藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2017年01月08日

  

がん, 免疫

2017.1.7.

 

 

 

CAR-T療法について

色々とお問い合わせをいただきます。

 

 

いわゆるCTL療法の一種ですので

体内の腫瘍細胞のもつ「微細な型番」と

合っているものを投与できれば

効果を発揮する可能性があります。

もっとも、必ず生き残るがん細胞がおり

それが増殖してきます。

また、全く「はずれ」ということもあります。

 

根も葉もない話ではないのですが

かといって、主役に踊り出るような

ものでもない、ということです。

 

 

もっとも、ANK療法を受けられる患者さんの

全員ではありませんが、一部、無料で

CTL療法が提供されています。

 

つまり、CAR-T療法というのが

今、研究者の間で、

最も、HOTで、注目されている

がん免疫療法と言われますが、

私どもは、とっくに、CAR-T療法よりも

現実的で、実際に、がん細胞を傷害することを

確認したCTL療法を実用化している

ということです。

 

CAR-T療法は、どんなに工夫をしても

一般的な免疫細胞療法並みのコストに

収まることはあり得ないですが

私どものCTL療法は、無料です。

 

 

 

そもそもCTL療法とはなんぞや、という

基本を少し説明しておきます。

 

まず、免疫細胞の中で、がん細胞を傷害する能力が

圧倒的に高いのがNK細胞です。

それ以外に、T細胞の中にも、

ごく特定のがん細胞に限って

傷害するCTLが、ごく少数ながら存在します。

 

ざっくりでいうと、体内のNK細胞総数は

1000億個レベルで、この大半が、活性が

高ければ、如何なるがん細胞でも傷害します。

NK細胞集団は、がん免疫担当細胞として

圧倒的な戦力をもっています。

 

一方、T細胞は、1兆個レベルで体内に存在すると

考えられますが、その中で、

標的細胞に体当たり攻撃をかけて

傷害を及ぼすCTLは、最大でも半分はいません。

もう少し少ない感じです。

 

すると総数ではCTLの方が

NK細胞より数が多いように見えますが

個々のCTLが傷害する標的細胞は、「型番」が

一致した極めて少数のものに限られます。

あくまで、ある種のイメージで言うと、

個々のCTLがもっている微細な型番が、

個々の標的細胞がもつ同種の微細な型番と一致し、

CTLが標的細胞を攻撃する確率は

概ね、数百万分の1というレベルです。

 

目の前に一個のがん細胞がいて

それと「型番」が合うCTLは

数百万個のうちの1個くらい

ということです。

 

しかも、相手が、がん細胞か、正常細胞かは区別できません。

型番が合えば、正常細胞でも攻撃してしまいます。

そして、がん細胞共通の型番というのは

みつかっていません。

 

ということですので、CTLをがん治療に用いる場合は

漠然と増殖させても全く戦力にならない、ということです。

 

私どもでは、実際のがん細胞集団を傷害することを

顕微鏡下で確認したCTLを選択的に大量増殖させて

無料提供させていただいています。

 

その際、血液、数十ミリリットル中のT細胞集団を

集めてきても、標的がん細胞を傷害するCTLが

ほぼいない、ということもあります。

ですので、数リットル単位の血液中から集めた

大量のT細胞集団の中から、役に立つCTLを

選択的に増殖させる必要があります。

 

 

CTLというのは、これくらい、「率」の悪いものであり

しかも、個々のCTLが攻撃する標的細胞が、極めて

限定されるため、CTLの遺伝子を操作して

多くの標的を認識できるように、あるいは

野生型のCTLだと認識しないような

正常細胞に広く存在する物質を攻撃するCTLを

遺伝子操作でつくりだす、という研究が行われています。

 

こういう遺伝子を改変したCTLを用いる

がん免疫療法をCAR-T療法といいます。

 

すると、すぐに、がん特異抗原を認識する

センサーの遺伝子を導入したCAR-T療法と

銘打つ研究者がでてくるのですが

がん特異抗原というのは、どこまでいっても

夢まぼろしの世界です。

実際に治療効果をあげている

CAR-T療法における標的は、正常細胞にも

存在するものになっています。

え? すると、当然、正常細胞が攻撃されて副作用が

でるのでは? はい、そうです。

それはしょうがないのです。

ある特定の正常細胞が元になって

がん化している場合、体内のがん細胞の多くが

正常細胞時代にもっていたのと同じ標的物質を

ひきづってもっていることが多いので

がん細胞の多くも攻撃を受ける、ということです。

 

がん細胞だけを攻撃するCTLを

CAR-Tで作り出すことはできないのです。

 

 

各地で臨床試験が実施され、効果をあげるケースは

報告されていますが、結局、撃ち漏らすがん細胞が

必ずいますので、一時的に効果をあげても

そう永くは効果が持続しません。

型が合わない、あるいは、変異したがん細胞が

猛烈に増殖してきて、もう同じタイプの

CAR-T療法は効かなくなる、ということが

報告されています。

 

 

それでも、簡単につくれるならいいのですが

これ相当、手間ひまかかりますので

安く提供するのは無理でしょう。

 

オーソドックスなCTL療法の方が

はるかに、多くの標的を認識し

実用的です。

 

もちろん、野生型の個々のCTLは

非常に限定された、ごく一部のがん細胞しか

攻撃しませんが、標的として、患者さんから

採りだされた腫瘍組織があれば、そこにいる

多種多様な様々ながん細胞に、個々に対応する

多種多様なCTLを選択的に増殖させればいいのです。

 

どこまでいっても、現実のがん患者さんの体内にいる

がん細胞は、超々雑種であり、いろんなのがいて

コロコロ変化しますので、せめてCTLを作成する際の

標的としては、体内の腫瘍組織そのままでないと

役に立つCTL集団にはなりにくいのです。

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