このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。
TOP > MRJは、なぜ飛ばないのか
2015.10.23.
MRJ(三菱リージョナルジェット)の初飛行が
延期となりました。これで5回目の延期ですが、なぜ
これほど、頻繁に延期を繰り返すのでしょうか。
この飛行機、設計上、非常に無理のあることを
やっています。
飛べないわけではありませんが
迂闊に飛ぶわけにはいかない事情を
抱えている可能性があります。
機体材料としてFRP使用率を高めることで
軽量化し、燃費が向上している
これを売り文句に100機以上、受注済
とされています。
一方、航空機は、
高速で飛べば飛ぶほど
FRP使用率を高めれば高めるほど
落雷リスクが劇的に上昇
という技術的な矛盾を抱えています。
なぜ、近年、大規模な航空作戦は
中東のような砂漠地帯で
主に夜、行われるのでしょうか。
飛行機の性能は、果たして、向上しているでしょうか。
落雷問題というのは、航空機の高速化に
分厚い壁としてたちはだかっています。
もっとも、飛行機には、
雷が落ちるという
当たり前の事実が、
どこまで認識されているのでしょうか。
小松基地の自衛隊機
ロッキードF104スターファイター
ジェット戦闘機が、操縦席付近に落雷し
パイロットが殉職された事件は有名です。
バラバラに散った破片が回収され
まるで戦車砲でも貫通したかのような
大きな孔があいている様子が
公表されています。
もっと最近では、目的地のリオデジャネイロを目前に
墜落事故を起こしたエアバスの事件があります。
当初、落雷と報道され、すぐに鎮静化し
やがて、操縦ミスという話がもちあがり
公式には落雷が原因ということにはなっていません。
これはよくあることですが、事故直後は
「トンデモ」に衝撃的なことが普通に報道され、
直後に、何も発表されなくなり
やがて、ほんとそれ・・・?
という公式発表が
為されます。
さて、このエアバスと概ね同世代のライバルと
目されるB787は、販売用の初号機が
ANAに納入されました。
延々と納期が延びたことを
覚えてらっしゃるでしょうか。
期待の新鋭機として
納入実現の折には
大々的に報道されていました。
この機体、積乱雲を検出するレーダーを
機首に装備していますが、尾翼界隈には
やたらと金属棒を突き出しています。
落雷は、尾翼におちやすく、次は機首ですが
発想としては、落雷のエネルギーが機体そのものでなく
棒に集まってもらって、できれば、地面へ誘導する
という目的で、何本も、棒を並べています。
地面に向ってくれる落雷はまだいいのですが
一番、こわいのは、空中で完結するタイプ。
積乱雲から飛んできて、数十万分の1秒後には
もう、元の雲に戻ってしまうやつです。
その一瞬耐えればいい、ということですが
その一瞬に、機体の一部が、飛び散ります。
雷の砲弾を食らうのではなく、機体の材料が
ガス化を通り越して、プラズマ化し
高速で飛び散るのです。
結果的に、戦車が装甲に砲弾をくらったような
円錐型の破孔ができます。
(といっても、あんまりそういう映像みたこと
ないかもしれませんが、、、)
結局、燃料にさえ、引火しなければ
大事には至らない、という話になっているようです。
なので、燃料タンクでもある主翼には
巨大な窒素ガスボンベが搭載されています。
これは、物凄く大きいです。
人間の身長の何倍かありましたねえ、、、
高圧ボンベですから、相当、重いはずですが。
いざとなると、窒素ガスを放出し
酸素を追い出せば、引火を防ぐか
最悪、引火しても、消火するなり、
あるいは、爆発を防ぐことなどができる、
と考えられています。
当然、重くなるわけですから、何のために
FRPを多用して、燃費を向上させたのか
わからなくなります。
誤解のないように申し上げますが
飛べば、必ず、ボコボコ落雷する
のではありません。
たまにやられるだけでも
旅客機の場合は、大事件になりますから
慎重の上にも慎重を重ねる
という話です。
実際、そう滅多に落雷事故は起こっていません。
一番の回避方法は、
「ゆっくり飛ぶ」
ということです。
高速になるほど
空気との摩擦で帯電します。
これが落雷の原因の半分。
あとは、電荷が溜まっている
積乱雲の近くなどを飛ばない
ということです。
ゆっくり飛ぶなら
積乱雲の中をつっきっても
まず問題は起こりません。
揺れますけど。
旅客機が、着陸態勢に入って
スピードを落としている状態なら
問題は起こりません。
低空を超音速で飛んだら
とんでもないハイリスクとなります。
なので、軍用機も実際には
超音速では飛ばないのです。
カタログには、マッハ2.5とか
