このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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TOP > 尖閣諸島領有権
2012.9.29.
尖閣諸島や竹島問題が大きく取沙汰されていますが、
日本や韓国、中国など、どの国の主張が正当なのでしょうか。
正当な主張は一つもありません。
領土に正当など初めからありません。
とはいえ、中国や韓国は明確な
「分捕りにいくぞ」という意図があり
日本は、ボーっと、え?うちの領土でしょ?
というお人よしな弱点がモロ見えている、
そういう姿勢の違いはあります。
互いに正当性を主張し合う外交交渉や
その外交交渉の延長形の表現型である「戦争」が
行われることは何度も繰り返されてきましたが
どっちが勝つか、であって、正当かどうかなど
初めから根拠はありません。
かといって、じゃ、勝った方のもの!
これだけだと、戦争だらけになります。
ある秩序、コンセンサス、のようなものがないと
外交は成り立ちません。
国際法といっても、そういうものが実態として
存在できるわけではなく、強制力や行政力を伴う
立法が存在しない外交においては、
あたかも正当であるかの如き
ルールのようなものをつくりあげ、
折り合いをつけてきたのであって、
よく「国際法上」という言い方をしますが、
いわゆる国内法と同じようなものが
存在するわけではありません。
領有権について、ルールのようなものは昔からいくつもあります。
欧米による植民地拡張時代には、「見つけた」者の物! でした。
もちろん、見つけたとは、欧米列強諸国が見つけた、
という意味であって、有名な言い回しである
「コロンブスによる新大陸の発見」という発想です。
古代から、人が住む土地を、そこに住む人々の存在は無視し
「新大陸」として発見する、という意識です。
住んでる人からすれば、不幸にして、凶悪な侵略者である欧州人を
発見してしまい、その後、諸文明は崩壊し、環境は破壊され、
大半の民族が皆殺しにされます。
他人が住む土地を、どう分捕るか、分け前の配分を巡るルール
海賊同士の掟のようなものが、領有権を巡る「国際法」
になっていったわけです。
領土に続き、領海という概念もつくられました。
昔はシンプルに、領海は領土から3海里以内とされました。
海岸の海抜ゼロメートルの砲台から、
直接照準可能な砲撃距離です。
大砲はもっと遠くまで届くのですが、
それ以上だと、水平線のかなたで照準できなかったのです。
やがて、領海は、12海里になりますが、
これは、代表的な戦闘艦の主砲の砲撃距離です。
この距離になると、実際には、「当たらない」のですが、
一応、砲弾は届き、水平線の彼方であっても、
間接照準射撃は可能です。
誰か、他のひと、駆逐艦でも、戦闘艦に搭載する水上機であっても
(観測機といいますが)
目標の近くから、もっと右です! とか、
視認距離より遠い敵を砲撃する戦闘艦に
照準情報を伝える、というやり方です。
戦闘艦というのは、かつては、戦列艦
(Ship of the Line) と呼ばれていましたが、
やがて戦闘艦(Battleship) となり
日本では、これを略して、戦艦と呼ぶようになります。
戦艦は国際法上、「領土」とみなされました。
航空母艦も巡洋艦も領土に加わります。
駆逐艦や潜水艦は領土ではないとされました。
なので、日本海軍でも、「軍艦」の艦長は
そのまま艦長と呼びますが、
駆逐艦や潜水艦の長は、駆逐艦長や
潜水艦長と呼びます。
国家の主権を代表していないから区別するのです。
ちなみに、たとえ、小さなボート(カッター)でも
その国の国旗を掲げて、制服を着用した「艦長」が乗っていれば
「領土」です。 軍艦(戦艦、巡洋艦、航空母艦)が
他国の港に入港しても、あくまで軍艦は自国領土ですが
艦長が、上陸する際、カッターで乗艦を離れると
相手国領土内にいる、ということになってしまうので
自国権益主張のため、領土の概念を拡張したのです。
第二次大戦後、駆逐艦と巡洋艦の区別はあいまいになり、
航空巡洋艦は巡洋艦だから黒海とギリシアの間の海峡を
通ってよい、とする旧ソ連と、いや、あれは空母だから
国際法上、ボスポラス・ダーダネルス海峡を通過しては
いけないのである、とする欧米諸国の主張など、
まあ、それはそれは、マニアックな「ルール」や
解釈論が外交を賑わせます。
こういうのは、勝手に言い合ってるだけなのであって
国際法とは、なんぞや、と突き詰めれば、実は、
守らなければいけない根拠はあいまいなのですが、
こういうやりとりを列強は延々と続けるのです。
その後、巡航ミサイルというのもでてくるのですが、
その前に航空機が実用化され
艦船攻撃に使用される単座か複座、
あるいは3人乗りくらいの小型機の戦闘行動半径が
大体、200海里くらい、
後々、第二次大戦の日本の艦載機はもっと長くなりますが
英米の艦載機は、大体、これくらいの距離。
200海里という距離感は、その後
経済水域という形で、領有権的な概念となっていきます。
領空については、すったもんだがありました。
人工衛星はどうするのか?
恒常的に領空侵犯をしているぞ、と。
また、ソ連本土上空を自由に飛んでいた戦略偵察機U2が
撃墜された事件も波紋を呼びました。
様々な解釈論が戦われ続けたあと、
「迎撃能力の有無」が領空の定義となっていきます。
実際には、U2は対空攻撃を受けて撃墜されたのではなく
トルコの基地を発進する前に地上で爆弾を仕掛けられたのですが、
ソ連は、「撃墜したんだ!」と主張、
米軍はそんな事実はないと突っぱね続けたあと、
実は、お宅のパイロット、捕まえたんだけど、と、
捕虜になったU2搭乗員の映像をソ連が公開、
米軍はメンツ丸つぶれとなります。
さて、U2顛末はともかく、「迎撃能力を有するか否か」
つまり、超音速ジェット偵察機SR71が
高度3万メートルをマッハ3で北朝鮮の上空から偵察行動を行っても、
北朝鮮は迎撃能力がないので領空侵犯には当たらない、
という思い切り、「強い者」の論理というか、屁理屈をごり押しします。
ところが、偵察衛星さえ撃墜されたり、機能不全にされる事件が発生します。
ソ連が、レーザー砲と、荷電粒子線砲、つまり重粒子線砲の射撃によって、
米軍の偵察衛星一基ずつを機能不全としたのです。
結局、偵察衛星は「正しい」ということになります。
これが正しくないと、戦略兵器制限交渉をやったところで、
お互いに守っているのかどうかわからん、
というわけです。
あくまでも、「持てる者」同士の屁理屈が、
ゴリゴリゴリゴリと押されていくわけです。
こうして、偵察衛星はどこの国の領土であろうが、
お構いなしに、「正当に」その上空を通過できるように
したわけです。
まあ、目くじら立てずに、と、
ロッキードがつくった大昔のポンコツ衛星を使って
その偵察能力を更にスペックダウンし、
グーグルアースなるサービスも始まりました。
さて、勝手な屁理屈だ、とだだをこねたところで、
この屁理屈を無視していると
自分たちが住んでいる土地を
「正当に」奪われてしまいます。
かつて小笠原諸島が、正当に米国領とされるところを、
強引に作り話と実力行使によって
日本領にしてしまった人々がいました。(続く)