藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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2017年06月18日

  

えとせとら

2017.6.17.

 

 

 

米海軍アーレイバーグ級駆逐艦
フィッツジェラルドが、日本の
貨物船(フィリピン便宜置籍船)
と衝突し、航行に支障がでた事故が
大きく報道されています。

なんでレーダーだらけのイージス艦が
ばかでかい貨物船に気付かんのか ?

民間の商船の方は、
ちょっとへこんだだけなのに
軍艦がボコッとへこんで浸水により
艦が傾き、航行にも重大な支障というのは
逆ではないのか?

弾道弾ミサイル迎撃艦が
1隻、壊れてしまい、
日本の弾道ミサイル防衛に
影響はないのか?
概ね、こうした内容のコメントが
寄せられているようです。

フィッツジェラルドといえば

通常のスタンダードミサイルを
弾道弾迎撃用にバージョンアップされた
システムを導入した艦艇で
北朝鮮から発射される弾道弾を迎撃する
体制を構築するため、運用試験をかねて
早くから日本周辺で警戒任務についていた艦です。

マッハ20以上で突っ込んでくる弾道弾と
ほとんどが、マッハ1以下で飛んでる
航空機や巡航ミサイルを迎撃するのとでは
難易度が全く異なり、誘導システムも
迎撃ミサイルの姿勢制御システムも
弾頭の種類も違います。
一般的なイージス艦が装備するミサイルは
迎撃ミサイルの弾頭が爆発した衝撃波が広がり

衝撃波が衝突する衝撃で目標を破壊します。

ある程度、目標の近くで爆発させれば

迎撃できるわけです。

ところが、 衝撃波は、マッハ1で拡散するため
弾道弾は、あっという間に、衝撃波が
伝わる前に、迎撃ミサイルの脇を通過します。
そのため、弾道弾迎撃ミサイルは
弾道弾にミサイル同士が、直撃するように誘導されます。

要求される誘導精度がけた違いに高いのです。
しかも、弾道弾の弾頭は非常に頑丈です。
通常の鋼鉄などではなく、劣化ウランや
タングステン、など、とても硬い金属や
合金を使っています。
航空機や巡航ミサイルなどは
弾道弾の弾頭に比べれば
アルミ箔のようなものです。

さて、フィッツジェラルドが戦列を離れ
日本の弾道弾防衛が破たんするのかということですが。
今となっては、同様の能力をもつ7隻の1隻が
しばらくいなくなる、ということになりますが
1隻いなくなってもローテーションが回らなくなるので
早々に、増援がくるでしょう。
常にハイレベルな戦闘状態を維持することは
できないので、ぐるぐると何隻も港や作戦海域を
回して、頻繁に交代する必要があります。
なんでレーダーの塊のような
イージス艦が、民間の船舶と
衝突するのか、ですが、船ですから
ぶつかる時はぶつかります。

軍艦同士や、軍艦と商船の衝突は
昔からよくあることで、米海軍の
巡洋艦が衝突で発生した火災により
丸焼けになったこともあります。

潜水艦の事故は特に多く
原子力潜水艦の事故の場合は
特別に深刻な放射能汚染の問題があります。
原子力艦でなくても、基本的に
米海軍の艦艇は核兵器を搭載しているため
沈没となると、核弾頭をどうやって
回収するかで、密かに大騒ぎをやります。
フィッツジェラルドは、空母直衛任務にも
就きますが、本格的な空母機動部隊を
編成する際は、空母の前後左右に4隻の
駆逐艦が配備され、各艦の間隔は150メートルほど。
空母の長さの半分くらいの距離に
隣の船がいる、という異常な近さです。
最近は、そこまで本格的に空母を護るケースは
稀ですが。

通常、大型艦が艦隊を組む場合は、各艦の距離を
1000メートルほどとならいと、激しく舵を切る
艦隊機動の際に、
味方同士が衝突する可能性があります。
現代の米艦艇は、各艦を遠隔で一斉操艦する
ことができます。
このシステムで艦隊として行動する時は、
商船と衝突するのに気付かないどころか、
完璧に一糸乱れず統合された機動をします。
空母に敵の対艦ミサイルが命中するのを
防ぐ楯として、駆逐艦が、ビッシリと
取り囲み、空母が自艦+周辺4隻の駆逐艦を
全て一元システムで操艦するのです。
しかも、ガスタービン艦
(基本的にジェットエンジン)
は、停止状態から、30秒以内に
全速力に加速したり、急停止もできます。

