藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2017年06月13日

  

がん, 免疫

2017.6.17.

 

 

 

米国国立衛生研究所NIHが有効性を証明した

NK細胞療法は、(名称はLAK療法)

 

50リットル(というレベル)の血液から集めた

数十億個のNK細胞を

体の外での培養し、強く活性化し

増殖をはじめることで、活性が低下する前に(3日以内)

体内の免疫抑制を緩和する措置

(インターロイキン2大量投与)を

行いながら、体内に戻した

 

というものでした。

 

 

  1. 体外で、十分な数の、がん細胞を傷害するキラー細胞を強く活性化する
  2. 体内の免疫抑制を緩和する措置を行う

 

 

この二つが、NIHが確立した

「免疫細胞療法が、効果を発揮する」

必要十分条件です。

 

 

ANK療法は、①と②の両方を満たす

国内唯一の免疫細胞療法です。

 

ところが、国内では、50リットルの血液から

採取するのではなく、

20~50ミリリットルと

三ケタもスケールダウンした免疫細胞療法が

普及してしまいました。

簡便で、コストも安く、手軽にできるため

ANK療法が、まだ全国で一か所しかできなかった時代に

こうした簡便法が、あっという間に全国に広がりました。

全国600か所以上で実施されているようですが

名称は様々でも、中身はほとんど同じものです。

そのため、免疫細胞療法は、

安全だが、効果がない、という風評を

生む背景となってしまっています。

 

 

他にも、LAK療法の検証と称する実験が

いくつも行われています。

 

 

ただし、1984年に、NIHが

有効性を明確に確認したLAK療法と

同じ条件で実施された追試は一つもありません。

 

 

 

実際に検証として意味があったのは

ホワイトヘッドらが行った

LAK細胞群からNK細胞を除去すると

がん細胞を傷害する活性が消失する

というものです。

ところが、この逆をやってしまった

実験もあります。

 

 

LAK療法は、NK細胞をがん治療に用いるために

設計され、だからこそ、NK細胞の活性低下を

招かないように、培養期間を3日以内に制限したのでした。

 

一つの問題は、血液中の白血球集団を根こそぎ採りだしたため

NK細胞以外の細胞が大量に混じっていることです。

 

そこで、高度に活性化されたNK細胞が

大量の細胞間接着物質、

つまり「糊」をたくさん

分泌することを利用して、

トリモチ式よろしく、

ネバネバNK細胞だけを採りだすことで

残った細胞集団に、がん細胞を攻撃する

活性が残らないことを確認したわけです。

 

こうして、LAK療法の効果は、NK細胞によって

もたらされたものが確認されました。

 

 

ところが、T細胞だけを除去する試みも盛んに

行われ、現在も行われています。

 

 

マイクロビーズという、小さなシリコンビーズに

磁性体を封入しておきます。そして、表面に

びっしとり、抗CD3抗体をつけておきます。

 

T細胞は、原則、細胞表面に

CD3を発現していますので

この抗体にべたべたとくっつきます。

 

そして、磁石で引っ張れば、T細胞ごと

マイクロビーズを引き寄せることができ

T細胞を除去することができるわけです。

 

マイクロビーズ法というのは

それほど突飛で特殊なものではなく

細胞を選別する際に、とりあえず

試みられる割とよくある手法です。

細胞の巨大さに比べると

抗体は小さ過ぎ、また、そんなに

びっしりと標的抗原が生えているとは

限らないので、牽引パワー不足で

うまくいかないことも、多々あります。

 

 

LAK細胞群れから

T細胞を磁石で引っ張って、取り除いた、

と「思って」しまい、

残った細胞を調べてみると、

あまり、がん細胞を

傷害する活性は高くありません。

LAK療法を実施したNIHの

グループも、

実際に、がん患者さんを

治療する臨床試験を行いました。

ところが、効果は

さっぱりでした。

 

 

 

なぜ、こういうことになるのでしょう。

 

 

 

マイクロビーズでT細胞を

取り除いたつもりになっていても

活性の高いNK細胞は、糊だらけですので、

一緒にくっついてくるのです。

 

残ったのは、あまり活性が高くない、糊をそれほど

出していないNK細胞だけ。 これでは

がん細胞を攻撃するパワーがないのは当たり前です。

 

 

NK細胞は、圧倒的に大量の糊を出すため

NK細胞をくっつけて取り去って捨てることは容易です。

ところが、NK細胞以外の細胞を取り去り、NK細胞を

残すことは、非常に難しいことで、無理にやると

活性の高いNK細胞も一緒に捨てることになります。

 

 

 

ところが。

 

リンパ球集団をとってくると

必ず、NK細胞と一緒にT細胞がおり

そして、NK細胞を圧倒するスピードで

増殖します。

 

T細胞の実験をしたいのであれば

何日か放置しておけば、T細胞だらけになって

NK細胞はほとんどいない

レベルに細胞数比が低下します。

 

逆に、NK細胞の実験をしたい場合は

やたらと増えまくるT細胞が邪魔です。

そこで、こうしたT細胞を除去する手法が

研究者の間には広まっており

T細胞を除去する際に、

肝心の高活性NK細胞も

一緒に捨ててしまったあとの

残りのNK細胞だけで実験している

という事態に陥っています。

 

 

 

(つづく)

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