このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。
TOP > 樹木希林さんに関する報道
2013.3.12.
樹木希林さんの、乳がんと向き合う生き方について
多くの方が、ご関心をもたれていらっしゃいます。
今回は、樹木希林さんご自身のことではなく
報道する側の発言について、気になること、です。
あるTVのキャスターが、樹木希林さんの「治らない」発言を受け
「がんは治る病気です」と慌てて強調する場面がありました。
私自身は、自分が、多臓器不全をはじめ、人工心肺のお世話になったり、
何度も生死の境をさまよった、あるいは、ほとんど向こう側へ行ってしまったのに
まだ、生きています。 いつ死ぬかはわかりませんが、
いずれ必ず死が訪れることは、極端な経験をされたことがない方よりは
忘れにくいはずです。
がんと宣告されなくても、必ず、死は訪れるのですが、がんと宣告されると
人は様々な反応をされ、自分の体験でも、身内や親しい人が宣告された時でも
もちろん、衝撃があります。 やはり、「がん」という言葉に「死の匂い」を
感じるからでしょう。 忘れていたことを思い出すのでしょう。
ANK療法があるから大丈夫、かというと、まず、受けるかどうか、それは
本人が決めることですので、お金の問題以前に、そもそも、この治療法を
知る機会があり、かつ、受けると決めるかどうか、そこまでたどり着くまでで、
相当なハードルがあるわけです。 受けるにしても、どんな状態でも必ず治る
魔法ではありません。 特に、ほかの治療法をやりつくしてからこられると
もう、体が持たない可能性が高くなります。
人は死をこわがり、死に直面していることを、嫌がおうでも思い出さされると
お先が真っ暗な感覚にとらわれるのでしょう。 この現実を踏まえて、
「あなたは、余命、何か月です!」などと言い切る、とか
(正確な余命など、だれにもわかりません)
「がんというのは治らないものです!」と断言してしまうのは
あまりに酷です。
かといって、「がんは治る病気です」これは嘘ですね。
じゃあ、どうして、年間35万人も、がんで亡くなり、
死亡原因の3分の1を占めているのでしょうか。
日本で、ふつうに治療すると、治らない人が多い、
というのが現実です。
欧米では、死亡率がぐんと下がりますが、
それでも、亡くなる人はいらっしゃいます。
人がどう感じるかは、重要です。
事実を冷淡にいうことが正しいわけではありません。
ただし、TVで嘘を言うのはまずいでしょう。
少なくとも、がんと向かい合い、ある治療を選択して、治る道を探す人に
対して、事実ではないことを伝えるのは、不誠実です。
私自身が、通常なら死んでいたはずが、ちゃんと生きていますので
医学的常識を信じて、おとなしく死んでほしくはないのです。
ましてや、余命が何か月です、と勝手に「予想」されて、ああそうですか、
と、言われた通りに、何か月で死ぬことはないでしょう。
生きる道を探してほしい
でも、せっかく、死を思い出したなら
最後の時まで、どう輝いて生きるか
それを考えてほしい
さらには、今、当面、生死をさまよう疾病などない人も
生きている間、如何に美しくあるかを考えて生きてほしい
それが本音です。
その上で、事実を伝えるなら、
活発に飛び散るがん、再発や転移を繰り返すがんの
場合は、通常の治療では、やはり、相当、厳しいのです。
それでも生きている人はいますので、絶対、ということは
ありません。
ただ、飛び散るがんに対して、手術や放射線療法、
重粒子や陽子線をはじめ、如何なる放射線療法であっても
局所療法である限り、
飛び散るがんを壊滅させるのは、相当、無理があります。
ホルモン療法も、いつまでも効くものではありません。
こうした基本的な事実は、そのまま報道すべきでしょう。
「切ったら治る」可能性が高いのは、限局性のがんです。
重粒子線や陽子線、そのほかの放射線であっても、
限局性ではない、方々に飛び散るがんの場合、
局所療法や、耐性を生じる薬物療法では
制圧しきれないことは、当然の道理です。