このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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TOP > 揚水式ダム
2011.4.24.
揚水式ダムとは何ぞや、というご質問をいただきました。
ネット上に、ごく普通に説明されていますけどね、、、
何やら、揚水式ダムの発電能力を加えれば、
夏でも電力は足りるではないか、という「話」が
ネット上で、広がっているようです。
本当はどうか。
知りません。
たしかに、カタログデータ上は、
楽勝で足りるように見えますね。
揚水式ダムで働いた経験があるかというと
それはないです。
ただ、電源開発という企業には、仕事上で
お世話になったことがあります。
日本の電力供給において、重要かつ、割と変わったことをやる
会社ですので、一度、HPをのぞいてみられては如何でしょうか。
電源開発という企業は、水力発電所の建設ではトップ企業であり
送電網や変電所でも有力企業です。
能力は小さいですが風力発電でもトップ、
揚水式発電においてもリーディングカンパニーです。
揚水式発電は、夜間余剰電力を使って水をくみ上げておき、
夏場の昼間、電力需要がピークの時に、一気に水を落として
発電する、というものです。
たまに大容量で発電するだけなのに、その時に備えて
巨大な発電機や、揚水ポンプを設備投資する必要があり
(発電機を逆に回せばポンプになりますが、実際に
同じ装置を使っているのか、それぞれ独立しているのかは
知りません)、年間を通じて、殆ど能力をあそばせることに
なります。 ただし、ピーク時電力需要に合わせて、
原子力や火力発電所をそろえるよりも、ピーク時不足分だけ
揚水式でカバーする方が、全体の効率はいい、という考え方です。
当初は、古い能力の小さいダムに、大きなポンプをつけて
揚水式化し、みかけの割には大きな発電力をもたせたのですが、
のちに、最初から揚水式として設計されるようになり
電源開発のHPには、海水をくみ上げる方式も載っています。
これだと、「川」は要らないわけです。
海水が地下水に沁みると大問題なので、防水工事が大変で
また、かなりの面積にわたって、雨水は浸透しなくなるわけですから
問題もありそうですが、何でわざわざ海水を揚げる方式を
開発したのかというと、揚水する水をどうやって確保するか、
という問題があるからです。 特に、沖縄の場合、
一番、水が豊かな地域に、ドーンと米軍基地がありますから
真水の水源確保が大変です。
通常の水力発電なら、ダムの
上の方までたまった水を、ダムの下部まで一気に落下させ、
あとは放水しておしまい、ですが、揚水式の場合、
ダムの下部から下流に水溜めが必要です。また、通常の
キャパ以上に水を揚げるのですから、ダムの上流の
容量も大きくする必要があります。
結局、たまに水没するエリアが大きくなるし、
環境への負荷が大きいではないか、という
批判がでてくるわけです。
また、一気に放水すると、急に増水するのですから
安全対策も必要です。
地下に貯水池を掘っているケースもあります。
出力は、ピン・キリですが、
新しいものでは、100万キロワット級もごろごろしてます。
東京の電力需要が、3000万弱から5000万キロワット台
で推移するのですから、一か所、100万クラスは、大きな
インパクトがあります。
夏場の需要期は、水源の渇水期でもあり、いざというとき、
どこまで、ダムの「下」の水を確保できるのか、ちゃんと
送電網や変電所が対応できるのか、という問題など、
この辺りになると、実態は知りません。
当然、電力会社は、見通しを明らかにすべきでしょうが
優先順位からいうとトップの事項ではないでしょう。
米国のコンサルティング会社風にいうと、
優先順位には、
URGENT (緊急)くらいは序の口で
もっと強い表現があります。
HOT というのがあり、
派生形に、VERY HOT や RED HOT
ULTRA RED HOT など、
もっとも急ぐものは、
DO IT NOW !
というのもあります。
今、DO IT NOW な問題を抱えているのですから
何より、そちらを優先し、
揚水式発電の供給予測や情報開示は、
今の時点では
HOT 位でしょう。