藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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2017年07月24日

  

がん

2017.7.24.

 

 

 

血液一滴を採取して

分析にかければ、体内で

がんが進行しているかどうかを

13種の部位のがんについて

ある程度、調べられそうという

ニュースが話題になっています。

 

 

この話は、よくある研究者の先走りとか

臨床の現実を無視した話、あるいは

科学的な根拠ということでは

話が飛んでいるもの、、、という類のものでは

ありません。

 

本件は、「あり得る」話です。

 

もちろん、どこまで実用的かは

まだまだ、詰めていかないとわかりません。

 

 

現状、がん患者の保存血液を調べて

健常者にはみられないシグナルを検出しています。

 

つまり、がんと診断されている人は

健常者と異なるシグナルを出している、

ということなので、がんと診断されていない人で

実は、体内に、がんがある程度の勢いをもって

存在している人はどうなのか、これはまだ

わからないわけです。

 

がんと診断されていない人から

シグナルを検出し、その人から

やがて、悪性腫瘍がみつかるのか、

という検証を経ていかないと

ほんとに意味のある診断につながるか

どうかはわかりませんが、

少なくとも、十分、有力な診断マーカー候補

とまでは言えるでしょう。

 

 

何をやるのかというと、マイクロRNAと

呼ばれる、RNA分子が、つながった短い鎖を

検出するというものです。

 

生命の最初は、RNAの短い鎖が、自分自身を

加工する機能をもった、そこから複雑な

分子を創り出した、という説があります。

 

細胞内では、RNAの短い鎖が、タンパク質を

合成するRNA鎖にはりついて、合成を止めたり

RNA鎖を切断したり、あるいは、DNA鎖に結合する

ことで、RNA鎖の合成をとめたり、逆に促進するものも

あります。

 

小さなRNAの短い鎖が、重要な調節作用を発揮しています。

 

通常は、細胞内で働くもので、寿命も短く、すぐに

分解されてしまいます。

 

ところが、ごく一部が、細胞の外に分泌され

血液の中にも流れています。

 

はたして、これが生理活性をもつのか、単に

破片が飛び散っただけなのか、

議論はわかれるところです。

 

RNA分子自体に、生理活性があり

血液中に、ある程度の濃度で存在すると

末梢血管を広げる作用を示したりすのですが

明確に、生理活性が確認されているのは

RNAの単一分子です。

いくつかつながった鎖が、

細胞外で、はたして、活性をもつのか、

というと、さあ、、 それはどうかな、というところです。

(あるんだ、という説はあります)

 

ただ、血液中のRNAの鎖は、一般に非常に不安定で

すぐに分解され、量も、極めて少ないものになります。

 

それでも、DNAやRNAの鎖は、微量でもあれば

極端な話、1本でもあれば、検出可能なことがあります。

 

で、実際に、健常者と、およそ4万人のがん患者の

保存血液を比較したところ、がん患者の血液中から

特徴的な、マイクロRNAのシグナルが、検出された

としています。 これは、正確に定量しないといけません。

 

がん患者特有のマイクロRNAがあるのではなく

特定のマイクロRNAについては、血液中の量が

健常者よりも、数倍程度、多い、というものです。

 

 

まだまだやることはたくさんあるのですが

十分、筋目のいい話、と見えます。

 

 

ちなみに、この話は、あくまで「診断」です。

 

マイクロRNAを治療に使うというのは

とりあえず、がんについては現実的ではありません。

 

 

マイクロRNAの機能としてわかっているのは

あくまで、細胞内での作用です。

 

血液中を流れているマイクロRNAは

単なるデブリの可能性があります。

これが、再び、細胞内に取り込まれて

生理機能を発揮するのかというと

循環器系のような即応する必要があるものの

場合は、あり得るかもしれませんが、

がんの治療に活用となると、

それは、水素風呂に近いレベルの

つくり話ということになります。

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