藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2018年06月18日

  

がん, 免疫

標準治療が奏効しない乳がん患者さんが免疫細胞療法で劇的な症状改善という論文が海外の通信社から配信され様々に国内報道されました。 「免疫細胞療法で完治」とするものもありました。 がんの「完治」は定義がありませんので、どんな素晴らしい治療を受け、素晴らしい治療成果があがった場合でも完治とは言えません。

 

完全寛解つまり今日の技術では体内のがん細胞を検出できないレベルまで症状が改善した、という状態に持ち込むことが当座の目標となります。あとは、再発が認められない状態を何年伸ばしていくかです。 長くなるほど「事実上の完治」と呼べる状況になっていきますが「事実上の」であることに変わりはありません。

 

例によって「これは初めてのことだ」という「専門家のコメント」がついているのですが、乳がん患者さんが免疫細胞療法で事実上の完治に至るということはそこまで珍しいことではありません。

 

「その専門家の方」が初めて経験されたということです。

 

乳がん患者さんを免疫細胞療法で治療した報告としてはすでに1984年に実施された臨床試験のものがありますがそれより前にもあるのかもしれません。ただ免疫細胞療法の臨床試験というと集まる患者さんは悪性黒色腫、腎がん、前立腺がんが多くなります。これは米国の話ですが。 いずれも抗がん剤が奏効しにくいがんであり特に悪性黒色腫は免疫細胞から特別「見えやすい」という背景もあります。

 

最近では乳がんの治療といえばホルモン療法に加えて免疫系の治療薬である分子標的薬の品揃えが進む一方で、世界的には抗がん剤の使用は減少していく傾向にありますので、乳がん患者さんが免疫細胞療法を受けやすい状況になってきています。また乳がんのがん幹細胞は10年間休眠した後、活動を再開することもあり、休眠中のがん幹細胞には抗がん剤はほぼ奏効しませんので術後再発防止としても免疫細胞療法には注目が集まっていくでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

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