藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2015年10月26日

  

えとせとら

2015.10.26.
 
 
フォルクスワーゲン事件の続きです。
 
 
 
SOXは、燃料中から硫黄を除去すれば
済む話ながら、NOXと、オイル微粒子は
燃料や空気に由来するので
原理的に除去できない、
前回は、そこまで、でした。
 
では、どうやって、処理するのが
一般的なのでしょうか。
 
自動車エンジンは、原理的に
不完全燃焼させるものであるため、
どうしても、燃え残り燃料が発生します。
これを、酸素と反応させれば、
水や炭酸ガスに変化します。
また、NOXや、一酸化炭素は、
環境次第で、更に酸素と結合する
こともあれば、逆に、酸素を放出する
こともあります。
 
一酸化炭素は、
6Cタイプの都市ガスの
成分の一つです。
くすぶって燃える石炭に水をかけてつくります。
6Cタイプは、一酸化炭素、水素、メタン等が
混ざったものに、メチルメルカプタンという
物質で匂いをつけたものです(卵が腐ったような
硫黄系の付臭剤、メタン等、全て無臭で
漏れても分からないと危険なため、
わざと臭い匂いをつけます)。
一酸化炭素もれっきとした
燃料として作用します。
 
そこで、排気ガス中の一酸化炭素と、燃え残り燃料を
NOXと反応させます。
NOXは、酸素を放出して窒素になり、
一酸化炭素は、二酸化炭素に
燃え残り燃料は、水と二酸化炭素にしてしまえば
一挙、三得です。
 
エンジンのコンピュータ制御によって
常に、( NOX ) vs (一酸化炭素 + 燃え残り燃料 )
を、互いに、打ち消し合わせることができる
とされており、この反応をスムースに進めるため
白金触媒が使われています。
 
更に、反応面積を確保するため、白金は
ハニカムフィルターに「担持」しています。
 
排ガス処理用ハニカムフィルターというのは
円筒の内部が、薄い板で、縦横、十字に
細かく仕切られたものです。
ガスは、薄い板で、小さい四角い通路に
仕切られたフィルターを通過するうち
化学反応を起こします。
 
このハニカムフィルターは、
どこでも作れるものではなく
相当のノウハウが隠されています。
私はたまたま、素材メーカー、
フィルター成形メーカー、押し出し加工機のメーカー
金型メーカーのキーパーソンの方々に会っていますが
この世界がどうなっているのかは、
ブログに書くことはできません。 
誰が、どこまで作れるのか、どうやってつくるのか、
こうしたことも、重要なトレードシークレットだからです。
まあ、フィルターメーカーは公表されていますが。
 
そして、フィルターを
金属容器の中に納め(キャンニング)
自動車部品として製品化する企業も、
ごく限定されています。
ドイツのボッシュは有名ですが、
他は、あまり一般には知られていません。
 
さて、実際にエンジンを回し、
NOX と一酸化炭素、燃え残り燃料を
互いに消し合わせて、でてきた排気ガスを
分析するところを、見ましたが、
確かに、NOXは、相当程度、
抑えこめています。
 
うまくいってます、というデータがとれます。
 
 
 
では、NOXは、処理できるということなのでしょうか。
 
 
 
実際の車の運転では、ドライバーが、
アクセルを吹かし過ぎることもあれば
急に変化がかかることもあります。
それでも、どんな時でも、NOXの酸化力と
一酸化炭素や、燃え残り燃料の 燃料のパワーとが
常に、ちょうど、ぴったし拮抗するのでしょうか。
 
 
フォルクスワーゲン事件でも
アイドリング中は、問題なく
実際に町を走行してみると
数十倍のNOXが出ていた
ということから、バレたわけです。
 
 
排ガス分析データをみて、すぐに気付いたことがあります。
NOXは減少しているのですが、窒素化合物そのものの
合計は、むしろ増加しているのです。
こんなのは、見れば、一発でわかりますが
なぜ、これが問題にならないのでしょうか。
つまり、NOXが、N2(窒素)を通り越して
NH3 アンモニアに化けているのです。
それも、NOXとして存在する窒素原子量より
アンモニアとして存在する窒素原子量の方が
多くなっているのです。
 
これは、後工程で、水酸化カリウム等、アルカリ処理を
行うため、少々、NOXが残っていても
処理はされてしまうのですが、問題は、
NOXが還元されて、酸素を放出し、窒素に戻るのを
通り越して、もっと還元され、水素を取りこんで
アンモニアになってしまうのです。
しかも、NOXにはなっていなかった
空気中の窒素ガスまで、一部、アンモニアに
なってしまうようです。
 
これは、問題なのかというと
とりあえず、合法的です。
 
ところが、大気中で酸化された
アンモニアは、結局、NOXに戻ってしまいます。
そして、雨に混じって、地下水や河川水など
に溶け込んでしまいます。
 
 
結果的に、大気中のNOX濃度が上昇するわけでもなく
アンモニア臭い大気になるわけでもなく
一見、排ガス環境問題がクリアされたように
見えるのですが。。。。
 
ひたすら、水質が悪化していくのです。
 
水に溶け込んだNOXは、硝酸性窒素という
極めて有害な成分となります。
 
 
 
(つづく)

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