このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。
TOP > 太陽光発電による環境破壊
2011.6.3.
先日のサミットにおける管首相の
太陽光発電推進演説前後から
主要メディアや、産業界の重鎮が
突然、太陽光発電を大々的に
事業展開するという発表をしています。
売上の数%を太陽光発電事業に投じる
としたソフトバンクに対し、携帯電話は
がんの原因になる、携帯電話は原発より
危険なのである、よって、ソフトバンクは
携帯電話の販売を止めるべきだ、との
アンチキャンペーンが張られ、孫正義氏が
苦笑しながら反論しています。
携帯電話の危険性については、昔から
議論がありますが、ならば、ドコモも
ノキアも、どこも同じはずで、ソフトバンク
名指し批判ということは、原発攻撃で目立つ
発言を繰り返す孫正義氏に対する
思惑発言であること見え見えです。
太陽光発電は、原料シリコンの調達、
高純度シリコンの精製、シリコンインゴッドの成型
シリコンウェハーのスライスや、スライスに用いる
砥石ディスク、更には、太陽光発電パネルの製品組立
どこをとっても、日本企業が得意とするもの、
中には、世界市場を独占しているものもあります。
米国は先行して事業化を進めているシェールガスを
売り込んでいるのに対し、日の丸産業界は首相以下
太陽光発電ええじゃないか音頭を踊っています。
今、太陽光発電の悪口を言おうものなら、
お前は、原子力産業の回し者か! とそしりを
食うかもしれません。そのリスクを承知の上で
敢えて、太陽光発電もまた、実はとんでもない
環境破壊をもたらすことを書かせていただきます。
まず、現状のエネルギー大量消費を前提に
代替エネルギーを探すという発想自体、
抜本的な解決にはならず、同じ次元の上で、
どっちのエネルギーが、多少ましかどうか、
の比較に過ぎないことになります。
一般には、太陽光発電は、「エコだから」
「地球環境にやさしい」から、原子力の代わりに
推進すべきではないか、という意見に対し、
反論としては、コストが高い、というものと
日照条件次第で発電量が変動するあてにならない
電力では、電力としての質が悪化し、とても
主要エネルギー源とはならない、とするものです。
「エコだから」と言われるものは数多ありますが、
突き詰めていくと、どこがエコロジーに貢献するのか
分からない話が多いです。
エコノミーの略なのでは、と言いたくなるものもあります。
エコノミーももちろん大切ですし、エコノミーがうまく
いかないから、戦争を起こしたり、環境を破壊したりする
側面もあるわけですが。
地球環境にやさしい、という言葉も、
ある種の「勘違い」を感じます。
地球という星の環境は、過去、濃硫酸の嵐が吹き荒れ、
灼熱地獄であったこともあり、次々と彗星が衝突、
直系1000キロの火山口が大噴火したスーパーブルーム
地表、海面すべてが氷りついた全球凍結、、、、
とんでもない激変を繰り返してきています。
環境問題で困るのは、何より「人間」私たちの方なのです。
地球の方は全く困っていないのです。
人間以外の生命はというと、こちらは微妙ですが、
個々の生物種を個別にみれば、絶滅を繰り返したとはいえ、
環境がどう変わろうと、生命全体では、大進化を遂げ
生き残ってきました。
さて、太陽光発電は、「エコ」の代名詞のように
言われています。
ところで、太陽光発電装置は、どうやって作るのでしょう。
今の作り方のままだと、作れば作るほど、ブラジル、アマゾンの
森林や、中国東北部の森が消えていくことになります。
作り方を変えれば、改善はできますが、そうするとコストが
跳ね上がります。
原料の「ケイ素」自体は、どこにでもあります。
地球は、大半が、二酸化ケイ素の塊、重量でいえば
地球の重さの半分がケイ素、4分の1が酸素と言われています。
ケイ素原子の質量は、酸素元素の質量の2倍あります。
概ね、二酸化ケイ素という物質が地球の大半を占め、
重さの4分の3を占めている、ということになります。
例えば、石とか岩、砂などは、二酸化ケイ素が主成分です。
水晶は天然の高純度二酸化ケイ素結晶ですし、
光ファイバーに使われる石英も二酸化ケイ素です。
私たちや爬虫類の骨はリン酸カルシウムですが、
鳥や恐竜の骨は軽くて丈夫な二酸化ケイ素が主成分です。
ガラスもまた、二酸化ケイ素に、ナトリウムが混じったものが
主成分です。
ところが、精製するとなると、元々純度が高い原料を使わないと
とんでもないコストとなり、また、精製のために、膨大なエネルギーや
化学物質を使うことになるので、高純度二酸化ケイ素がそのまま
ころがっている鉱区を探す必要があります。
サハラ砂漠は、かつて、アフリカが海没と隆起を繰り返した名残で
塩分が多い地域が広がり、不純物としてはとてもやっかいな
ナトリウムを含む砂が大半です。
それでも、広大な二酸化ケイ素の粒々が広がる砂漠を探すと
高純度シリコンサンドの良好な鉱区が方々に見つかります。
問題は、精製するのに用いる他の資源が限られています。
エジプト政府は、アルコール発酵用にサトウキビを大量栽培し、
その発酵カスを、シリコンサンド精製用に使いましょうよ、と、
日本のシリコン産業にラブコールを送っています。
ブラジルのシリコンサンドは、純度も高く、陸地になってから
永らく海に沈んだこともなく、むしろ大量の雨水で洗い流されて
