2009.3.6.
シオノギが、オンコセラピーサイエンスのがんワクチンのライセンス導入を決め、
全てのマイルストーンをクリアした時点で、総額200億円の支払いとなる
契約を締結したこと(医薬品の契約としては、通常の金額です)、
テラ社が、東証ネオに上場を承認されたこと、
イミュノフロンティア社が、蛋白質を用いたがんワクチンの治験計画を
発表したこと、等、がんワクチンを巡る報道が相次ぎ、
また、樹状細胞療法=がんワクチン療法という言い方もするので、
樹状療法とがんワクチンが混然一体となって、ブームの様相を
呈しています。
ということで、時々、樹状細胞について質問されるのですが、
樹状細胞療法のロジックは、抜けまくっているので、いちいち、
どこが問題か指摘すると、こちらもくたびれてしまいます。
簡単な言い方はないのか、と、考えました。
ウィルスに感染してから、ワクチンをうつ人はいない
何故、がんが増殖してから、がんワクチンをうつのか?
ウィルスが体内で増殖したら、ウィルス抗原情報は、
山のようにあるわけです。
そこへワクチンをうって、ウィルス抗原情報を体に
伝える意味はありません。
これ、誰でも分かりますよね。
じゃあ、がんの場合は?
がん細胞が増殖しているんですから、
がんの情報を体に教える意味は、
やっぱりないのです。
がん細胞は沢山いるんですから。
沢山いるから、困っているんですから。
がん細胞情報は、ゴロゴロ転がってるのです。
問題は、がん細胞を攻撃すべき免疫力が、
がんの勢いに押されている、ことにあります。
がん細胞が沢山いても攻撃しない免疫システムに、
がん細胞の情報を教えて、何になるのでしょうか。
がん患者さんの体内では、NK細胞も、
がん細胞を攻撃するパワーが落ちている状態、
活性が下がった状態にあります。
ANK療法は、活性を高めたNK細胞が直接がんを攻撃する
第一段と、体内の免疫システムを活性化する第二段と、
二段階の作用をもっています。 第二段の作用で、
免疫を強く刺激するからこそ、熱が出るのです。
樹状細胞も、がんワクチンも、「他の物を混ぜない限り」
熱は出ません。 免疫刺激が弱い、ということです。
がん細胞が強い免疫抑制をかけ、つまり、免疫が眠らされている
状態では、強力な免疫刺激により、まず免疫系を叩き起こす必要があります。
やる気をなくして、眠りこけている犬に、獲物を追いかけろと、骨の匂いを
嗅がせても、ボーっとしたまんまです。 まず、叩き起こしてからでないと、
獲物を追いかけたり、噛み付いたりはしないでしょう。
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