2017.5.23.
合鴨の雛の出荷が始まったという
ニュースが流れていました。
合鴨農法も、まだまだどこでもやってる
というほどは普及してませんが、
もうすっかり、そういうのがある、
という認知はされるように
なってきた感があります。
合鴨農法の話を聞くと、
ANK療法の本を書いていただいたときに
著者の方が、NK細胞を合鴨に喩えるんだ、と
おっしゃったことを思い出します。
即刻、却下!、いや、まったく似てないと思いますよ、と
申し上げました。
著者のおっしゃるには、合鴨農法は、自然農法なんだから、
本人の自然な免疫力を活用する
ANK療法に通じるものがあり、
また、合鴨が、田んぼの中を泳ぎまわって、
虫や雑草だけを食べるんだから、
全身を巡り、がん細胞を狙い撃つNK細胞と
似ているではないか、ということでした。
まあ、農薬使いまくるのが、抗がん剤のイメージで
合鴨農法は、生き物を田んぼに放つことで
勝手に稲の外敵を食べてもらい
自然環境を傷つけない、、、なので、ANK療法のようだ、、、
というのはわかりますけど。
NK細胞は、がん細胞を殺すのが仕事(他のこともやりますが)で
生来のプロの殺し屋です。
合鴨は、野生の鳥から、人間が作り出した
半分、人工的な生き物です。
ただ餌を食べてるだけで、米も食べてしまうし
雑草は食べませんし、まちがっても稲作のプロではなく
人間の側が、うまく、合鴨の習性を利用しているものです。
がん細胞を狙い撃つNK細胞と
自分が食べたいものを食べてるだけの合鴨とは
ずいぶんイメージが違う、と申し上げたところ
賛同してくれると思ったのに、とても意外な反応と
驚いておられました。
おそらく何億年もがん細胞を殺し続けてきた
プロの中のプロ、NK細胞と、
せいぜい、この数千年の間に、マガモから、
人工的につくりあげられたアヒルを
改めて、マガモ寄りに戻した合鴨とでは
野生の狼とマルチーズ以上に、
差があるんですが、、、と。
雨が降っても困らないように、屋根付きの小屋を
つくっておいたのに、屋根の下に自分の判断で
入ることもなく、雨に濡れてガタガタ震えている
合鴨の雛をみたこともありますが、あれ、かなり
ドンくさいですよ、NK細胞の精悍さとは
似ても似つきませんが、、、 と延々、話はすれ違い。
合鴨が雑草を食べるというのは何かの間違いでしょう、と
申し上げると、いや、合鴨は雑草を食べてくれる、と
主張されました。 そんなことはないでしょう、と私。
だって、雑草を食べるなら、稲も食べるでしょう。
稲が「正しい」草で、他は雑草なんて、人間の都合であって
合鴨が「草」を食べるなら、雑草だけ食べるということは
ないはずで、目の前の稲を食べないのだから、当然、
雑草も食べないでしょう。
ということで、合鴨農法をやっておられる農家の方々
およそ40名様のブログを集めてみたところ
3名の方が、合鴨は雑草を食べないと書いておられ
他は、雑草を食べるか、何も書いていない人でした。
ほら、食べるじゃない、とおっしゃるのですが
私は、ほら食べないじゃない、と、同じブログ集を
みても、真っ向から結論が対立します。
「食べない」派の方の記述は極めて正確な文書で
よく合鴨を観察され、詳細に具体的なことを
書いておられます。 ただ、若い葉の先端の
柔かいところは食べる、とあり、実際、柔かい葉っぱなら
刻んであたえると、合鴨の雛は喜んで食べています。
一方、他の方々の記述は、曖昧です。
免疫細胞療法を説明するHPは、山のように
ありますが、そこに書いてあることが、
まず、詳細な背景を正確に記述しているのか
雰囲気だけで、曖昧なものなのか、そこが
事実を見抜いていく要になるでしょう。
合鴨の場合は、泳ぐ時に、激しく斜め下・横向きに
足をキックして突出し、バッと水かきを広げるので
丈夫な稲の根本は耐えていますが、後から生えてきた
雑草は根こそぎ、蹴散らされてしまいます。
注意深く観測している農家さんの書き込みにも
根から抜けてしまった雑草が流れてくる、とあります。
食べてはいないのです。また、泥がかき回されて
水が濁るので、後から生えてきた雑草は光を
得られないので、水面上まで成長することが
できません。
そもそも水田は、密集した苗代から手でていねいに
稲だけ集め、ある程度、成長させておいた稲を
何も生えていない状態の水田に田植えし
いきなり稲だけが水面上に葉っぱをだし
優位な状況を作り出して、
後から水中を突き抜けて生えなければいけない
雑草は排除する、という仕組みです。
もし稲より成長が早く、根が丈夫な
稗がはびこってしまえば
合鴨は何の役にもたちません。
よほど柔らかくないと草は食べない合鴨は
繊維の硬い稗は、稲同様、見向きもしません。
なので、浮草をびっしり生やしておいて、
日光が届かないようにしておく、など、
合鴨だけでは無理な部分は、別の農法を
組み合わせる必要があります。
また、稲穂が実ると、これを食べてしまうので
さっさと、捕まえて、鴨鍋にする必要があります。
人工的につくられた鳥なので、自然に放鳥できず
用事がすんだらブリーディング用を別にして、
食用にするしかありません。
稲穂の収穫が近くなってから大量発生する害虫に対して
合鴨はもう田んぼにいないので、別の手立てが必要です。
決して、完全な農法ではないのです。
最近では、聞かなくなりましたが、以前は、よく
ある日、突然、合鴨が全滅した、という事件がありました。
あるいは電気ネットが普及する前は、
キツネや犬などに片っ端から食べられた、
周囲を囲うネットだけでは、
カラスに食われる、、、
こうした問題を一つずつクリア
しながら、結構、問題や手間が多い合鴨農法を
何とか続けてきたわけです。
もともと、がん細胞を狙い撃ち、排除するために
存在しているNK細胞をがん治療に用いる。
もともと、大空を自由にとびまわり、食べたいものを
食べる野生の鳥から、空を飛ぶのが苦手な
家畜化され、生命力がおちてしまい
米を餌としか思わず、食べてしまう鳥を
本職とは何の関係もない米つくりに利用する、、、
どう考えても、NK細胞とは、違うもの、、、
というイメージなんですが、、、