乳酸菌は体にいい、ヨーグルトは体にいい、乳酸菌をたくさん食べて腸内の善玉菌を増やす、こういう話をよく聞くのですが。
ビフィズス菌は腸内細菌であり、よく言われる善玉菌の代表格ですが、乳酸菌は少し違いますよ。
そこのところが、ごっちゃになっているのではないのでしょうか。
ビフィズス菌は腸内細菌の主役です。状態のいい人は腸内細菌の過半をビフィズス菌が占めています。
これが減ってくると、具合の悪いことになります。ビフィズス菌は酸素に極端に弱く、大気中では酸素が多過ぎてすぐに死んでしまいます。酸素が少ない環境を好み、根っからの腸内に住み着く細菌であり、一般環境にはほとんどいません。
一方、乳酸菌は多少、腸内にもいますが、腸内細菌に占める比率はごく僅かです。乳酸菌は酸素を好む好気性ではないのですが、酸素があっても生きています。キムチやピクルスをつくる時には「蓋を閉めておいた方いい」のですが、酸素があるとたちどこに死んでしまうわけではありません。まあまあ、平気で生きています。そして基本的に酸素があまりにも少ない腸内よりも、一般環境を好みます。乳酸菌にとって腸内はあまり居心地のいい環境ではない上に、ヨーグルトを食べても、ほぼ死んでしまいますから、腸内に達することはほとんどありません。
厚労省のHPのどこだったかわからなくなってしまいましたが、ビフィズス菌は乳酸菌の一種と書いてありましたね。乳酸をつくる菌なら乳酸菌なんだ、そういう分類の仕方もないとは言えませんが、乳酸菌とビフィズス菌はどう見てもかなり違う菌です。
ビフィズスの「ビ」は、英語のBi、つまり二つという意味です。二つのサイクルでバイスクル、自転車になるわけですが、ビフィズス菌の多くはYの字といえばいいのでしょうか、枝分かれしています。分岐のないものもいますが、中央で折れ曲がっていたり、形態的にかなり特徴があります。たまたた、職場にいらっしゃった顧問の井上さんという方が日本ビフィズス菌協会(今はまったく名前が違います)の会長をやっておられて、よく顕微鏡写真が転がっていましたので、非常に印象的な枝分かれした菌の形が目に焼き付いています。乳酸菌はラクトバチルス=乳酸桿菌というロッド状のもの、円筒形ですね、そういうものが単にまあるいコッカス=球菌系かのどちらかです。乳酸菌はどこにでもある形ですので他の菌と区別がつきにくいですが、ビフィズス菌は見れば誰でもわかります。
乳酸菌はほどよく酸素がある環境で大量の乳酸を分泌します。これでジェノサイドをやるわけです。他の細菌の大量虐殺です。だからこそ、乳酸醗酵した保存食を人類はありがたくいただいてきたわけです。とことん、他の菌を殺しまくりますので。一方のビフィズス菌も乳酸を分泌しますし、もっと強い酸である酢酸も分泌します。これで他の細菌を殺すのですが、自分自身が酸に弱いのです。なので、一般に、ビフィズス菌を口から飲みこんでも、ほぼ途中で死滅し、腸まで届きません。森永さんが、健康な子供の腸から分離した酸素や酸に特別強いビフィズス菌入りのヨーグルトを販売しておられますが、特定のタイプの菌だけを投入するのがどうなのか、という疑問はありながらも、私も試しに飲んでいます。
ただ、基本は腸内の善玉菌を増やしたければ、餌である繊維を多く取ること、肉の割合を多くし過ぎないこと、など、菌を投入という発想ではなく、お目当ての菌の生育環境を整える食事を工夫するのが基本です。
よく、ヨーグルトを自分でつくっている、とか、これ体にいいのでやってみたらと、勧められたので、ああ、そうですか、と一応、しばらく付き合ってはみたのですが、普通のヨーグルトを多く飲んだり食べたりすると一発で腸の動きが止まります。細菌を絡めとる「ネバネバ」がわるさをするのか、ジェノサイダーである乳酸菌が一部、腸まで届いて虐殺をやっているのかは知りませんが、体感として、これはやってられないという反応がはっきりとでます。豆乳ヨーグルトはもっと最悪で、腸を完全に機能停止させられたような感じです、なのでもう口にしなくなりましたが。毎日、主食のように豆乳ヨーグルトを大量に食べていた人はどんどん痩せこけていったので、「食うな!」と強く言い、やめてからはだいぶ健康を取り戻したようですが、大豆レクチンが腸内細菌を殺しまくり、腸の粘膜細胞に「蓋」をして栄養吸収を阻害し、腸の消化酵素阻害剤が含まれ、更には腸の粘膜を破壊し、体内に侵入して炎症を起こすのですから、まあ、ろくなことはありません。
乳酸醗酵は古代より、保存食として、ありがたくいただいてきたものですが、人間様の都合にとって乳酸菌の役割は醗酵食品をつくるまで。腸内細菌のバランスをよくするなら、ビフィズス菌が好きな食べ物を食べるのが基本です。