藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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2011年02月21日

  

えとせとら, くすり

2011.2.21.

重粒子線療法は、先進医療制度の
適用を解除される、ということですか、
とのご質問をいただきました。

どんなものでも、先進医療制度は
10年の時限立法ですから、期間満了に
伴い、適用廃止となる、そういう制度です。

何度も書いていますが、
先進医療制度は、患者さんの治療を
目的とするのではなく、データを取る間、
混合診療規制適用を除外する、というものです。
適用期間は最長10年と最初から決まっています。

それでは患者さんが困る?
最初から、患者さんのことを考えてつくられた
制度ではありません。

先進医療特約の保険を売り出したのは
民間の保険会社のやったことであって
政府は、「知らない」ということです。

なお、健康保険適用となれば、そもそも
混合診療規制の適用除外がこの制度の
メリットなのですから、保険診療となった時点で
先進医療制度適用廃止となります。

では、先進医療制度から健康保険適用へ
自動的に移行していくかという、これは全く
別の制度なのですから、自動的移行ということはありません。

健康保険適用となると、政府は、「予算措置」を求められます。
国費を使うわけですから。 一方、先進医療制度適用のために
国費がどれだけ投入されるのでしょうか。 
多少の事務管理費だけです。

政府としては、先進医療制度を認めたからといって、
「腹は傷まない」のです。 また、ほとんどの先進医療制度
適用となっている治療技術は、制度適用外となっても
ならなくても「大勢に影響がない」マイナーなものばかりです。
どっちに転んでも、政府としてはそれほど気にしないわけです。

問題は重粒子線療法です。
これほど知名度がアップし、
民間保険が先進医療特約を喧伝し、
実態としては、重粒子線療法を使える
というメリットなわけです。
期限切れで先進医療制度適用廃止と
なった場合、混乱が生じます。
また、重粒子線療法が健康保険適用となると
患者さんは、健康保険が使えるんだから問題ないのか
というと、そうはいかないでしょう。
健康保険適用といっても予算措置不要の
先進医療制度と違って
予算を消耗する健康保険の場合、
非常に適用条件を狭くされる可能性大です。

臓器移植法案がそうでしたが、
法律で認めたものの、適用範囲を狭くしたため
国内で移植手術を受けられる人は限られ、
多くの人が海外へ行かざるを得なくなりました。
何のことはない、法律で認めたから、
かえって、国内では「受けてはいけない」患者さんが
増えてしまったわけです。

ここまで先進医療制度を前提とした重粒子線療法が
普及してしまったのですから、「あてにしてきた」
患者さんたちの救済措置を考えていくべきです。
健康保険を認めるなら健康保険適用となる「狭い」範囲以外は、
従来通り先進医療制度継続の例外的措置を取るべきでしょう。
特別先進医療としてもいいですが、保険会社も
先進医療特約を売ってきたんですから、何らかの形で
救済措置を取らないと、お客さんは怒りますよ。

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