藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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2018年11月02日

  

がん, 免疫

(前回からの続きです)

 

 

食品中に含まれるN―グリコリルノイラミン酸(G糖と略します)が免疫刺激物質と一緒に体内に入るとG糖を「目印」に攻撃する獲得免疫系の細胞が増強されてしまいます。

 

ところが、G糖とそっくりのA糖を誤認します。ヒト正常細胞として普通にA糖を細胞表面の最先端に突き出している正常組織の構成細胞まで攻撃を受けてしまいます。至るところにA糖で覆われた組織があり、まず神経細胞とくに神経線維、血管の内壁、心臓内膜、筋肉、肺や関節などの粘膜や滑膜などが猛攻を受けることになり、典型的な自己免疫疾患をはじめ、従来は免疫病とはあまり認識されていなかった動脈硬化や心筋梗塞の原因にもなる、とこうなるともう病気の原因と言ってしまっても概ね合っているレベルで様々な疾病に関係があるかも、ということになります。

 

 

A糖を認識するT細胞は「正常細胞殺し」として胸腺で排除されているはずですが、G糖を認識するT細胞は生き残っており、刺激を受けると大量増殖します。ところがT細胞のセンサーは概ね「似たような物質」を見誤り誤爆します。NK細胞の場合は、T細胞と異なり複数のセンサーを組み合わせ、攻撃しない方がいいという情報に反応するセンサーも組み合わせるため、正確に標的がん細胞を狙い撃つことができますが、これは最初からがん細胞を認識するように「生まれてくる」からです。スピーカーのボリュームを上げるとノイズも大きくなりますが、ノイズをカットするフィルターもついていると大音量でいい音質の音を聴くことができます。NK細胞のセンサーはこうした複合システムが何重にもなっています。T細胞はボリューム1個しかついていないので狙い撃つだけの精度がありません。

 

 

がん細胞にもG糖が発現されるということはこれを標的にT細胞の一種CTLが誘導される可能性はありますが、逆に自己免疫疾患も誘導するリスクがあると考えられます。

 

 

(続く)

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