2009.5.9.
平成2年 米国で初めてニワトリがH5N1型高病原性インフルエンザを
発症した経緯については、前回ブログに書いておりますので、
ご覧になってない方は、先にそちらをお読みください。
さて、人間を対象に、プレパンデミックワクチンの投与試験が実施され、
入院された方を含め、8人が重篤な副作用を示し、全体では3人に1人が体の
だるさを訴えました。 このワクチンを1000万人の人々に投与するという
案がありますが、大半の専門家は疑問視していると報じられています。
厚生労働省研究班の発言を注意深く聞いてください。
コツは、発言要旨をメモでもファイルでも取っておくのです。
それをいつか、まとめて時系列順に一気に読み通すのです。
すると、如何に一貫していないかが、明確に見えてきます。
そもそも、名前からして、「微妙」なのです。
厚生労働省研究班は、厚生労働省に答申をするだけの臨時組織であり、
厚生労働省そのものではありませんし、何の責任も取りません。
そして研究班の発言に対し、厚生労働省もまた、直接、責任を取る義務は
ありません。 研究班の人選を始め、ある程度の責任はありますが、
少なくとも研究班の発言=厚生労働省の公式見解ではないので、
本質的な責任は取らないのです。
プレパンデミックワクチンには、「感染防止効果」はありません。
ちゃんと注意深く読めば、そう明確に言ってます。
血中中和抗体が産生された、それを「効果」だと言ってるだけです。
血中中和抗体には、ウイルス感染を防止する効果がないことは
認めていますし、そんなことは、専門家であれば、
誰でも知っていることです。
争点は、ワクチンに重症化を防止する効果があるかどうか、
としていましたが、今年に入ってからは、重症化を防止する
効果がある、と言い切っている場面もあります。
何を根拠に重症化防止効果があると言い出したのかは
不明です。
ですが、実は、真の争点は、ワクチンの深刻な感染拡大作用に
ついて、大声で警鐘を鳴らしていた専門家が黙らされてしまい、
今、正面から、この問題について公的な議論をする人が
見当たらなくなってしまったことです。
プレパンデミックワクチンの大量接種。
もし本当にそんなことをしたら、日本から本物のパンデミックフルーが
発生、最悪、数億人とか、あるいは数十億人の人々が
命を落とすかもしれません。
H5N1型の不活化ワクチンを多くの人に接種する、
ということは、それだけ、大量のH5N1型ウイルス遺伝子を
多くの人々の体に注射するということです。
(ワクチン工場とは、実はウイルス工場でもあるのです。)
現状、H5N1型については、世界各地のニワトリの間で多発し、
ヒトへの感染は、400例も発生した、というべきか、その程度にとどまっている、
というべきか、少なくとも、ヒト→ヒト感染は、ごく一部疑いがある、
とされる例外を除いて発生していません。
問題は、ニワトリでの流行が持続し、ヒトへの感染を
小規模ながらも繰り返すうちに、ヒト → ヒト 感染を
起こすタイプに変異する危険が考えられることです。
では、何故、ニワトリにワクチンを打たないのでしょうか?
日本では、
ニワトリにインフルエンザ不活化ワクチンを
打つことは禁止されています。
ニワトリでは禁止しているワクチンを
人間様に打つ!?!?
変ですよね。
豚インフルエンザで、フェーズ4から、5、そして6になるかもしれませんが、
豚インフルエンザなんて、でっちあげです。 普通に、豚から感染してくる
ごくごく通常のインフルエンザです。 死亡率も当初報道からは随分と
下がってきました。 人が亡くなっているといっても、普通の
インフルエンザでも亡くなる方は多いのであり、今回のものは、
通常型と何ら変わりません。 メキシコでの死亡率が随分高い
という初期報道に問題があっただけで、調査が進むにつれて
死亡率推定は下がってきています。
むしろもっと深刻なのは、H5やH7といった、
元々、毒性が強烈なタイプのウイルスがいつ
ヒト → ヒト 感染を本格的に起こすか、です。
その最悪のウイルスは、今、世界各地のニワトリに感染を繰り返しているのです。
ワクチンが有効なら、何故、人間様に打つ前に、
既に流行を繰り返している
ニワトリに打たないのでしょうか。
そんなことをしたら、ワクチンを打たれたニワトリから
ウイルスが飛び出してくることは、周知の事実だからです。
実際、2005年8月 H5N2型弱毒化ウイルスを
不活化ワクチンとしたものが不正輸入され、
養鶏業者が飼っているニワトリ15万羽に接種されてしまいました。
やはり、インフルエンザが発生したのですが、ワクチンに使用された
ウイルスの遺伝子とニワトリから飛び出したウイルスの
遺伝子はほぼ一致し、ワクチンに含まれる遺伝子が、
ニワトリ体内でウイルス粒子化されたことが証明されてしまいました。
これが、日本で最初に発生したH5N2型とされています。
H5N2型というのは、わざわざワクチン用に合成したウイルスです。
H5N1型でワクチンをつくってしまうと、検査が面倒になるという
議論があるのです。
ニワトリからH5N1型ウイルスの抗体が検出されても、
それは本物のウイルスに感染したのか
、それとも
ワクチンを打ったために抗体ができているのか、
わからなくなってしまう、というものです。
そこで少し型を変えて作ったものをワクチン用に量産します。
「作った」、というのは、ウイルスは生き物ではなく、
単なる物質に過ぎません。
化学合成できるものなのです。
実際には、既存のウイルス遺伝子を
