2017.6.6.
* NK細胞療法の有効性の証明というのは、50リットルレベルの血液から採取されたNK細胞を、高度に活性化し、患者さん体内に戻したもの、ということであり、非常に強い免疫副反応を伴うものです。国内で一般に実施されている注射器で20~50ミリリットルの採血を行い、発熱などの免疫副反応がほとんどないものとは、まったく違うものです。
NIHという組織は
一言でいうと、
むちゃくちゃお金を使える組織、です。
日本のライフサイエンス分野の研究に
投入される国家予算から、企業の研究費まで
全部、ひっくるめても、無視して問題ないレベルの
格差があります。
現状では、年間3兆円を超えており
これは日本の最大の医薬品メーカーの
「売上」を上回り、しかもすべてが
「基礎」研究予算に集中投入されます。
世界のライフサイエンスの研究費は
特に基礎研究費は、
NIHが出している、といっても
それほど過言ではありません。
とにかくやる、となったら
とことんやります。
そこまでやるか! というレベルで
徹底して細部にわたるまで
検証の上に検証を重ねていきます。
その上で、NK細胞療法の有効性を証明しています。
数十リットルの末梢血中のNK細胞を
かき集め(数十億個)、非常に強い免疫刺激に
より「体外」で活性化し、活性が高い状態で
(NIHの技術では培養期間は3日が上限
それ以上、培養すると活性が低下)
体内に戻せば、数百人のがん患者全員に
何らかの効果がみられた、というものです。
インターロイキン2プロジェクトの一環として
実施されたNK細胞療法の臨床試験にあたっては
そこに至るまでのありとあらゆる検証が
為されています。
臨床試験となれば、今度は、参加する患者さんの
交通費や電話代まで、徹底して細かく費用を算定し
NIHが支払います。
反対派による監視も徹底して行われるため
抗がん剤が奏効しないとされる患者さん
数百人を集め、わざわざ、
抗がん剤シクロフォスファミドの
大量投与を実施します。
抗がん剤が効かないとされている人に
抗がん剤を大量投与すると、
ひたすら副作用だけが増大するわけで、
全く非人道的な措置ということに
なりますが、そこは米国流、本当に抗がん剤が
奏効しないことを確認しないと、厳密な
検証にならない、と考えるわけです。
そこまでやるか、というレベルで
徹底して検証するのです。
衆人環視の中で、徹底した検証が行われた
NK細胞療法ですから、その結果を否定するのであれば
日本では考えられない資金を投じて検証する必要が
あります。 そんなことは誰もできません。
NIH自身が同じ条件での試験は二度と実施
していません。 ところが、日本では、
全く反証と言えるレベルの検証が行われていないに
かかわらず、「その後の検証によって、当初いわれた
程の効果はないと考えられた」という
デタラメな話が流布しています。
とことん厳密な検証を行いながら
実際に、治療効果が確認されたのですから
これは否定できるものではありません。
さて、NK細胞を体外で高度に活性化し
増殖をはじめて活性が下がる前に体内に戻したわけですが、
NK細胞だけを分離することはできないため
血液中に存在する白血球集団を丸々、活性化しました。
そのため、NK細胞以外の白血球が寄与している可能性を
否定できません。
そこで、白血球集団から、NK細胞を除去したところ
がん細胞を傷害する活性は消失しました。
つまり、LAK療法の成果は、NK細胞によるもので
あることが示されているわけです。
活性化されたNK細胞は、大量の細胞接着間物質を
分泌するため、NK細胞だけを取り除くのは容易です。
逆に、NK細胞だけをとりわけ、残りの細胞を除去するのは
非常に難しいものがあります。そこで、トリモチの要領で
NK細胞だけを取り除いたわけです。
では、LAK療法の有効性の証明の後
米国の研究は、どのような方向へ
向かったのでしょうか。
(続く)