日本ではオプジーボ開発に情熱を注がれた本庶佑先生のノーベル賞受賞が話題になっていますが、欧米の大手医薬品メーカーを中心とする新しい展開は何年も前から進んでいます。
今回の受賞を契機に日本としてどうするのかは問われています。
オプジーボは開発が進まずに苦労した時期が長く国内メーカーが世界の大半の販売権を米国メーカーにライセンス供与し米国主導で臨床開発が進みました。
日本の研究体制や免疫療法に対する極端な偏見というも問題もありますが、医薬品の開発は異常にコストをかけすぎる「国際ルール」が存在し、欧米のメガファーマ以外はまともに参入できない規模になっていることが最大の問題です。 日本の医薬品メーカーも本格的なグローバル開発には手を出せないのです。
政府承認を取得する申請コストという「所場代」を上げ過ぎた、ということです。
数年前でも、新薬1品目の承認申請にかかるまでの費用が60~80億ドル、つまり1兆円に近いとされていましたが、今はさらにコスト増となっています。 これだけ資金を投じないと「エビデンスあり」と認めないということです。
結果的に承認取得されたオプジーボの場合、当初1年半の投与で5千万円になってしまったわけです。
承認申請に至るまでのプロセスを徹底的に見直さないと本当に役に立つ治療が世に出ることがないか、いつまでもエビデンスがないと不当な言われ方をすることになります。オプジーボ開発の経緯をよく理解することが重要ではないでしょうか。
ではオプジーボの「改良」はどのような方向を目指すべきでしょうか。
まず副作用のモニタリング体制強化です。
T細胞を漠然と目覚めさせるので正常細胞も襲われます。 ならば、自己免疫疾患の発生を如何に早期にとらえ、手をうつかです。 副作用のコントロールは早急に改善の必要がありますが、クリニック規模で手に負えるものではなく、総合病院の真価が問われるところです。
(続く)