きましたから、シリコン精製の時に嫌われるナトリウムなどの
ミネラル分が少ない質の高いものとなっています。
また、アマゾンの熱帯雨林の植物を大量に燃やすことで、
精製できるため、長らく、シリコン供給の中心地でありました。
やがて中国東北部が台頭し、当分の間、
半導体産業向け高純度シリコン原料はブラジル産、中国産のものは
シリコーン樹脂原料というすみわけが続いていました。
最近では、原料ソースの多様化が進んでいます。
私も担当してみるまで知らなかったのですが、
半導体用の純品の金属ものは、「シリコン」、
酸素がかんでいる樹脂用は「シリコーン」
水ガラスをはじめ、ガラス産業にもっていくものは
シリコンの名前は使わず、また、光ファイバーや
材料となる石英、コンピュータや時計には必ず
入っている水晶なども、シリコンの名称は使わない
慣例になっています。
ケイ素に強く結合している酸素を引きはがすために、
ケイ素に代わる還元物質としてケイ素とよく似た構造をもつ
炭素が選ばれます。 炭素が酸素をひきつけ、二酸化炭素と
なることで、二酸化ケイ素が、純粋なシリコンに化けるわけです。
SiO2 + C → Si + CO2
この反応を起こすのに、まず熱が必要です。
シリコンサンドは燃えませんから、樹木を燃やすわけです。
すると、どんどん、樹木の炭素が酸化され、二酸化炭素に
化ける時に、熱を放出します。
太陽光発電パネルをつくるのに、実は、大量の二酸化炭素が
放出されるのですが、報道されているのを
見たことがありません。
炭素に十分な酸素を供給すると、1500度Cで燃焼し
炎をあげて燃えます。これでは、「酸化的雰囲気」というのですが、
どんどん酸化が進む状態であり
二酸化ケイ素から、酸素を奪う環境にはなりません。
密閉容器の中で、燃える樹木とシリコンサンドを蒸し焼き状態に
することで、燃えてはいるけど、酸欠気味という状況をつくります。
800度Cくらいが、程よい、温度加減です。
この温度は、ダイオキシンが生成されやすい温度ですので
塩素分の混入はご法度です。そういう意味でも
海水が混じるようなシリコンサンドでは、塩化ナトリウムの
ナトリウムも問題なら、塩素も問題なのです。
さて、微妙に、酸化反応も還元反応も、どちらも進み、
酸素と結合する強さの違いが強調される環境にすると、
二酸化ケイ素の酸素分が、炭素に引っ張られます。
こうして、二酸化ケイ素の分子一個をケイ素に化けさせるのに
遥かに大量の炭素分を燃やすことになり、わずかなシリコンサンドを
精製するのに、次々と森が消えていく、ということになります。
中国東北部では、電気炉を用いて温度制御をするために、わざわざ
北朝鮮の原子力発電所から電気を買っていた時期もありました。
悪名高きプルトニウム製造用(核兵器用)に、旧ソ連が建設した
炭素炉タイプのもの二基です。電気が足りない北朝鮮も、外貨ほしさに
なけなしの電力を売っていたようです。今は、この原子炉は稼働して
いません。
シリコンサンドを還元(酸素を取る)し、金属シリコンに粗精製したあと、
日本国内にもちこみ、四塩化ケイ素にして、ガス状にし、精留します。
そこからまた、精製プロセスが続くのですが、
ともかく、初期の精製において、如何に環境負荷を
かけずに原料を確保するのか、よく設計しないと、とんでもない
環境破壊となります。
太陽光発電の推進プランの中に、大量の電池と組み合わせるという
ものもあります。 電池に用いられる原料もまた、それぞれに
環境破壊の一面をもっています。 鉱物資源の中にわずかに含まれる
元素を精製するために、大量の濃硫酸や濃硝酸が使用されます。
今は使いませんが、カドミウムは、太平洋の海水に低濃度で含まれて
いるものをホタテ貝が生物濃縮により集めるので、
わざわざ、ホタテのウロ(内臓、カドミウムはウロに蓄積します)
を手作業で切り取り、
仙台に持ち込んでカドミウムを回収していました。
意外と、自然なエネルギーで精製できるのですが、
今度は、カドミウムそのものが有害という問題が残ります。
「ニッカド」、ニッケルカドミウム全盛時代の話です。
ニッケルもまた、ニューカレドニアには、純分2.5%の
高純度(?)鉱石がありますが、世界各地に広く分布する
赤土(ラテライト、こちらは高くても純分1.5%)も
大量に使われます。精製法は様々で、大量の硫酸を使うもの
塩素でいくもの、大量の電気を使うもの、また、酸の中和に
用いる良質な生石灰を大量に加えますが、こちらも製造には
大量の化石燃料を使います。
こうして、鉱物中に、ほんのわずかに含まれるニッケル分を回収します。
最近、主流のリチウムも、鉱物中にごく微量に含まれるものを
大量の化学物質やエネルギーを用いて精製します。
電池をつくる物質は、自然の鉱物の中に、微量だけ含まれているので
その精製には、多大な環境負荷がかかるのです。
目の前に見える一見、クリーンなイメージだけで、
「エコだから」、「地球環境にやさしいんだ」と思って
クリーンエネルギーと言われるものを増やしていっても
エネルギー消費そのものによる環境負荷をかけ続け
更には、原材料調達の際に、自分の目には見えないところで
とんでもない環境破壊が進んでしまいます。
そうはいっても、原子力よりまし、それは分かりますけども。
根底から、人間が変わらない限り、技術のとっかえっこを
やっても、環境破壊は進みます。