組み替えて「半合成」するのですが。
幸い、日本で不正使用されたH5N2型ワクチンは、
毒性を弱めてあったものだったので、
死亡率は数%程度で済みました。
更に、よせばいいのに、H5N2型では、
H5遺伝子はおんなじだからややこしい、と、
H7N3型ワクチンも作ってしまいました。
今、世界で多くのニワトリの命を奪っているのは、
圧倒的にH5N1型ですが、H5N2型や、
H7N3型も発生しています。
H9型も発生してきました。
いずれも、ワクチンを打つから、そんなことになってしまうのです。
こうなると、H5N2型やH7N3型のワクチンを打ったとしても、
自然に、H5N2型やH7N3型に感染したのと区別がつかなくなる、
どうしようか、という議論が行われています。
そうじゃないですよね、ワクチン打ったら駄目だというのが、
シンプルな結論ですよね。
少なくとも、ウイルス遺伝子を含むワクチンは駄目、ということですが。
非常に明確なのは、ニワトリへのワクチン接種は、
いくつもの国で大規模に実施され、
感染防止効果がないことが証明済みということです。
そして、感染拡大を阻止できなかった国は、
いずれも、ワクチンが大量接種された国と一致しています。
ワクチンを禁止してきた国では、たまに、渡り鳥から
感染が始まることがあっても、それ以上のインフルエンザ
感染拡大を防いでいます。
これには、後付の説明がついております。
ワクチンを打たなかった地域は、発見次第、
ニワトリを焼却処分にしたのに対し、
ワクチンを打った地域は、発症していないニワトリも
抗体を持つため、発症しているのかワクチンのせいなのか
分からず、一気に焼却処分ができなかったからなんだ、、、 と。
こんなおかしな理屈はありませんよね。
発症すれば、バタバタと死んでいくんですから。
抗体検査なんかやらなくても発症したら分かるのです。
そもそも発症したら100%死亡するのですから
抗体をもっている、ということは、ワクチンを打ったから
抗体をもっている、ということです。
ワクチンを打っても、ウイルスが飛び出してく
る確率は
非常に低いのです。ワクチンを打ったけど、無事、
感染は発生しなかった、という例はいくらでもあります。
(問題は、たまに発生しただけでも、あっという間に
広い地域に感染が広がってしまいます)
こういう場合、体内に抗体をもつニワトリが存在する
ことになります。
本当に感染したら、抗体なんかつくる前に死んでしまいます。
実際に、ワクチンを打って、抗体をもっているニワトリが
その時は、たまたまウイルスの飛び出しがなく助かっても
後に、別の感染源から染されて、次々とインフルエンザ
で死んでいったのですが、ワクチンを打っていない
ニワトリがインフルエンザで死んでも抗体はつくられません。
ニワトリ用ワクチンには、重症化を防ぐ効果しかない、と言う
専門家もいらっしゃいますが、もちろん日本の不正使用の
ケースのように、十分弱毒化したウイルスでつくったワクチンを
打った場合、ワクチン接種直後に発生するウイルスは、毒性が
弱く、致死率は低いのです。 この場合は、たとえ感染した
としても、生き残ったニワトリの体内に抗体がつくられています。
すると見かけ上、ワクチンを打った、感染してしまった、
でも、致死率は下がったねえ、重症化を抑える効果は
あるんだね、という意見を言ってしまうのです。
すぐに、H5N1型ワクチンを禁止すればいいのです。
発症すれば、即座に焼却処分すべきです。
養鶏業者が経済的損失を嫌ってワクチンに手をだし、
また、ウイルスが発見されても焼却処分を恐れて通報を
遅らせるのが感染拡大を防げない背景となっています。
ところが結果的に感染拡大が経済的損失を大きくしています。
一応、ペプチドワクチンの臨床が、やっとこ来年から始まる予定です。
このワクチン、H5型のコアな構造、ウイルス遺伝子が少々変化しても
この部分は、変わらない(変わったら感染力がなくなる)、
その構造を元に、しかも細胞がスッと取り込むように、
シグナルペプチドというのですが、このペプチドは食べるんじゃなくて、
そのまんま、スッと細胞内に取り込むのですよ、
というメッセージをもったペプチドで前後を
挟んであるものを、感染が成立する気道粘膜に噴霧するというものです。
ネズミでは、実際に感染防止効果があることが証明されています。
だからといってヒトで有効かは分かりません。
「やってみないと分からない」のではありません。
「やりようがない」のです。
何故かというと、ワクチン接種した人に、ウイルスをかけてみないと
ほんとに感染防止するかどうか、しかも、ワクチン接種していない人にも
同時にウイルスをかけてみて、両者を比較しないと分からないからです。
英国では、ほんとに人間にウイルスをかけてしまう実験が
認められいますが、普通の国では、そんなことはできません。
ワクチンの感染防止効果、って、実は、
小規模な実験では調べることができないのです。
まあ、そうであっても、ペプチドワクチンなら、最悪、効果がなくても
害はないでしょう、恐らく。
日頃、ペプチドワクチンは意味がない、と申し上げているのは、がん治療に
用いる場合の話です。 またウイルスについては、皮下注射する場合の話です。
がんと違って、明確にヒトと異なる免疫シグナルをもつウイルスであれば、
特定ペプチド抗原でも、直接、感染部位の粘膜に塗布すれば、
免疫を誘導することが可能な実例があります。
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