藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2016年12月10日

  

がん, 免疫

2016.12.10.

 

 

 

近赤外線で、がんは完治する

もう治験に入っている、、、

 

という話が、ネット上を飛び交っています。

 

 

こういう話を信じてしまう患者さんも多く、

素晴らしい治療がもうすぐ実用化できるのですね、

と、うれしそうに話かけてこられるのに

ネガティブな話をして気持ちが萎えてしまっても

よろしくないですし、かといって、こういう

実態のない話にひっかかっていては

本当の話がいつまでも見えてきません。

 

スパッ、スパッと、「役に立たない情報」を捨てる

能力を身につけることも重要です。

 

株としてどうか、ということなら

「買い」推奨です。

いろいろとバックのある会社なので

ゆくゆくはものすごい時価総額となり

実態のある会社を買収して、

本当に実態のある企業に変貌する

可能性があります。

ただし、患者さんの役には立ちません。

 

 

近赤外線が、がん細胞だけを傷害するということは

ありません。

 

 

近赤外線というのは、私たちの体を

つくっている多くの物質を透過します。

 

そのため、体の内部にも届くのですが

その上で、そこそこの化学反応を誘発する

作用もあります。

 

 

そこで、がん細胞だけに集まる抗体を投与しておき

近赤外線が届くと、抗体に結合された物質が

変化を起こし、がん細胞を死滅させる、としています。

 

ここまでは

何百どころか、何万というレベルでみてきた

数ある作り話の一つにすぎません。

 

近赤外線が、がん細胞だけを

焼いてしまう、なんていうことは

ありえないのです。

試験管の中にがん細胞だけがいる状況で

思い切り近赤外線を照射すれば死滅する

でしょうし、人体に近赤外線を照射すれば

人での試験も始まっている、と

一応、嘘ではない事実ということになります。

ただ近赤外線を照射しただけでは

何もおこりませんが、試験は始まっている

と言ってのけるわけです。

 

結局、近赤外線という、少し耳慣れない言葉で

目新しさを装おっているだけで、

がん細胞だけをどうやって狙うのかという

一番の要については、

がん細胞だけに集まる抗体を使う

としています。

 

ここが、「がん細胞だけ狙う」

核心の話なのに、近赤外線で、

ということで話をそらしているのです。

 

 

まず、がん細胞だけに集まる抗体など

存在しません。

 

そんなものがあるなら

がんの特効薬がつくれます。

近赤外線など関係ないのです。

 

患者さんの体内でがん細胞だけを狙い撃ちで

傷害し、正常細胞は傷つけない能力をもつ薬は

存在せず、ただ一つもともと体内に備わっている

NK細胞だけが可能です。

 

 

もしがん細胞だけに集まる抗体があるとして

たとえば、炎症反応を誘導する

CDCC活性をもつものなら

それだけで、がんの特効薬です。

体内には、補体という炎症爆弾の弾薬が

大量に存在し、普段は、信管を抜いた状態にあります。

CDCC活性のある抗体が、抗原と結合すると

信管の役目を果たし、周辺の炎症爆弾を起爆させ

あらゆるものにダメージを与えます。

 

 

CDCC活性がなければ

抗体を加工することで

人工的につけることもできます。

 

CDCCを使わないのなら

爆弾が必要ですので、

よくある抗がん剤か

もっと毒性の強いものをつけておけば

いいのです。

 

いわゆるミサイル療法という徹底的に

試され、徹底的に失敗に終わった治療と

基本的に変わりのない話です。

 

 

近赤外線でもなんでも、強烈に浴びせれば

がん細胞は死滅します。

 

当然、正常細胞も死滅します。

 

ニュースでは、がん細胞が死滅した

としていますが、試験管の中の

がん細胞を殺すだけなら

ママレモンでも劇的な効果があります。

 

ネズミの体内のがん細胞を殺すのであれば

ネズミに、ヒトがん細胞を植えておき

なんでもいいので、抗ヒト抗体をマウスにつくらせて

おけば、とりあえず、マウス体内にいるヒト細胞に

集まるでしょう。 そうしておいて、近赤外線で

抗体につけておいた爆弾を誘発させれば、

簡単にヒトがん細胞を殺すことができるでしょう。

 

こういう「アホ」な実験が延々と繰り返されて

きたのですが、一向にやめる気配がありません。

 

がん患者の体内にあるヒトがん細胞を

特異的に認識する抗体はありません。

ネズミにヒトのがん細胞を植えるから

狙い撃ちができるのです。

 

 

相変わらず、WT1という「がん特異抗原」があるんだ

という類の話がメディアから消滅しないのですが

抗WT1抗体に毒をつけて体内に投与しようものなら

たちどころに、いたるところの正常細胞が猛爆を

受けてしまいます。

WT1は、どこにでもあるからです。

 

近赤外線という目先を変えた言葉で

人の気をひいていますが、結局、

近赤外線自体は、がん細胞だけを狙うことは

できないので、がん細胞に対する「特異性」

つまり精密誘導の機能は、

「がん細胞だけに集まる」幻の抗体に依存しており

よくある「がん細胞特異抗原」つくり話の

バリエーションに過ぎません。

 

そんなものが一つでも実在するなら

さっさと、抗体にシンプルに

「爆弾」をつけて

一人でもいいから

がん患者さんの命を救えばいいのです。

 

 

今まで実際に成功した人はいないのです。

 

 

がんだけに集まる抗体はなくても

多少なりとも、がんに多い目に集まる抗体はないのか。

ま、それはありますけどね。

報道では、「がんだけに集まる抗体を用いる」と

ありますので、それはない、ということは言えます。

 

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