このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。
TOP > がんに対する保険適用は不可能
2012.6.27.
最近では、
「なぜ、リンパ球バンクはANK療法を
健康保険適用としないのか?」
という質問を受けることはなくなりました。
以前は、決まってこの質問を受けていました。
医師法適用となる医療行為に関し、
株式会社が「製造承認」の申請を行うことは
法的に認められず、従って、「政府の承認」も、
「健康保険適用」も認められないのです。
「しない」のではなく、法的に、「できない」のです。
では、薬事法適用なら、製造承認を申請の上、健康保険適用が
認められるのか、というと、やはり、実態としては
ほぼ無理なのです。
様々な問題が山積みなのですが、
まだまだ、一般の方が、よくご存じない事実として
「適用範囲が非常に狭くされる」という問題があります。
適用範囲を狭く制限されるため、
たとえ、健康保険適用になったとしても、
ほとんどの患者さんにとって
「適用外」となるのです。
ちなみに、先進医療制度などは、さらにさらに
狭く適用範囲が狭められるため
ごく一部の患者さんだけが
適用となり、大半の患者さんにとって、
「使えない」ものとなります。
今日の承認審査制度では、「がんに対する適用」はとれないのです。
転移性乳がんの患者さん、ステージが○○で、手術後、
抗がん剤と併用で、、、
いくつも条件がそろっている患者さんだけを集め、
二つのグループに分けます。
そして、従来の標準治療だけを受けられた患者さんと、
従来の標準治療に新薬を加えた患者さんとを比較して、
両方のグループの患者さんが、
いつ亡くなられたかをデータとして集めます。
結局、治験に参加された患者さんは、全員、
お亡くなりになられるのですが
1~2ケ月の延命効果を証明すると、
有効性を示したことになります。
実際には、治験に参加した患者さん、
100名の内、97名には、何の効果もなく
3名は、すぐに亡くなるはずが、しばらく、
生き延びられた、この3名の劇的な延命効果が
全体の統計値を押し上げ、有効という判定になる、
というのが、「よくあるパターン」です。
さて、問題は、ここからです。
こうして、承認された新薬は、「転移性乳がん」において、
「○○という状態」で
「既存の抗がん剤との併用」を条件に、
保険適用になるわけです。
では、それ以外の乳がんは?
単独投与はできないの?
胃がんは?
食道がんは?
肺がんは?
大腸がんは?
腹膜疑粘膜腫は?
多発性骨髄腫は?
滑膜肉腫は?
成人T細胞白血病は?
成人T細胞白血病のくすぶり型は?
成人T細胞白血病のリンパ腫型は?
悪性リンパ腫濾胞性B型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
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悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
悪性リンパ腫、、、、、 型は?
これらは、一つずつ治験をやらなければいけません。
全部で、何百どころか、何千というタイプがあり
さらに、ステージや治療法の組み合わせなどを
考えると、もっと多くの組み合わせが存在します。
しかも、成人T細胞白血病のくすぶり型といっても、
実際の治験の際には、より詳細な「クライテリア」ま、
患者さんの詳細条件、治療のプロトコールの詳細、、、、
などなど、たくさん、条件がつくのです。
かくして、「がん」すべてに、健康保険適用となるには、
今世紀いっぱいかけた位では、全然、時間が足りない
ということになります。 人類史のブログと同じ位の
時間のスケールが必要となるでしょう。
仮に、何とか、健康保険適用となっても、その条件で
治療を受けられる患者さんは、がん患者さん全体のほんの
一部に過ぎないのです。
ANK関連でいうと、よくあるのが、抗体医薬品ハーセプチンは
「乳がんの薬」だという勘違いです。
保険適用となるのは、乳がんと、胃がんの、しかもある条件を
満たした場合に限られます。
ところが、上皮性の悪性新生物、つまり、いわゆる「がん」全体の
およそ95%は、上皮成長因子のレセプターを発現しており、
さらにそのうち何割かが、上皮成長因子のレセプターを過剰発現しており、
これらのレセプターを標的とする分子標的薬の使用を考慮すべき
患者さん、と考えるべきです。
固形がんであれば、どの部位にできたがんであれ、概ね、その何割かが
ハーセプチンの標的物質であるHER2抗原を過剰発現しており、
当然、ハーセプチンの使用を考慮すべきがん、と考えられます。
ところが、保険適用になるのは、わずかの部位にできたがんだけと
なってしまいます。
薬事法適用となる医薬品でさえ、こういう扱いを受けてしまうのです。
ましてや、医薬品ではない免疫細胞療法を保険適用となると、
どうすれば、すべてのがん患者さんが、健康保険を使って
治療を受けられるのか、現行の制度の中では、全く見通しが
立たないのです。
制度を根本的に変えてしまうしかありません。