は
不要となり、あっという間に崩壊します。
湾岸戦争では、本格的な地上戦は1週間で終わり
イラク南部のみを征圧して、イラク軍主力は
生き残り、首都バグダットも占領されないまま
連合軍は引き揚げます。
第二次イラク侵攻では、
もう正規軍の大量投入はできず、
第四歩兵師団だけで、やってこいや
ということになります。
この時は、主力は、民間軍事会社です。
わけあり人生を歩む人
貧困から脱出したい人
米国市民権が欲しい人
戦争でも何でもやってやるという
動機の強い人を集め
戦場へ送りこみます。
いくら何でも
連邦予算をごっそりもっていって
派手に使いすぎだろう
しかも戦場で何をやってるのか
ただの犯罪者集団ではないのか、、、、
と、ボロクソに批判されたのが
ブラックウォーター社です。
米国副大統領自らCEOを務める
純粋にわけありな会社です。
こういうのがごろごろいます。
もう先進国で、一般的な手法で
兵士を募っても、戦場に送り込むことは
難しくなってきてます。
空軍なら、空から爆弾落とすだけで
相手を選べば、自分がやられることは
ありません。
人数も少数エリートだけで
すみます。
なので、何かというと空爆という話になり
地上部隊を送り込む際には、民間軍事会社が
大活躍する、という構図になってきています。
そして、米国系民間軍事会社が
かきあつめたゴロつき兵集団が
イラク国内で暴れまくり
大量の難民がシリアに押しかけました。
疲弊するシリア経済。
そこへ、ゴロつき兵集団は
戦車、重砲、長距離ロケット砲
対戦車ミサイル、あらゆる重装備を
備え、リビアへも出張し
リビア政府軍を圧倒します。
次々に倒れる中東諸国家の中で
最後の希望であった大国シリアに対し
民間軍事会社の雇われゴロつき兵部隊は
反政府軍として、はたまたイスラム国という
名前で、シリアの一般人に襲い掛かります。
それでも耐えていたシリアに
フランス軍の空爆が始まると
周辺国だけでは
どうにもならな難民が発生し
ヨーロッパにも難民が押しかけ
今度は、米国などが難民に
テロリストが紛れ込むという理由で
難民受け入れ拒否の方針を
示しています。
(続く)