2010.2.18.
上村愛子選手が、ブログの中で
悔しい思いを綴ったことに関し、
ネット上で、種々様々、コメントなどが
飛び交っています。
このところ、なんか、表情から楽しい感じが消え、
目的のためには他は犠牲にするような悲壮さが漂い、
声にも抑え込んだ響きがあって、
大丈夫かなあ、、、 と、思ってました。
仕事もそうですが、どんな状況でも
楽しんでやれる人は強いですから。
アウシュビッツ強制収用所という究極の状況でも、
花や星を美しいと感じ、その瞬間を楽しんだ人は
奇跡的に生き残った、という話を、随分、前に書きましたが、
状況がどうであれ、関係なく、自分の状態を
保てるかどうか、ですよね。
ただ、今回は、個人の力では贖い難い大敵に包囲され、
負けるべくして負けた、という気がします。
日本人は、与えられたルールや状況の中で、
自分のベストを尽くそうとしますが、欧米人は、
自分が勝つために、ルールや状況を変えるようベストを尽くします。
米国、カナダの代表合計8人全部ライバル。
開催国はカナダ。
こう聞いただけで、厳しそうです。
解説者は、盛んに、上村選手はカービング技術をマスターしたのである、
女子では、他に誰もできないのである、
カービングは速いのである、
だから、勝つんだ、というトーンで語っていましたが、
実際のタイムは、カービングをできない他の選手に
スピードで負けているのです。
まず、どういう技術でターンしようが、評価上の差はなし、
単純に、スピードが速いと高い点数になる評価システムでした。
日本人選手一人だけが有利になるよう、わざわざ技術ポイントを
設定してくれるほど「世界」は甘くありません。
しかも当日のコース設定は難易度低め。
ターン技術の差が出難いわけです。
もっと標高が高く、傾斜が急で、コブがきつく、
気温が低くて風が強く、アイスバーン気味だったら、
板を曲げて、エッジの刃物で雪面を切るように滑る上村選手は
相当、有利だったでしょう。
ところが、雪質が重いと不利な上、真っ直ぐ強引に突っ込んで
小刻みに板を横滑りさせる方が早く滑れる可能性も出てきます。
カナダ、米国は、徹底して上村選手のすべりを研究したといってますが、
それは当然でしょう。 まともに勝負せず、8人全員が、前がかりで、
特攻を敢行しました。 8人の内、5人が吹っ飛んでも、3人完走すれば
メダル独占です。 実際、スピードを制御できず、転倒する選手が何人か
出ましたが、3人の選手が、スピードで上村選手を上回り、
メダルを全て押さえてしまいます。
場外乱闘あり、組織ぐるみ、国ぐるみの総力戦を仕掛けてきたのです。
日本選手団全員の層が厚ければ、こんな無茶な特攻は
しなかったかもしれませんが、上村選手一人潰せば
いいだけなので、作戦は立てやすかったわけです。
かつて、荒川静香選手の代名詞となったイナバウアーが、
オリンピック直前になって、査定対象外になりました。
どんなに綺麗に決めても、ポイントはゼロになったのです。
よくある話です。
ところが、本番で、見事なイナバウアーを決めます。
点数にならない技を使うと、その分、不利になるのですが、
「お客さんが、喜んでくれるなら」 の一言を発し、
見事、金メダルも奪います。
筋を貫いていますし、「粋」ですよね。
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