書いてありますし、実際に出ることは
出るのですが、それは、落雷の危険の低い
高高度で出すものですし、燃費の問題もあり
ごく短時間しか出せません。
現実に、マッハ1以上で、低空を巡航できる
軍用機は、ごく僅かです。
また、好き放題には飛んでいません。
落雷の危険が低い天候を選べばいいので
飛行コースをよく検討し
通常、夜間に超低空を飛行します。
積乱雲は、空間を埋め尽くすことはないので
慎重に、避けて飛ぶことは可能です。
積乱雲以上に、かなりの確率で雷が落ちてくるのが
寒冷前線です。
寒冷前線の雲は、横一線でくるので逃げようが
ありませんが、逆に、偶然、空港上空に寒冷前線が
のさばっている、という時間は短いものです。
すぐに去っていきます。
なので、離着陸時以外であれば
上空を通過するなり
何とか避けることができます。
うまく運用すれば、現行技術で対応できないことは
ないのですが、飛行機なのに、あんまり速く飛んではだめ
という足枷がかかっているのです。
実際、この数十年、旅客機のスピードは
早くなっていません。
ずっとおんなじです。
コンコルドが一時、注目されましたが
実際には、問題だらけで、普及せず
その後、超音速旅客機は登場していません。
戦略爆撃機B52が実戦配備されたのが1955年。
私が生まれた時は、5歳のお兄さんだったわけですが
まだまだ現役です。
現在、後継機の開発は行われていません。
(と書いたら、次期戦略爆撃機の開発契約が
締結されました。 )
今から後継機開発を始めても、実戦配備までは
20~30年はかかります。
(これは、実際にやってみないとわかりません。
これから開発ですから、新規性が高い場合は
延々とかかる可能性があります。
もっとも、製造予算が、100機分で6兆円程度
ですから、この予算で仕上げるということは
既存技術の組み合わせによる、ローエンド機の
開発、B2ステルス爆撃機の廉価版、という
イメージでしょう。 となると、10年くらいで
実戦配備が始まり、10~20年かけて
調達を続け、B52が現役予定の期間に
配備を完了、というイメージでしょうか。)
実際、今世紀半ばまでは、B52は現役という計画に
なっており、何と、100年の長きにわたり、
世界の警察を標榜する(強盗だとおもいますが)
米軍の「空の要塞」の役割を担い続けることになります。
後継機として量産されたB58ハスラーは、
高速性が売り物でした。
ところが、早々に全機、退役します。
その後、超高高度なら高速で飛んでもいいと
XB70バルキリー計画が企画されます。
函館に強行着陸した旧ソ連のMig25は、
このバルキリーを迎撃するために高高度要撃機として
開発されたものです。
ところが、バルキリーの方は実戦配備に至らず
Mig25も空振りに終わり、少数の生産で終了しました。
その後、12mの超々低空をマッハで
侵攻するB-1が実戦配備され
さらに、三角形のUFOみたいな形をした
B-2も実戦配備されましたが、
いずれも国際保護鳥と言われたコンコルドより
生産数が少なく、これは実験機じゃないの?
という程度の数しかいません。
一応、ステルス機ばかりを集めた
小規模な特殊部隊を編制しており
イラク侵攻の直前には、核装備の上
アラビア半島の基地に展開したこともあります。
で、結局、ず~~~っとB52が基本。
電子戦が重要なのであって
飛行機の基本性能はどうでもええのである
という見方もあり
人口数十万人規模の都市一つを
まかなえる発電力を誇るB52は
ちっちゃい飛行機と電子線の殴り合いを
やった場合、電力のパワーが桁違いです。
あらゆる周波数帯を最強強度で妨害する
ことができます。
戦略爆撃機というのは
常時、飛んでないと役に立ちません。
うちの国に、核攻撃なんかやったら
たちどころに、怒涛のお返しがいくぞ、と
常に、核弾頭を装備した巡航ミサイル搭載機を
上空で待機させる必要があります。
今日は、雲が多くて、雷がくるとまずいから
きっと、敵の核攻撃はないだろうし、
お休みにしよう、というわけにはいきません。
どんな天候でも関係なく飛び続けられる
というと、どうせ、低速機で、むしろ
積載量と航続力の方が重要なのですから
B52を超える性能を想定すること自体が
難しいのです。
MRJは、どうするのでしょうか。
FRPをやめて、ジュラルミンに戻せば
機体重量が増加し、燃費が悪くなります。
これでは、セールスポイントが消えてしまい
注文をキャンセルされるかもしれません。
落雷に耐えられる素材はあります。
それを採用すればいいのですが
航空業界に限らず
新素材の採用には大変、慎重であり
すぐ、ポンと使います、とはいきません。
また、原価は高くなります。