2017.11.27.
NHKスペシャルで「龍馬 最後の30日」が
放映されていました。
来年は戊辰戦争150年ということで
政府主導の記念行事が企画されていますが
過去のことは水に流して、という政府側の
基調に対し、福島県側は昔のこととして
水に流すことはできないと真っ向から対立しています。
首相が山口県出身ですから更に話が複雑になります。
こういった背景もあるのでしょうが
このところ明治維新というのは
言われている「お話」とは全く違うものという
論説を展開される方々が増えてきています。
そもそも明治維新という言葉自体が
昭和になってからつくられたもので
当時は「御一新」と言ってたそうですが
面倒ですので今回は明治維新という言葉を
使わせていただきます。
坂本龍馬という人物は「竜馬がゆく」という歴史小説で
描かれたイメージで語られ勝ちですが、歴史としての
「坂本龍馬」と、小説のキャラクターとしての「坂本竜馬」とは
字も違いますが、全く別人物というくらい、小説による
作りこみが大きいようです。
暗殺事件については謎と言われてきましたが
それは小説としての竜馬暗殺の話。
歴史としての坂本龍馬については、
今回、番組で紹介された
陸援隊の中岡慎太郎によって暗殺された
というのが妥当な解釈です。
もちろん現代の殺人事件でも本当の犯人は違うのかもしれませんし
未解決事件もあり、JFK暗殺のように未だに捜査資料の多くが
機密扱いのままというものもあります。
150年も前の暗殺事件の真相となると、
本当は言われていることと違うのかもしれませんが
少なくとも小説ではなく、歴史として語られていることとしては
陸援隊によって始末された、が妥当です。
中岡慎太郎はいわゆるヒットマンですから
暗殺を指示した者がいるわけで、
直接指示したのは土佐藩の重鎮となります。
坂本竜馬は稀代の英雄とされてきましたが
実際のところ、歴史上の坂本龍馬がやったこと
というのはよくわかりません。
薩長同盟成立の仲介と大政奉還の斡旋が
二大業績とされていますが、この人物そもそもの
仕事が島津家の密貿易の使用人です。
毛利家が武器の密輸入を図って
島津家のルートに接近すれば
そこで実務をやっている坂本龍馬と
接触するのは当然の成り行き。
島津家にしてみれば密貿易は儲かりますが
可能な限り家臣ではなく、使用人を手先として使うのは
当然のこと。
阿片戦争の予算沸騰により
正規軍を本格投入する正面戦争によって
植民地を広げることを議会によって
止められてしまった英国公使パークスは、
阿片戦争の中核企業ジャーディンマセソン商会の
代理店であるグラバー商会等と組んで低予算による
日本乗っ取り作戦を企画します。
トーマスグラバーは、密貿易の相手方である
島津家の使用人坂本龍馬に船や資金を与え
海援隊をして武器の密貿易の実行部隊とさせます。
ここまでは坂本龍馬は「都合よくそこにいた人」に
みえます。
大政奉還については名目上は大きなイベントでしたが
実務能力のない朝廷が政治の実務を次々に徳川家に委任します。
これでは旗頭がかわっただけで実態は変わりません。
大政奉還とは江戸時代の始まりにおいて、朝廷から徳川家が委任された政権行使の権限と責任を元の朝廷に返す、ということです。
まとめて権限委任を返上しても、外交権を皮切りに個々の権限を次々に委任していったので、元の状態と実質何も変わらなくなります。
ましてや、島津家や毛利家は何の関係もなく何の権限もありません。
明治維新とは平和裏に幕府が自主的に政権を返上したのではありません。
ましてや、徳川家が島津家と毛利家に政権を委譲したのではありません。
大政奉還が実務上、実行されないことに業を煮やした島津家・毛利家の
家臣団が武装蜂起し、武力によって徳川政権を倒し、朝廷を牛耳り、
力づくで政権を奪い取ったものです。
その際、幕府を賊軍として討伐せよ、との朝廷の正式な裁可は
ありませんでした。勝手につくられた私文書をもって、
朝廷の公式文書として討幕令が下ったとしてしまいます。
有名な錦の御旗も勝手に自分たちでつくったものです。
あの旗の意味を当時、どれだけの人が理解したかは不明ですが
そこは勢いで我は官軍である、とやったわけです。
圧倒的な軍事力を誇る幕府軍が敗走したのは
将軍自ら、ろくに戦いもせずにさっさと大阪から逃げたからです。
それも米軍の艦艇に搭乗してです。
そして大阪湾にはずらりと英東洋艦隊の主力艦が
艦砲射撃の準備をして整列していました。
これでは士気があがらない幕府軍はあっさりと
軍事クーデターを起こした賊軍の跳梁を許してしまいます。
これがのちに明治維新と称された国外勢力を背景とする
武装勢力による武力行使による
政権奪取の歴史です。
こうしたどさくさの中で暗殺された坂本龍馬という人物は
時の勢力にとって都合が悪かったということは
やはり国の未来を考える志士だったのかもしれません。
歴史として記録にのこる武器商人の手先にすぎない坂本龍馬
歴史小説で持ち上げられたつくられたイメージの稀代の英雄 坂本竜馬
真実はどちらでもないのかもしれません。