(前回の続きです)
免疫細胞療法は細胞そのものを用います。今回は薬剤を投与する「免疫療法」の中でよく話題になるものを簡単に説明します。
(免疫チェックポイント阻害薬)
免疫細胞を眠らせる抑制信号を薬でブロック。本命のNK細胞ではなく脇役のT細胞が目覚めるのが問題です。T細胞は正常細胞も攻撃するので重い副作用があります。かなり危険な薬で投与は慎重に検討すべきですが、夢の新薬と過剰報道され副作用の説明を十分しない病院もあるようです。効果と副作用のバランスを見極める必要があります。
(分子標的薬)
世界標準の免疫療法の大御所。欧米では抗がん剤よりも多用されるがん治療薬の主役です。がん細胞を殺すことを諦め、がん細胞の増殖にブレーキをかける等、がんに何らかの抵抗をします。抗がん剤と違い正常細胞を殺さず免疫細胞の邪魔をしません。そしてNK細胞ががん細胞を攻撃するのを待ちます。NK活性がある程度残存していると劇的な効果を発揮します。
ところが日本ではNK細胞を傷める抗がん剤と併用されそれほど効果がないと思われています。分子標的薬は可能な限りNK細胞の攻撃力を高めるADCC活性というものを活用するものが最優先で開発されます。これほど免疫中心の薬なのに、なぜか日本のメディアなどは分子標的薬を免疫療法と呼びません。
(光免疫療法)
まだまだ研究段階。免疫療法である分子標的薬を事前投与するので免疫療法と呼ばれます。分子標的薬はがんの部位にはあまり関係ないのに保険が利くのは限られた部位だけ。保険外で分子標的薬を投与すると「光」は関係なく薬自体が効く可能性があります。光が加わる意味があるかどうかはこれからの検証になります。 よくがんだけに集まる物質を予め投与しておく、と紹介されますが、そんな即、特効薬になるような便利な物質は一つもみつかっていません。分子標的薬は正常細胞にも集まります。
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