(前回の続きです)
「免疫細胞療法」は、薬剤を投与する「免疫療法」とは異なります。
がん細胞を攻撃するために生まれてくる「がん免疫」の主役であるNK細胞を増強(Amplified)してから体内に戻すのがANK療法です。
ところが、NK細胞の培養は大変むつかしく、非常に高度な職人的な技能を用いる必要があります。
そのため本命以外の免疫細胞を何とか活用しようと様々な免疫細胞療法が試みられてきました。
まず用いる細胞本来の性質を理解することが様々な免疫細胞療法を整理する基本になります。
(樹状細胞)
体内では消化管粘膜の奥やリンパ節などに張り付き血液の中にはほとんどいません。細菌やウイルスをみつけるTLRと呼ばれるセンサー群を多種大量にそろえています。樹状細胞が存在する場所の周りに細菌やウイルスが沢山いれば感染症発生ということになります。
樹状細胞は感染症と戦う免疫細胞に攻撃指示をだし、その中にはウイルス対策が得意なT細胞の一種CTLもいます。
CTLの中にはごく稀にがん細胞を攻撃するものもいます。樹状細胞がもつセンサーにはがん細胞は見えませんが、感染症免疫では司令塔として働く樹状細胞を何とかがん治療に使えないのかと各地で研究されています。培養自体は簡単ですが、実用的ながん治療となるとまだまだクリアすべきハードルは高いものがあります。
(その他の免疫細胞療法)
NK細胞を大量培養するANK療法と樹状細胞療法は患者さんの血液を数リットル単位で採取するのが基本です。NK細胞は増殖が遅いため大量に採取する必要があります。樹状細胞は血液にいないので大量に採取した他の細胞を薬剤で化けさせています。
それ以外の免疫細胞療法は様々なものがあるようでも中身はほぼ同じものです。血液を20ミリリットルほど採血して2週間ほど培養して体内に戻し点滴後の免疫反応がほとんどありません。
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