それほど完璧な操艦システムを装備する
米艦艇が、なぜ、巨大な民間船舶と
うっかり衝突してしまうかというと
入出港の際などは、ごく普通の船として
航行しているからです。

イージスシステムというのは、数千の
超小型のレーダー素子を、個々に操作し
お互いのレーダー波を干渉させることで
細いビームにしたり、数十本のビームに
することも、扇状に広げることも自在にできます。
こういうものも、入出港の時は、スイッチを
切っています。
そうしないと電波だらけになってしまいます。

ちなみに、敵のミサイルを認識し、自動的に
照準をつけて、機関砲をうちまくる
CIWSという自動防御システムもありますが
こういうものも、入出港の際には
スイッチを切ってあります。
やたらと、いろんなものを迎撃してしまう
リスクがあるからです。

結局のところ、最新鋭の装備をもつ
イージス艦といえど、ほとんど機能を
発揮していない状態で、やってしまった
ということです。
軍艦が、民間の船舶とぶつかって
なぜ、「負けた」のか。

現代の戦闘艦艇は、ほとんど装甲を
もっていません。 むしろ、上部構造物は
軽合金を多用しています。
その方が、電子機器が干渉をうけにくいという
メリットもありますが、重心を低くする
という設計上の必要性もあります。
蒸気タービン艦は、重いボイラーや
蒸気で回転するタービンなどが
艦底に並んでいますが、ガスタービン艦は
小さなジェットエンジンが、チョコンと
鑑底に収まっています。
船の底にあった重いものがどんどんなくなり
電子機器類は、極力、上の方に突き出そうと
します。結局、重心が上がる話ばかりなので
ブリッジなどは、ひたすら軽くつくります。

現代戦では、ミサイル一発命中すると
どうせ、電子機器類のアンテナや配線は
ボロボロになるため、戦闘力は失われます。
装甲で船体を守るという発想はほとんどありません。
つまり、洋上で作戦行動中のイージス艦の
戦闘力は、非常に高いものがあるわけですが
港に停泊中や、入出港の際には、どこにでもある
普通の船であり、しかも、軽い金属でペラペラに
つくってあるわけです。

スピードを速くするという観点ではありません。

むしろ、第二次大戦中の軍艦の方が高速でした。

空母でも、艦隊型空母というタイプなら35ノット以上はざら、戦艦でも空母にくっついていくことを想定した米戦艦は33ノット。駆逐艦は、35~36ノットが、ごく普通で、 中には、駆逐艦「島風」のように40ノットでるのもいました。

現代では、時速1000キロ以上で飛ぶ航空機や、

ミサイルが飛び交うので、

船の速度が少し遅いか早いかは大勢に

影響ありません。むしろ、高速になるほど

水中に伝わるノイズが大きくなり、

逆に、敵の潜水艦の音が聞こえなくなるので、

25ノットくらいで航行し、

出すときは、30ノットでる、

それで十分です。

 

うすぺらな現代の軍艦は

港に停泊中に、
ちょっとした対戦車誘導兵器などを
歩兵からなる特殊部隊が発射すると
コロッとやられてしまう危険があります。

英側呼称「フォークランド沖の戦い」で

撃沈されたミサイルフリゲート「HMSシェフィールド」は

アルゼンチン海軍の艦載機が発射したエグゾセ対艦ミサイルの「不発弾」が命とりになりました。たった一発の、それも爆発しなかったミサイルで沈んだのです。ミサイルを飛ばす燃料の残りが燃え、これが引火して、船まるごと燃えてしまったのです。当時、上部構造物は、アルミ軽合金でつくられていました。これは軽いのですが、もろくて、よく燃えます。アルミ箔ほどではないにしろ、さすがに弱すぎるということで、今は、もっと丈夫な材料が使われていますが、それでも、鋼鉄の塊からは程遠いほど脆弱な構造になっています。

 

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