ノバルティス社が免疫細胞療法の一種であるCAR-T療法(CTL019)の国内承認申請を発表されました。
治療法が限られるタイプのがんに新たな治療の選択肢が増えるのはいいことですが、CTL019についてはまず薬価がどうなるかという点が注目を集めています。
米国では一回の治療で5000万円を超え、副作用のケア等に5000万円から最大で1億円、最大で合計1億5000万円という金額に達します。所定の効果が見られなかった場合には返却するという条件もありますが、付帯費用は戻りません。
免疫細胞療法を適切な条件で行えば抗がん剤の限界を超える効果を発揮し得るという事実は80年代に大規模な臨床試験で実証されています。米国では承認を取得したものもあります。樹状細胞療法として治験を重ねながら効果なく、低活性ながらもNK細胞を投与することで有効性を確認したsipuleucel–T です。
国内で免疫細胞療法の承認申請が行われたのは今回が初めてですが、今までなかった理由の一つは適切な法律がなかったからです。
昨今、細胞医療を規定する法整備が進み、免疫細胞療法の承認申請ができるようになってきたのですが、次のネックは「資金」です。承認申請に至るまでには莫大な資金の「前払い」が必要です。
巨大な医薬品メーカーであればそれも可能なので申請できたわけですが莫大な申請関連費用に開発費用、培養コスト、営業費、さらに利益を載せていくとこういう値段になります。日本の薬価はまだわかりませんが、巨大メーカーが醸成してきた承認申請の仕組みというのはそういう構造になっているものです。
CAR-T療法はどういうものかは2016年に書いたものですが以下をご参照ください。